52 / 161
第一章 出会い編
第38話 父と娘 皇帝と王と騎士団長②
しおりを挟む
side:ルード
「つまりは何か?そのケインとやらは既にこの王都に入っており尚且つ宰相と娘の…シェイラ嬢、だったか。彼女にも何かしら害を与える可能性が高いと。
そういう事ですかな、ベルナード殿?」
「…ああ。王都からこちら(城)に向かう途中シェイラが目撃してな。
数年見ていなかったが間違いなく本人だった彼女はと断言している。今はこちらの手の者に見張らせているが、少なくとも例の花を挿し替えがてら屋敷から姿を消した彼女を探し出そうとするやもしれん」
「(うわ、なんつーか徹底して犯罪臭漂わせてんなそいつ。)
トリアドス王、なんとか入城制限の方は目処が立ったのですか」
「それについてはどの道『大夜会』まで1週間ほどに迫った今、城へと滞在する各国の王族方の警備強化の為、通常よりかなり厳しいチェック体制を敷いている。
予め滞在予定に上がっている人間以外は全て弾かれると思ってくれて良いが、あくまで『大夜会』終了までだな」
「ならば一先ずは接触の危険性は減ったな。まだこの段階で奴に宰相の洗脳が解けていることを知られるのは得策ではないからな」
俺が影を使って集めた情報を簡単に説明したあと、先んじてガドと話し合っていたトリアドス王の対処について話し。
具体的な処置の方向性を互いに認識・決定したところで話はシェイラとその父親に移った。
「トリアドス王。
俺は彼女……シェイラ・レイランドルフを今回の『大夜会』のパートナーとして連れてきている」
「!!…左様でしたか。では、改めて部屋を用意」
「それについてはこちらでなんとかするので気にしないでくれ。ついては彼女の大夜会用の衣装や着替えなどを調達したいので王家お抱えの職人や宝石商などを秘密裏に呼び寄せてくれないか」
「それについては承知した。すぐに手配をしておく。
それで……その前に、なんだがな、ベルナード殿」
「ん?何だトリアドス王」
「彼女を父親に、会わせてやってはくれまいか」
「……ほう。ロイド・レイランドルフを、か?
9年もの間娘を放っておきながら今更会いたいとは随分と虫の良い話に聞こえるが。
あまつさえ例の花のせいでおかしくなっていたのだろう?
……彼女に危害を加えないとも言い切れない人物を例え実の父親といえど、俺が会わせるなどと言うと思うのか」
「それは」
「……っだぁ~、もう!だからアレの影響は俺が既に取り除いたって報告したでしょうが!?
それに9年云々はソレが原因なんだから致し方ない事だと!」
「だとしてもだ、俺に。
彼女をここまで連れてきたこの俺本人の面前で、己の口から会わせて欲しいとも言えん男に会わせてやる義理はない」
(そもそも母親が死んで心細いであろう一人娘を屋敷に残して一人だけ王都に逃げておいて、俺から言わせて貰えば何を今更、だがな)
更に続けようとした俺の言葉は、新しく姿を見せた第三の人物の言葉によって紡がれる事なく終わった。
小部屋の更に奥、目立たないよう作られた扉から入室してきた赤髪の男によって。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※ちょっと長くなったので一度切ります!
「つまりは何か?そのケインとやらは既にこの王都に入っており尚且つ宰相と娘の…シェイラ嬢、だったか。彼女にも何かしら害を与える可能性が高いと。
そういう事ですかな、ベルナード殿?」
「…ああ。王都からこちら(城)に向かう途中シェイラが目撃してな。
数年見ていなかったが間違いなく本人だった彼女はと断言している。今はこちらの手の者に見張らせているが、少なくとも例の花を挿し替えがてら屋敷から姿を消した彼女を探し出そうとするやもしれん」
「(うわ、なんつーか徹底して犯罪臭漂わせてんなそいつ。)
トリアドス王、なんとか入城制限の方は目処が立ったのですか」
「それについてはどの道『大夜会』まで1週間ほどに迫った今、城へと滞在する各国の王族方の警備強化の為、通常よりかなり厳しいチェック体制を敷いている。
予め滞在予定に上がっている人間以外は全て弾かれると思ってくれて良いが、あくまで『大夜会』終了までだな」
「ならば一先ずは接触の危険性は減ったな。まだこの段階で奴に宰相の洗脳が解けていることを知られるのは得策ではないからな」
俺が影を使って集めた情報を簡単に説明したあと、先んじてガドと話し合っていたトリアドス王の対処について話し。
具体的な処置の方向性を互いに認識・決定したところで話はシェイラとその父親に移った。
「トリアドス王。
俺は彼女……シェイラ・レイランドルフを今回の『大夜会』のパートナーとして連れてきている」
「!!…左様でしたか。では、改めて部屋を用意」
「それについてはこちらでなんとかするので気にしないでくれ。ついては彼女の大夜会用の衣装や着替えなどを調達したいので王家お抱えの職人や宝石商などを秘密裏に呼び寄せてくれないか」
「それについては承知した。すぐに手配をしておく。
それで……その前に、なんだがな、ベルナード殿」
「ん?何だトリアドス王」
「彼女を父親に、会わせてやってはくれまいか」
「……ほう。ロイド・レイランドルフを、か?
9年もの間娘を放っておきながら今更会いたいとは随分と虫の良い話に聞こえるが。
あまつさえ例の花のせいでおかしくなっていたのだろう?
……彼女に危害を加えないとも言い切れない人物を例え実の父親といえど、俺が会わせるなどと言うと思うのか」
「それは」
「……っだぁ~、もう!だからアレの影響は俺が既に取り除いたって報告したでしょうが!?
それに9年云々はソレが原因なんだから致し方ない事だと!」
「だとしてもだ、俺に。
彼女をここまで連れてきたこの俺本人の面前で、己の口から会わせて欲しいとも言えん男に会わせてやる義理はない」
(そもそも母親が死んで心細いであろう一人娘を屋敷に残して一人だけ王都に逃げておいて、俺から言わせて貰えば何を今更、だがな)
更に続けようとした俺の言葉は、新しく姿を見せた第三の人物の言葉によって紡がれる事なく終わった。
小部屋の更に奥、目立たないよう作られた扉から入室してきた赤髪の男によって。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※ちょっと長くなったので一度切ります!
6
お気に入りに追加
9,649
あなたにおすすめの小説

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!


目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる