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第一章 出会い編
第24話 傲慢で我が儘で優しい男②
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宿屋の部屋に漸く入る事が出来たシェイラとルードだったが、内密の話が~と言っていた筈のルードが沈黙している為、部屋の空気が些か重い。
ふぅ、これでは埒が明かないとシェイラは仕方なく自分から話題を振ることにした。
「それで、ルード様?私をここに引っ張って来られたのは何かお話があるのでは?」
「………。」
「(まだだんまりですかそうですか)そもそも陛下と呼ばれていましたが…私、なんの説明も受けておりませんが。近習というか、身分ある方なのは予想していたので、てっきり近衛騎士の方か何かだと思っていたのですが(貴方も昨日皇帝の付き添い・先見の人間のように言ってましたわよね?)。」
「…それは、悪かった。だが」
「ええ、ええ、わかっていますとも。まさかあのようなところで出会って間もない、私のような、どこの馬の骨とも知らぬ不審極まる娘などにカリス帝国の皇帝陛下自ら名乗りを挙げるなどありはしないと」
「っ違う!!」
「……何が違うというのですか」
「いや、確かに昨日森の中で会った時はその、お前のことを少なからず警戒していたからな。しかしそんな警戒心も、お前と接するうちに無くなったし、次に…つまり今日会った時にこちらから言おうと思っていた。
俺はお前のことを昨日色々聞いてしまったことだし、今度はシェイラ、お前に俺のことを知って欲しかったから」
「そう、ですか」
わざわざ部屋に戻っての話にはその事も含まれている、と言い募るルードに言うつもりはあったのね。そう思いつつも、ではなんで急に不機嫌になったのかしらとシェイラは首を傾げた。
「では、なんであんなに機嫌が悪かったのですか?」
そう問うと、途端に顔を顰めたルードがシェイラに近寄る。至近距離と言っていいほどの目前で突然ルードが片手を上げー
シェイラの頬に手を当てた。
「これは、何だ」
「……。」
(……あ。そういえばそのままでしたわ)
そこに至りシェイラは漸く昨夜の後妻達から頬を張られたことを思い出したのだった。
(嫌だわ私ったら。きっと腫れ上がって大層見苦しかったに違いありませんわ)
ただでさえ見窄らしさ全開な身なりだと言うのに、見苦しいにも程がある、と恥ずかしさが込み上げてくる。
「お見苦しい姿を晒してしまい申し訳」
「お前は見苦しくなどない。
そして、お前こそ俺の質問に答えていない、先ほども、今も。
その頬は、誰にやられたと聞いている」
「あの、これは……その」
「……まさか街中でその辺の破落戸に乱暴されたのではあるまいな」
「ち、違います!!これは」
そうだとしたら殺す、と黒く呟くルードに焦りを覚え、シェイラは言うつもりのなかった昨夜の屋敷での出来事を一から説明することになった。段々と、説明すればするほど険しさを増していく彼の表情にシェイラのいわれのない焦燥感は嫌増したが全ての説明を終える。と、
はぁぁぁ…とルードはため息をつき、
くるりと身体を反転させられると、両腕で包み込むように
気がつけば、シェイラはルードに後ろから抱きしめられていた。
「ル、ルード…!?」
「…傲慢で、そして不甲斐ない男だな、俺は」
「?え、と。な、ななな何がです?」
「お前が気に入ったからと平気で強引に俺の事情に巻き込むほどには傲慢であるし、そのくせお前がこのような仕打ちに晒されることを阻止する事もできない不甲斐ない男だ、と言ったんだ。
……痛かったろう?他に怪我は?」
「い、いえ特にはっ!(え、え?抱きしめられてる!?何で!!?)」
「んん?…指先もよく見れば細かく切り傷があるではないか!!(……おのれ伯爵家の後妻とその娘!!誰のものを傷つけたと思っているんだ)」
「いいいいえッッこんなのは家事をやっていれば出来るあかぎれと同じですし!!それに、も、もう慣れてますから!!(わ、わ!撫でさすらないでっっ!!)」
「!!?……………慣れている、だと?」
とにかく腕の中から抜け出さなくては!とパニックに陥っていたシェイラの再度の失言により、機嫌をさらに下降させたルードが腕の力を増した為、結果、更に強く抱きしめられる羽目になってしまった。
最早抜け出すのは不可能と諦め、真っ赤に顔を染めたシェイラが弱々しく懇願する。
「~~~っっ!!……っあの、ルード?もう少し腕の力、を」
緩めて欲しい、そう乞う言葉より早く
「やはり……駄目だ。待てん」
「え?」
「決めた」
そう言うと、腕の中で再び反転させられシェイラを正面から捉えたルードは。
