狼は野性を貪りたい

玄狼黒鉄

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13 血の盟約

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 血の盟約。獣人に伝わる、同族と認めた者を同族に招く術。

 簡単だ。獣人が相手のうなじを甘噛みし、背中に口付けをし、

 …そして、獣人が育んだ生命の素…獣人の乳を相手に飲ませる。

 半獣人であろうと人間であろうとその耳と尾は受け継がれる。

 そして獣人は彼らの妻にして母となる。

 …獣人たちはそうして命を繋いでいた。

―――――

「まさか、既に処女破られてるとはな…隅に置けねぇな」

 一番最初はレオルドだった。

「んー、だって、いい匂いだったんだぜ?ルプス」
「ふっ、まぁいい。今日から俺達は同じになれんだろ?」
「うん。レオルドもゲオルグもカイウスもルプスも、みーんな俺と同じ狼になってー…みんなでわんわんしよーぜ」
「それってセックスだろ?知ってる」
「セックスだけじゃねーだろー?」

 ふっ、と獰猛な笑みを零すレオルド。

「つーかなんで俺達を買ったんだ?奴隷として」
「まぁ、正当な手続きあれば、勝手できるし。あとさ、勿体無さがあったからさー」
「あー…女は引き取り手はあるが男はそうでもねぇもんな」
「そ。それにー…」
「お前がとんでもねぇホモ野郎だからか?」
「確かに男に囲まれてわんわんしたいってのはあったけどさー…」
「否定しねぇのかよっ!?」
「はいはい、首輪外したよー」

 おい、というレオルドを後目に、背後に回るヴァルカ。
 レオルドも理解して、床に座り、一息つく。

「なぁ、狼ってそもそも一夫一妻じゃねぇの?」
「世の中例外はあるもんだぜ?つーか一夫一妻は純血に多いかな」
「え、お前はじゃぁなんなんだ?」
「ちょっぴり人間入ってる」
「へぇ…じゃぁ俺らとは相性抜群なのか」
「そうだなー。それに…」

 レオルドの首筋に、犬歯を立てるヴァルカ。

「人間の血が入った獣人は、交尾した分産めますし?」
「へぇ、そりゃぁ…やりがいあるな」

 にやり、と笑う二人の姿は、窓には黒い影の獣として映っていた。

「さて、そのミルク貰うぜ?直接な」
「ちょっとだけだぜ?」

 情熱的な抱擁。そして激しい快楽。
 目の前に火花が散る程、二人は愛し合った。

―――――

「ゲオルグー、準備いい?」
「勿論です、御主人」

 レオルドも筋骨隆々の戦士のような体格だが、ゲオルグも負けず劣らずの精悍な肉体美を持つ男だ。

「んー、ゲオルグってかっこいいんだよなー。…よーし」

 かぷり、と噛みつくヴァルカ。

「…終わりましたか?」
「うん、終わり。次はー…」
「では、失礼」
「うぁっ!?」

 包み込むように抱かれたヴァルカ。驚く間も無く、乳首を啄まれる。

「あぁんっ」
「…愛らしい、俺の御主人…」

 耳を、尻尾を。大きく逞しい手が優しく、激しく撫でる。その快感が…
 ヴァルカの本能がゲオルグを欲した。

「ゲオルグぅっ、あぁっ」
「御主人…無礼をお許し下さい」

 強く吸い上げ、喉を鳴らし飲み干す。その音にヴァルカは我慢ならず絶頂した。

「あぅぅん…」
「も、申し訳ありません…その、脳が溶かされる程の甘さに、つい…」
「い、いいってぇ…あと、敬語はいらねぇよぉ…」
「…分かり、いえ、分かった」
「これからは、俺の家族だからな」
「嗚呼」

 甘く、長いキスを交わす。
 残り香の静かな清々しさは、月の光に照らされていた。

―――――

「御主人っ」
「ぅわっ!?」

 ぎゅー、と強く抱きしめられたヴァルカは、カイウスをどうにか引き剥がそうとした。

「おまえなー、力加減おかしいっての」
「御主人がいると、嬉しくてふわふわするんですよねー」
「まぁ、カイウスがいると穏やかになれるのは確かだけどさー」

 じゃれ合う二人。だがやるべきことはやる。

「カイウス、おすわり」
「はいっ」

 カイウスが犬のお座りのような姿勢を取る。
 そしてヴァルカに甘噛みされると、「わぅんっ」という声を出してしまった。

「カイウス…お前、前世犬だろ」
「えへへ、だったら嬉しいな」
「なんでだよ」
「だって、御主人の犬ですし」
「あっそう…まぁいっか」

 ふわふわとじゃれ合いながら、乳を吸われるヴァルカ。
 柔らかな時間を過ごした二人は何処か、幸せそうだった。

―――――

「んじゃ、最後は俺だな」

 狂犬。他の三人より細くも力強い肉体を持つ雄。

「また…する?」
「他の奴ともやってんだろ?無理すんなお前」

 ほら、と背中に誘導するルプス。

「はむっ」

 味わうようにうなじを噛んで、舐めて、甘く咀嚼する。

「こら、喰うな」
「喰われたお返しだ馬鹿犬」
「あぁ?どーやらもう一回ぶち込まれてぇみてーだな」
「うん、そのつもり」
「じゃーその雌胸味わう前に一発やって下拵えしてからにすっか」
「変態」
「雄を四人も囲うてめーが言うか」

 最早雌と化した場所を何度も舌で解され、ヴァルカは言葉にならない嬌声をあげる。

「ほらよ、もう雌じゃねぇか。出来上がってやんの」

 先もとろとろと溢れ、割れ目からもたっぷりと溢れ、最早雌としての機能が充実してきたヴァルカのその場所は、先の三人を既に受け入れた後だった。

「も、もう…だめぇ、見ないでくれよぉ」
「駄目。俺が満足するまで、てめーの恥ずかしい身体を見まくってやる。当然、何回イってもな」
「あぁ…おれ、雌になりゅぅ…」
「もうなってんだ、諦めな、御主人?」

 最強の雄にとことん雄を注がれたヴァルカ。
 その後はきっちり愛液を啜られ、体は白く染まっていた。

―――――

「ほら、終わったぜ」
「…にしても」

 耳が狼のそれになり、尻尾が生えた四人。

「へへ、雄らしいな、この尻尾」
「確かに、愛らし…ごほん」
「ゲオルグさん、もふもふ好きですよねー」
「はっ、既に触り放題じゃねぇか」

 くったりと眠る主人を横目に見る。

 綺麗にされた体は細くしなやかで、無駄がない。
 それでいて艶やかで無垢で…淫靡だった。
 男であることさえ分からない程、股間のものは雌と化していた。

「…俺ら、やっちまったんだなぁ」
「いいだろう。これからは養うのだから」
「元気な赤ちゃんが生まれるといいなぁ」
「当たり前だ、誰と誰と誰と誰と誰のガキだと思ってんだ」
「「「俺ら」」」
「だろ?」

 …まぁ、これで終わる彼らでないのも事実だが。
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