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第一章 出会い編
第52話 大夜会⑧〜愚者が舞台を降りる時(前)〜
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※シェイラ視点に戻ります!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ロザベラとミラベルが、私の家の者ではないー…
そう告げた時、会場は一斉に騒めいた。
そこかしこから
(え?どういうことだ)
(じゃあ何故あの二人は伯爵家の名を名乗っているの?おかしいじゃない)
(……まさか、名を語ったというのか!?)
といった声が次々と聞こえてくる。
「ほう……つまりはこの二人は
家とは縁もゆかりもない……赤の他人であるということかい、シェイラ」
「それは」
「「違うわ!!」」
続けようとした私の言葉を二人が遮った。
「陛下っ!私は伯爵家に後妻としてベルを連れて入った者ですわ!
彼女は亡くなった先妻の娘ですから…も、もうシェイラったら“実の”という言葉を抜くだなんてそそっかしいったら」
「そうですわベルナード陛下!!
母は間違いなくレイランドルフ伯爵夫人で私もお、お姉様の妹、ですわ!」
「少しは黙っていられないのか。
お前達には聞いていない」
ぎろりと鋭い眼差しでルードに睨まれ、二人はひっ!と足を竦ませた。
(麗人が凄むと本当に拍力がありますわね)
などと呑気に考えていられるのもルードがこの場を支配しているからだ。
しかし私が口を開くことはなかった。
説明を求めるルードや周囲に答えを齎らしたのは、王の元よりいつの間にか側まで身を寄せていた父・ロイドであった。
「それは私めの口より説明いたしましょう皇帝陛下」
一度ルードに深く礼をとった後、くるりと踵を返す。
「国王陛下。私事なれどこの場を今少し騒がせること、どうかお許しいただきたく」
「……ふむ。
何やら話から察するに真偽をはっきりとさせておいた方が良さそうであるな…。
許可する。
カリスよりの客人の問いに誠心誠意答えるが良い」
「はっ!」
(台本通り、というわけですわね)
普通、王族主催のこんな大催事中に騒ぎを起こせばそれだけで不敬罪に問われてもおかしくないのだが、どうやら国王陛下にも今回の件は承知済みの事らしい。
ならば自分は静かに事の成り行きを見守った方が良さそうだと、シェイラは再び静観することにした。
ルードに向き直ったお父様が口を開く。
「皇帝陛下におかれましても我が国の者が行った無礼な言動の数々について、平に謝罪致したく」
「能書きはいい。俺はただパートナーであるシェイラ嬢の言葉の真意を聞いているだけだ。
彼女が語らないとなればお前でもいい、疾く話せ」
「はっ。寛大なご配慮、痛み入ります。
……では。
結論から申しますと、ロザベラ、ミラベルの両名は本来レイランドルフ家に使用人として奉公することを許可された者達でございます。よって、伯爵夫人でもなければ伯爵令嬢ではあり得ません」
「「なっ!!?」」
『使用人だって!?』
『なんてこと……一介の使用人が伯爵夫人と令嬢を語って大夜会に出るなんて!!』
『恥を知れ!!』
「……会場の皆様、どうかご静粛に」
お父様が野次を飛ばす周囲の貴族を宥めているとロザベラとミラベルが騒ぎ出した。
「嘘よっ!!そんなはずないわ!」
「娘の言う通りよ!!9年前にちゃんと王都発行の再婚証明書をロイド様と連名で記入した後役場で受理されたのよ?証拠ならあるのだからいい加減なことを言わないで頂戴!!」
9年前、王都発行の証明書と聞いて野次が止む。
一体どちらが真実なのかと戸惑う周囲に自信を取り戻したのか、ふふん!と鼻息荒くロザベラはお父様を非難し始めた。
「なんだったら領地の役場に確認してみてくださるかしら?まぁこれだけ恥をかかされたのだもの、当然タダで済むとは思わないことね!!」
「……では貴方を使用人扱いした私を罰する、と?」
「当たり前じゃない!!そもそも関係もないくせにしゃしゃり出てこないで頂戴!!」
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ロザベラとミラベルが、私の家の者ではないー…
そう告げた時、会場は一斉に騒めいた。
そこかしこから
(え?どういうことだ)
(じゃあ何故あの二人は伯爵家の名を名乗っているの?おかしいじゃない)
(……まさか、名を語ったというのか!?)