「シェイラ、お前。
もう家に帰るな。今現在から俺のそばにいろ」
「…。はぁぁっっ??!」
うんうん、それが良い。
これは決定事項だなどと、唐突に宣言をかましたのだった。
ふぅ、これでは埒が明かないとシェイラは仕方なく自分から話題を振ることにした。
「それで、ルード様?私をここに引っ張って来られたのは何かお話があるのでは?」
「………。」
「(まだだんまりですかそうですか)そもそも陛下と呼ばれていましたが…私、なんの説明も受けておりませんが。近習というか、身分ある方なのは予想していたので、てっきり近衛騎士の方か何かだと思っていたのですが(貴方も昨日皇帝の付き添い・先見の人間のように言ってましたわよね?)。」
「…それは、悪かった。だが」
「ええ、ええ、わかっていますとも。まさかあのようなところで出会って間もない、私のような、どこの馬の骨とも知らぬ不審極まる娘などにカリス帝国の皇帝陛下自ら名乗りを挙げるなどありはしないと」
「っ違う!!」
「……何が違うというのですか」
「いや、確かに昨日森の中で会った時はその、お前のことを少なからず警戒していたからな。しかしそんな警戒心も、お前と接するうちに無くなったし、次に…つまり今日会った時にこちらから言おうと思っていた。
俺はお前のことを昨日色々聞いてしまったことだし、今度はシェイラ、お前に俺のことを知って欲しかったから」
「そう、ですか」
わざわざ部屋に戻っての話にはその事も含まれている、と言い募るルードに言うつもりはあったのね。そう思いつつも、ではなんで急に不機嫌になったのかしらとシェイラは首を傾げた。
「では、なんであんなに機嫌が悪かったのですか?」
そう問うと、途端に顔を顰めたルードがシェイラに近寄る。至近距離と言っていいほどの目前で突然ルードが片手を上げー
シェイラの頬に手を当てた。
「これは、何だ」
「……。」
(……あ。そういえばそのままでしたわ)
そこに至りシェイラは漸く昨夜の後妻達から頬を張られたことを思い出したのだった。
(嫌だわ私ったら。きっと腫れ上がって大層見苦しかったに違いありませんわ)
ただでさえ見窄らしさ全開な身なりだと言うのに、見苦しいにも程がある、と恥ずかしさが込み上げてくる。
「お見苦しい姿を晒してしまい申し訳」
「お前は見苦しくなどない。
そして、お前こそ俺の質問に答えていない、先ほども、今も。
その頬は、誰にやられたと聞いている」
「あの、これは……その」
「……まさか街中でその辺の破落戸に乱暴されたのではあるまいな」
「ち、違います!!これは」
そうだとしたら殺す、と黒く呟くルードに焦りを覚え、シェイラは言うつもりのなかった昨夜の屋敷での出来事を一から説明することになった。段々と、説明すればするほど険しさを増していく彼の表情にシェイラのいわれのない焦燥感は嫌増したが全ての説明を終える。と、
はぁぁぁ…とルードはため息をつき、
くるりと身体を反転させられると、両腕で包み込むように
気がつけば、シェイラはルードに後ろから抱きしめられていた。
「ル、ルード…!?」
「…傲慢で、そして不甲斐ない男だな、俺は」
「?え、と。な、ななな何がです?」
「お前が気に入ったからと平気で強引に俺の事情に巻き込むほどには傲慢であるし、そのくせお前がこのような仕打ちに晒されることを阻止する事もできない不甲斐ない男だ、と言ったんだ。
……痛かったろう?他に怪我は?」
「い、いえ特にはっ!(え、え?抱きしめられてる!?何で!!?)」
「んん?…指先もよく見れば細かく切り傷があるではないか!!(……おのれ伯爵家の後妻とその娘!!誰のものを傷つけたと思っているんだ)」
「いいいいえッッこんなのは家事をやっていれば出来るあかぎれと同じですし!!それに、も、もう慣れてますから!!(わ、わ!撫でさすらないでっっ!!)」
「!!?……………慣れている、だと?」
とにかく腕の中から抜け出さなくては!とパニックに陥っていたシェイラの再度の失言により、機嫌をさらに下降させたルードが腕の力を増した為、結果、更に強く抱きしめられる羽目になってしまった。
最早抜け出すのは不可能と諦め、真っ赤に顔を染めたシェイラが弱々しく懇願する。
「~~~っっ!!……っあの、ルード?もう少し腕の力、を」
緩めて欲しい、そう乞う言葉より早く
「やはり……駄目だ。待てん」
「え?」
「決めた」
そう言うと、腕の中で再び反転させられシェイラを正面から捉えたルードは。
「シェイラ、お前。
もう家に帰るな。今現在から俺のそばにいろ」
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