上 下
8 / 23

8

しおりを挟む
 とりあえず、リーンは、このピンクの部屋を拠点として、王都を歩き回り、何か記憶に繋がる断片をさがすことにした。

王子はそれなりに執務があるので、今晩は隣の部屋に泊まるらしいが、明日は王宮へ帰るとのこと。なので、ついでに王都へ連れていってもらう。


歩いて行けなくもないが、王家の森から出ると守護効果が切れるらしく、いま、全く魔法とかなにも使えないリーン1人では危ないからとの事。

王子が帰ったら、護衛の騎士を選抜してつけるのでそれまではデニールさんが、ついてきてくれることになった。

「デニールさんすみませんね、僕のお守りなんて」

「いえ、とんでもない、大賢者の護衛なんて、誉れでございますが、なにぶん、私は王家の守護が一番の仕事でして」

「そういえば、あの日、一番に駆けつけてくれたね」

「はい、王子より早急にリーン様を連れてこいとの命が下り、本来なら王子が誰よりも早く駆けつけたかったと思われるのですが……リーン様に部屋に魔法で鍵をかけられておりまして、出られなかったのです、あの時の王子の嘆きようといったら、私まで胃腸がネジ切れそうでした」

「あぁ……なんか、すみません」

魔法の鍵で王子を、閉じ込めるって、法的に訴えられたりしないんだろうか。余程王子は、聞き分けがなかったか、意地でもついて来ようとしたんだなと、安易に想像ができてしまう。

王子が王宮を丸ごと破壊しなくて良かった。やりかねないんだよ、あの人の言動きいてると。

デニールさんも、苦労するな。優しげで、優秀そうなデニールさんは、リーンに地図を渡した。

「明日から、王都を探索されるとの事ですが、何処へ行きたいたかなど、ご要望があれば」


「わぁ、ありがとう、ちょっと見ていいかな」

「勿論です」

地図は、かなり詳細に書かれていて、王宮の周りぐるりと、王都が広がっている、メイン道路が王宮の門からドーーンとあって、そこから、細やかに脇道がある。

かなりの大都市だ。書店やら、食べ物屋の他に、協会、薬屋、宿屋、武器屋、道具屋、鍛冶屋、冒険者ギルドもある、これは、ワクワク案件だ。


「冒険者って、職業があるんですか?」
「ええ、王都の護りは、我ら王宮騎士団のしごとですが、辺境の地や、王都の細やかな仕事に至るまで、冒険者は何でも屋ですね」


「へぇ、かっこいいな、僕も登録できるのかな」
「エッ、大賢者様がですか、登録は可能かと思いますが……大賢者様に物を頼むなんて畏れ多いことを民ができるかどうか」

「あーー、そういう弊害が」


確かに、賢者って、教会の牧師みたいな感じなんだろうか?僕の他に見習い賢者が20人いたと言ってたけど、その人達はどこにいるのかな。

「賢者って、どこにいるものなんです?」
「賢者の皆様は、こちらの王宮の横の大神殿でと、賢者の塔などを管轄しています」

「あぁ、賢者の塔にも行ってみたいんだった」

賢者の塔は、ちょうど王宮とこの森との反対側にある。

「賢者の塔は、今は封鎖されていて、入れないかもしれませんが、賢者協会に打診してみますね、リーン様なら許可が降りると思います」

「おお、特権!!やった」

「こうして、地図をみていると、色んなところを見てみたくなりますね、とりあえず、明日は、王宮で挨拶をした後、賢者協会?大神殿へいってまようかな」

「かしこまりました、では、私はこれで退室させていただきますが、御用ありましたら、いつでもお呼び下さい」

「ありがとう」

デニールさんは、リーンに敬礼すると、速やかに部屋を出ていった。隣の部屋からは、シャワーの音がする、どうやら王子はシャワーに入っているようだ。

「そうだよ、僕もお風呂に入りたい」

ピンクの部屋のドアは、なぜか、隣の王の部谷にしか出口がなく、気まずく思いながら、リーンは、扉を開けた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡でモブな僕が鬼将軍の番になるまで

月影美空
BL
平凡で人より出来が悪い僕、アリアは病弱で薬代や治療費がかかるため 奴隷商に売られてしまった。奴隷商の檻の中で衰弱していた時御伽噺の中だけだと思っていた、 伝説の存在『精霊』を見ることができるようになる。 精霊の助けを借りて何とか脱出できたアリアは森でスローライフを送り始める。 のはずが、気が付いたら「ガーザスリアン帝国」の鬼将軍と恐れられている ルーカス・リアンティスの番になっていた話。

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話

あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうきは、親に愛されたことがない子だった 親は妹のゆうかばかり愛してた。 理由はゆうかの病気にあった。 出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。 もう愛なんて知らない、愛されたくない そう願って、目を覚ますと_ 異世界で悪役令息に転生していた 1章完結 2章完結(サブタイかえました) 3章連載

片思いの練習台にされていると思っていたら、自分が本命でした

みゅー
BL
オニキスは幼馴染みに思いを寄せていたが、相手には好きな人がいると知り、更に告白の練習台をお願いされ……と言うお話。 今後ハリーsideを書く予定 気がついたら自分は悪役令嬢だったのにヒロインざまぁしちゃいましたのスピンオフです。 サイデュームの宝石シリーズ番外編なので、今後そのキャラクターが少し関与してきます。 ハリーsideの最後の賭けの部分が変だったので少し改稿しました。

人違いの婚約破棄って・・バカなのか?

相沢京
BL
婚約披露パーティーで始まった婚約破棄。だけど、相手が違うことに気付いていない。 ドヤ顔で叫んでるのは第一王子そして隣にいるのは男爵令嬢。 婚約破棄されているのはオレの姉で公爵令嬢だ。 そしてオレは、王子の正真正銘の婚約者だったりするのだが・・ 何で姉上が婚約破棄されてんだ? あ、ヤバい!姉上がキレそうだ・・ 鬼姫と呼ばれている姉上にケンカを売るなんて正気の沙汰だとは思えない。 ある意味、尊敬するよ王子・・ その後、ひと悶着あって陛下が来られたのはいいんだけど・・ 「えっ!何それ・・・話が違うっ!」 災難はオレに降りかかってくるのだった・・・ ***************************** 誤字報告ありがとうございます。 BL要素は少なめです。最初は全然ないです。それでもよろしかったらどうぞお楽しみください。(^^♪ ***************************** ただ今、番外編進行中です。幸せだった二人の間に親善大使でやってきた王女が・・・ 番外編、完結しました。 只今、アリアの観察日記を更新中。アリアのアランの溺愛ぶりが・・ 番外編2、隣国のクソ公爵が子供たちを巻き込んでクーデターをもくろみます。 **************************** 第8回BL大賞で、奨励賞を頂きました。応援してくださった皆様ありがとうございました(≧▽≦)

公爵家の次男は北の辺境に帰りたい

あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。 8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。 序盤はBL要素薄め。

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 随時更新です。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

厘/りん
BL
 ナルン王国の下町に暮らす ルカ。 この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。 ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。 国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。 ☆英雄騎士 現在28歳    ルカ 現在18歳 ☆第11回BL小説大賞 21位   皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。    

処理中です...