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第一章 出会い編
第11話 sideルードandガド 皇帝陛下の本気
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足早に立ち去ったルード。いや、ベルナードは絶対に振り向かない。
振り向いたが最後、職務を放棄して彼女の元に立ち帰りたくなってしまうから。
「…ード、おいルード!!」
『ガルディアス。聞いたな?』
『……!!…はっ』
ベルナードが、ガドをガルディアスと呼ぶ。それもルキア語で。
即位してよりそばに支えてきたガドには、その意味がよくわかっていた。今自分の前にいる男はルードと気軽に呼べる悪友ではなく、カリス帝国皇帝・ベルナード・イグニス・カロル・カスティリアであると。
その皇帝が、他国の、一伯爵令嬢に対して『約束』をし尚且つ言ったのだ。
『逃さん、絶対に』と。
宣言した以上、彼女…シェイラは決してこの男から逃れることは出来ないだろうことを、ガドは本能的かつ経験則から察していた。
だから彼女に言ったのだ。『覚悟しといた方が良い』と。
素早く察して態度を切り替えた優秀な部下に満足気に頷くと、先程通り過ぎた商店街で見かけた自身に仕える影(いわゆる暗部)が正面より寄ってくるのを待つ。
『陛下!お探ししておりました!!今までどちらに』
『仕事だ』
『…!!はっ。して、何を?』
『トリアドル王国宰相、ロイド・レイランドルフ伯爵家の全てを調べ上げろ。当主本人、その妻、後妻や養子の存在、実子、経済状況、新旧使用人など、全てを秘密裏に、だ。期限は一月後のトリアドル王都、王城で開かれる夜会開催日前日まで。
‥行け』
『『『はっっ!!!』』』
いつの間にか三人ほどに増えていた平民姿の男達は、ベルナードの命令に揃えて小さく返事を返すと、また人混みに紛れていった。
彼らが視界から消え、再び合流地点を目指し始めたベルナードにガドが問いかけた。
『…本気、なんですね』
『無論だ。言っただろう気に入ったと。俺が未だかつて未婚女性に対してそんな事を言った事があったか?』
『そうですね。では?』
『………ああ。何がなんでも絶対に逃さん。連れ帰る』
『……。
………そうですか。(あれ程香水臭い化粧お化けに欲情できる男の神経が知れないだの、媚び諂う恥知らずの雌豚だのと貴族令嬢たちについての賜って相手にしなかった男が。…初恋は何とやら、拗らせないと良いがな)』
『……今何か言ったかガルディアス?』
『…!!いえ何も。で?私は何をすれば?』
『(絶対今、祿でもないことを考えていたなこいつ)…ああ。お前は早馬で一足先に王城に行き、
二週間後から夜会まで世話になることを名目で入場しろ。
その際、』
『城の案内と称して宰相を指名、人目の無いところで個人的に“お話し”、か?』
『それで良い。俺も領地視察を終えた後に入場するが、その前に話が聞きたい。宰相と話が出来次第こちらに合流しろ』
『…っは!!』
待っていろシェイラ
絶対に助けてやるが。絶対に逃さん。
やるべき事を決めて足取り軽く合流地点に急ぐ主の背中を見つめ、ガドは小さくため息をついた。
曰く。
拗らせ回避は、すでに手遅れではないか、と。
振り向いたが最後、職務を放棄して彼女の元に立ち帰りたくなってしまうから。
「…ード、おいルード!!」
『ガルディアス。聞いたな?』
『……!!…はっ』
ベルナードが、ガドをガルディアスと呼ぶ。それもルキア語で。
即位してよりそばに支えてきたガドには、その意味がよくわかっていた。今自分の前にいる男はルードと気軽に呼べる悪友ではなく、カリス帝国皇帝・ベルナード・イグニス・カロル・カスティリアであると。
その皇帝が、他国の、一伯爵令嬢に対して『約束』をし尚且つ言ったのだ。
『逃さん、絶対に』と。
宣言した以上、彼女…シェイラは決してこの男から逃れることは出来ないだろうことを、ガドは本能的かつ経験則から察していた。
だから彼女に言ったのだ。『覚悟しといた方が良い』と。
素早く察して態度を切り替えた優秀な部下に満足気に頷くと、先程通り過ぎた商店街で見かけた自身に仕える影(いわゆる暗部)が正面より寄ってくるのを待つ。
『陛下!お探ししておりました!!今までどちらに』
『仕事だ』
『…!!はっ。して、何を?』
『トリアドル王国宰相、ロイド・レイランドルフ伯爵家の全てを調べ上げろ。当主本人、その妻、後妻や養子の存在、実子、経済状況、新旧使用人など、全てを秘密裏に、だ。期限は一月後のトリアドル王都、王城で開かれる夜会開催日前日まで。
‥行け』
『『『はっっ!!!』』』
いつの間にか三人ほどに増えていた平民姿の男達は、ベルナードの命令に揃えて小さく返事を返すと、また人混みに紛れていった。
彼らが視界から消え、再び合流地点を目指し始めたベルナードにガドが問いかけた。
『…本気、なんですね』
『無論だ。言っただろう気に入ったと。俺が未だかつて未婚女性に対してそんな事を言った事があったか?』
『そうですね。では?』
『………ああ。何がなんでも絶対に逃さん。連れ帰る』
『……。
………そうですか。(あれ程香水臭い化粧お化けに欲情できる男の神経が知れないだの、媚び諂う恥知らずの雌豚だのと貴族令嬢たちについての賜って相手にしなかった男が。…初恋は何とやら、拗らせないと良いがな)』
『……今何か言ったかガルディアス?』
『…!!いえ何も。で?私は何をすれば?』
『(絶対今、祿でもないことを考えていたなこいつ)…ああ。お前は早馬で一足先に王城に行き、
二週間後から夜会まで世話になることを名目で入場しろ。
その際、』
『城の案内と称して宰相を指名、人目の無いところで個人的に“お話し”、か?』
『それで良い。俺も領地視察を終えた後に入場するが、その前に話が聞きたい。宰相と話が出来次第こちらに合流しろ』
『…っは!!』
待っていろシェイラ
絶対に助けてやるが。絶対に逃さん。
やるべき事を決めて足取り軽く合流地点に急ぐ主の背中を見つめ、ガドは小さくため息をついた。
曰く。
拗らせ回避は、すでに手遅れではないか、と。
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