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第一章 出会い編
閑話 side:ルード〜未知からの脱出とシェイラ・レイランドルフ
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※長くなりましたがルード視点今回はこれでラストです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「先程は大変、失礼した。俺はルード。
こっちの筋肉達磨なおっさんがガド。
カリス帝国の、まぁ皇帝がトリアドス王国各領地の学園や治療院など所用施設に友好アピールの為に視察巡りしているんだがな?ここの隣の領地から先乗りで領内を見る役目を仰せつかってな。」
「今紹介に預かったガドだ。
言っとくがまだ29歳独身の男前で断っじておっさんではないからな?
丁度境界付近より広がるこの森がこちらの領内へと伸びているのにこのくそガ…ルードが目をつけてなぁ。んで、“森を通り抜けて近道し、領内に入る”なんてことを言い出しやがった挙句がこのザマってわけだ。つまりは森で迷子な?…たく、よく知りもしない森に何の下見も無しに入るのはやめた方がいいてあれ程忠告してやったのに聞きゃあしねぇんだよこいつ」
何だか俺もガドも、初対面に対するには些か丁寧すぎる自己紹介と説明をした気がするが。
しかし、決して。いや断じて。
あの時、これ見よがしに偉そうに嗜めてきたガドと目前の女性の存在ガン無視で軽口から口論にヒートアップしそうになった時の。
女性の満面の笑顔による自己紹介・説明要求(威圧)に負けたわけではない。
「我が母国語を使ってのご挨拶と丁寧な状況説明を有り難う御座います。
申し遅れましたがこの領地の領主の娘、レイランドルフ伯爵家のシェイラと申します。」
「…領主の、娘?」
「…てぇことは、伯爵令嬢?はぁぁ??うっそだぁそんな成りで!?」
「!おいっバカ!!……重ねて失礼した、レイランドルフ伯爵令嬢」
ガドの発言も含めて、顔は必死に得意の作り笑いで通し誤魔化したが、正直…ガドと同じことを叫びそうになった。
下手をするとその身なりは物乞いのそれだ。
「いえお気になさらず、どうかシェイラ、とお呼びください。おそらく誰の目にもこの身なりでは令嬢には見えないと思いますので。決して我が伯爵家が貧乏だとか領地で内乱の末に命辛々追われているとかそんな心配はございませんので。言うなれば家庭における諸事情ですわ」
(要するに詮索するなってことだな)
すぐに控えめの笑みを浮かべ
「まぁ気になるには気になるが。気にするなと言われれば気にすることもないことだな」
「…そんなモンか?」
「そんなモンだガド。そんなことより俺たちが気にするべきはどうやってこの森から脱出するか、だろうが」
「ま、たしかに」
そう。気にはなる。伯爵家の令嬢それも少なくともアルギス語とルキア語を流暢に話せる見た目14、5歳の年頃の娘が、と。
が、今は何よりも先にやらなければならないことがある。
すると
「要するに、お二人はこの森を抜け出したいのですよね?それも我が領内に」
「…ああ」
「そういうことだな」
「一つ。仮に私の案内で領内に抜け出すことができたとして、街に至るまで私の指示に従って行動すること。
二つ。街に出、貴方方のお仕えされる御方方とともにこの国の貴族と交流を持っても、私と接触したことをその交流の場で話さないこと。
この二つの条件を守って下さるのなら、この『迷いの森』からの脱出に協力しますわ」
如何ですか?と促すシェイラの提案に
「「よろしく頼む(わ)、シェイラ((嬢)ちゃん)」」
間髪入れず即答を返した。
小さく笑った彼女はくるりと身を翻すと
「ではついてきてください。決して逸れることの無きよう…。
此処は『迷いの森』。逸れれば、もしかすると永遠に彷徨い続けることになるかもしれませんよ?」
(シェイラ・レイランドルフ、か。くく、興味深い奴にあったな)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
道すがらの
「ああそう言えばガド様。先程の話について恐れながらも一つ、忠告を。」
「あ?」
「他国でどのような取り決めがなされているのかは存じませんが。我が国では領地から領地へと移る際境界の決められた検問を身分を問わず通過せねばなりませんし、それ以外のルートでの移動&移領を試みる、又は実行した者には厳罰に処されます。今後、軽々に森から他領に、などという話も行動もなさいませんよう」
「「げ」」
完全に失念していた。
「ふふふ…。
お二人共、此処で出会ったのが領主の娘の私で良かったですね?」
「「………ああ(違いねぇ)」」
……肝に銘じよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日はここまでです。
また明日から本編戻ります!!
