出涸らし令嬢は今日も生きる!

帆田 久

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第一章  出会い編

第31話  王都へ

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「王都へ移動?」

「ああ」



お互い改まっての自己紹介(?)が終わり、シェイラは現在ルードと今後について話合いの場を持っていた。

自身が取った行動であの男や後妻達がどのように動くか不安だったからだ。
もう後には引けない。そんな悲壮すら感じる覚悟をもって切り出した問いに返ってきた答えがそれであった。


「それも明日には宿を引き払い、移動を開始する。…といっても、王都までは馬で1日半、俺たち一行で移動することを考えれば移動速度は大幅に落ちる。急ぐ日程でも無いしな。大体3日ってとこだな」

「それはそうかもしれませんが、その…。こちらには到着日を除いて2、3日は滞在されると。1日早くの移動となるのは視察団としては問題ないのですか?」

もし自分の事が原因での予定変更であれば…そう危惧するシェイラにくく…と含み笑いをするとルードは安心しろ、と軽く首を振る。

「だから、2、3日、だろう?
到着日を含めればもう3日、充分だ。それに日程の変更など今回が初めてでなし、もっとひどい時には1週間滞在予定だったのが得るものが無さ過ぎてその日に離れたこともある」

「そうなのですか」


ほっと密かに胸を撫で下ろしたシェイラだが。
この領地に着いた時点で王都の王城へと入城する日にちは2週間後。
この領地を起ち、もう一つ王都の手前の領地へと滞在しての旅程を入れて2週間だということをシェイラは勿論知らない。そして、その最終領地を飛ばして進んだ場合に、実際予定していたより約1週間早く王都入りすることも。
全ては、王都にいるガドとシェイラの父親、ロイド・レイランドルフと早めに接触を果たし、様々なを行う為。
ケインという男がこちらの動きに感づく前に行動を起こそうというルードの考えによるものであることを、シェイラは知らないのだ。


「ですが…本当に私も同行させて頂いてよろしいのですか?」

「迷惑?変なことを言うんだな、シェイラ?
お前を気に入ってここに連れてきたのは俺。
留まるよう仕向け…引き留めたのも俺。そして王都にお前を連れて行くと決めたのも俺だ。
どこに迷惑と思う要素がある?逆にそれは俺がお前に対して気にするところだろう(気にしないがな)」

故にシェイラがルード達一行と王都へ同行するのは決定事項だと当然のように言い切るルードの呆気からんとした態度に若干の脱力感に見舞われつつ。

兎にも角にもシェイラの王都行きがこの時正式に決定したのである。




『言っただろうが、絶対に逃さんと』


……ルキア語で呟かれたルードのその言葉は、王都への旅で頭が一杯となっているシェイラには幸い(?)届くことはなかった。




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