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第一章 出会い編
閑話 side:ロイド〜父の焦りと葛藤①〜
しおりを挟む最愛の妻が、死んだ。
前日まで自分に手ずから紅茶を淹れてくれたり、王都の城と領地を忙しなく行き来する日々を送っていた私に『お身体、大事に、ね?』と愛らしく微笑んで労わってくれた妻が、翌日自室のベットの中で冷たくなっていた。
何故…
何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!!!
何故彼女が死ななければならなかったのか、何が原因だ病気か?それとも暗殺…いや、我が家の使用人は父の代から仕えているものがほとんどだ。そうでないものも徹底的に調査をした上での雇用であるし、侍女達は皆妻の事を好いてくれていたはず。あり得ない、断じて。
翌日に行われた葬儀の際も、参列者の貴族達からの労りの言葉も耳から耳へと抜けていく。ポッカリと心の臓ふに穴が空いた感覚がいつまでもさらず………、おまけに。
『お父様…』
『っつ!!』
か細くも高く響いたその声に。
そして髪こそ私に似て赤く、しかし顔立ちは亡き妻の幼少時に瓜二つな一人娘のシェイラの顔、潤んだ眼差しを視界に捉えた時、何故か恐ろしいくらいに動揺した。
動揺して、わけもなく苛立ち、そして
最愛の妻の残した最愛の娘に、決して、人として決して言ってはならない事を、言った。
『…お父様、あ、の。私………伝え』
『何故お前が生きている』
『……………え』
『何故エリーシェが死んだ。死ななければならなかったんだ…何故……何故何故!何故お前が生きている!!っ何故っつっお!!!』
何故俺が生きている、そう感情のままに叫ぼうとした瞬間、急に我に帰った。
『………ご、めん、な、さい………お父、様……っ』
『!!!!!』
他ならぬ、娘のシェイラの言葉と、絶望した顔を耳に、目にして。
人として。それ以前に、他ならぬこの子の父親として。
取り消すことのできない、取り返しのつかない言葉浴びせ、罵ってしまったのだったー……
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