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「先程は大変、失礼した。俺はルード。
こっちの筋肉達磨なおっさんがガド。
カリス帝国の、まぁ皇帝がトリアドス王国各領地の学園や治療院など所用施設に友好アピールの為に視察巡りしているんだがな?ここの隣の領地から先乗りで領内を見る役目を仰せつかってな。」
「今紹介に預かったガドだ。
言っとくがまだ29歳独身の男前で断っじておっさんではないからな?
丁度境界付近より広がるこの森がこちらの領内へと伸びているのにこのくそガ…ルードが目をつけてなぁ。んで、“森を通り抜けて近道し、領内に入る”なんてことを言い出しやがった挙句がこのザマってわけだ。つまりは森で迷子な?…たく、よく知りもしない森に何の下見も無しに入るのはやめた方がいいてあれ程忠告してやったのに聞きゃあしねぇんだよこいつ」
何だか俺もガドも、初対面に対するには些か丁寧すぎる自己紹介と説明をした気がするが。
しかし、決して。いや断じて。
あの時、これ見よがしに偉そうに嗜めてきたガドと目前の女性の存在ガン無視で軽口から口論にヒートアップしそうになった時の。
女性の満面の笑顔による自己紹介・説明要求(威圧)に負けたわけではない。
「我が母国語を使ってのご挨拶と丁寧な状況説明を有り難う御座います。
申し遅れましたがこの領地の領主の娘、レイランドルフ伯爵家のシェイラと申します。」
「…領主の、娘?」
「…てぇことは、伯爵令嬢?はぁぁ??うっそだぁそんな成りで!?」
「!おいっバカ!!……重ねて失礼した、レイランドルフ伯爵令嬢」
ガドの発言も含めて、顔は必死に得意の作り笑いで通し誤魔化したが、正直…ガドと同じことを叫びそうになった。
下手をするとその身なりは物乞いのそれだ。
「いえお気になさらず、どうかシェイラ、とお呼びください。おそらく誰の目にもこの身なりでは令嬢には見えないと思いますので。決して我が伯爵家が貧乏だとか領地で内乱の末に命辛々追われているとかそんな心配はございませんので。言うなれば家庭における諸事情ですわ」
(要するに詮索するなってことだな)
すぐに控えめの笑みを浮かべ
「まぁ気になるには気になるが。気にするなと言われれば気にすることもないことだな」
「…そんなモンか?」
「そんなモンだガド。そんなことより俺たちが気にするべきはどうやってこの森から脱出するか、だろうが」
「ま、たしかに」
そう。気にはなる。伯爵家の令嬢それも少なくともアルギス語とルキア語を流暢に話せる見た目14、5歳の年頃の娘が、と。
が、今は何よりも先にやらなければならないことがある。
すると
「要するに、お二人はこの森を抜け出したいのですよね?それも我が領内に」
「…ああ」
「そういうことだな」
「一つ。仮に私の案内で領内に抜け出すことができたとして、街に至るまで私の指示に従って行動すること。
二つ。街に出、貴方方のお仕えされる御方方とともにこの国の貴族と交流を持っても、私と接触したことをその交流の場で話さないこと。
この二つの条件を守って下さるのなら、この『迷いの森』からの脱出に協力しますわ」
如何ですか?と促すシェイラの提案に
「「よろしく頼む(わ)、シェイラ((嬢)ちゃん)」」
間髪入れず即答を返した。
小さく笑った彼女はくるりと身を翻すと
「ではついてきてください。決して逸れることの無きよう…。
此処は『迷いの森』。逸れれば、もしかすると永遠に彷徨い続けることになるかもしれませんよ?」
(シェイラ・レイランドルフ、か。くく、興味深い奴にあったな)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
道すがらの
「ああそう言えばガド様。先程の話について恐れながらも一つ、忠告を。」
「あ?」
「他国でどのような取り決めがなされているのかは存じませんが。我が国では領地から領地へと移る際境界の決められた検問を身分を問わず通過せねばなりませんし、それ以外のルートでの移動&移領を試みる、又は実行した者には厳罰に処されます。今後、軽々に森から他領に、などという話も行動もなさいませんよう」
「「げ」」
完全に失念していた。
「ふふふ…。
お二人共、此処で出会ったのが領主の娘の私で良かったですね?」
「「………ああ(違いねぇ)」」
……肝に銘じよう。
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今日はここまでです。
また明日から本編戻ります!!
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