といった声が次々と聞こえてくる。
「ほう……つまりはこの二人は
家とは縁もゆかりもない……赤の他人であるということかい、シェイラ」
「それは」
「「違うわ!!」」
続けようとした私の言葉を二人が遮った。
「陛下っ!私は伯爵家に後妻としてベルを連れて入った者ですわ!
彼女は亡くなった先妻の娘ですから…も、もうシェイラったら“実の”という言葉を抜くだなんてそそっかしいったら」
「そうですわベルナード陛下!!
母は間違いなくレイランドルフ伯爵夫人で私もお、お姉様の妹、ですわ!」
「少しは黙っていられないのか。
お前達には聞いていない」
ぎろりと鋭い眼差しでルードに睨まれ、二人はひっ!と足を竦ませた。
(麗人が凄むと本当に拍力がありますわね)
などと呑気に考えていられるのもルードがこの場を支配しているからだ。
しかし私が口を開くことはなかった。
説明を求めるルードや周囲に答えを齎らしたのは、王の元よりいつの間にか側まで身を寄せていた父・ロイドであった。
「それは私めの口より説明いたしましょう皇帝陛下」
一度ルードに深く礼をとった後、くるりと踵を返す。
「国王陛下。私事なれどこの場を今少し騒がせること、どうかお許しいただきたく」
「……ふむ。
何やら話から察するに真偽をはっきりとさせておいた方が良さそうであるな…。
許可する。
カリスよりの客人の問いに誠心誠意答えるが良い」
「はっ!」
(台本通り、というわけですわね)
普通、王族主催のこんな大催事中に騒ぎを起こせばそれだけで不敬罪に問われてもおかしくないのだが、どうやら国王陛下にも今回の件は承知済みの事らしい。
ならば自分は静かに事の成り行きを見守った方が良さそうだと、シェイラは再び静観することにした。
ルードに向き直ったお父様が口を開く。
「皇帝陛下におかれましても我が国の者が行った無礼な言動の数々について、平に謝罪致したく」
「能書きはいい。俺はただパートナーであるシェイラ嬢の言葉の真意を聞いているだけだ。
彼女が語らないとなればお前でもいい、疾く話せ」
「はっ。寛大なご配慮、痛み入ります。
……では。
結論から申しますと、ロザベラ、ミラベルの両名は本来レイランドルフ家に使用人として奉公することを許可された者達でございます。よって、伯爵夫人でもなければ伯爵令嬢ではあり得ません」
「「なっ!!?」」
『使用人だって!?』
『なんてこと……一介の使用人が伯爵夫人と令嬢を語って大夜会に出るなんて!!』
『恥を知れ!!』
「……会場の皆様、どうかご静粛に」
お父様が野次を飛ばす周囲の貴族を宥めているとロザベラとミラベルが騒ぎ出した。
「嘘よっ!!そんなはずないわ!」
「娘の言う通りよ!!9年前にちゃんと王都発行の再婚証明書をロイド様と連名で記入した後役場で受理されたのよ?証拠ならあるのだからいい加減なことを言わないで頂戴!!」
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「なんだったら領地の役場に確認してみてくださるかしら?まぁこれだけ恥をかかされたのだもの、当然タダで済むとは思わないことね!!」
「……では貴方を使用人扱いした私を罰する、と?」
「当たり前じゃない!!そもそも関係もないくせにしゃしゃり出てこないで頂戴!!」
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