華から生まれ落ちた少年は獅子の温もりに溺れる

帆田 久

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出会い〜ツガイ編

15話

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「種族検査?」


衣服を始め、日用品や当分の食料を買い込んで一度荷物を家へと置きに戻ってきた僕とジレウス。
すぐにまた外出すると言うジレウスに理由を問うと、
ギルドにて昨日出来なかった種族玄なるものをする必要があることを告げられ、
小首を傾げる。


「ああ。
ここ、サビルデンの地において…というかどこの国でもこれは共通なのだが。
冒険者として登録を済ませるという事は、一種の戸籍をこの国で得たということになるんだ。
しかし冒険者証は全国共通の身分証として機能する。
登録後1週間以内に種族検査をしてその人物の種族をカードに追加登録しなければならないんだ」

「何故?」

「んー…色々と理由はあるんだが。
所謂災害を引き起こす特徴・習性のある種族というものがいてな。
彼らが悪いというわけではないのだが、本能から来る習性や進化、
要は成長時に精神が不安定になりやすい種族なんかは国へ報告義務が発生するんだよ。
ま、あくまで報告するだけで
普段はカードでも表示されない特殊な仕組みになっているがな」

「登録…検査、絶対?」

「まぁ、な。
他人にそれを暴かれるのが嫌な人間もいるが、そういう奴は国の役所で住民登録をする。
しかしそれをしてしまうとちょっとした遠出としても国を出ることができないんだよ。
だからこそ冒険者ギルドで登録するのが大半、だな」

「……なんで外出、駄目になるの?」

「国の役所でわざわざ登録するってことは、
すなわち“私はこの国の人間です”と宣言するに等しいんだ。
だから他国に足を伸ばす必要はないだろうってのが国としての言い分だが…
ぶっちゃけて言えば、その方が国が国民の人数を把握・管理し易いのさ」

冒険者は一種の職種であり旅人であるという認識で、
家を借りることはできても買うことができない。
その旅人が問題を起こしたときに種族を把握しておく必要があるんだそうだ。

(ふーん……)

何やら色々と面倒な仕組みみたいだけど、検査をしてもらえるのは正直ありがたい。
僕の種族が人なのか、それとも違う種族なのか。
この世界で目を覚ましてから、華から生まれたかも?ということぐらいしか知り得ない僕にとっても望ましい行為なのである。

「わかった。種族検査、やる!」

ふんす!と鼻を鳴らして気合いっぱいでジレウスにしがみつくと、
そんなに気負わんでもいいぞと笑ってくれた。

「ちょいと買い物で時間使いすぎたからな、急ぐぞ」

今日は外で美味いもん食わせてやる
そう言ってヒョイと僕を抱き上げたジレウス。

(ぼ、僕、歩けるのになぁ)

先ほどまで手を繋いで歩いてきたのだからそれは承知しているとは思うのだけれど…
そんなことを思いつつ。

それでも、彼の逞ましい腕に抱かれるのが存外嬉しいと感じてしまっている僕は、
ずるいと知りつつ自分で歩くと彼に告げることをしなかった。

(あのうさ耳さん、今日もいるんだろうか?)

頬に上がる僅かな血の気を、そんな益体もない思考で誤魔化して。
僕はジレウスに連れられ、ギルドへと向かった。

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