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ぼんやりと空を見上げていた。ここは大草原の真ん中で、目の前にはでっかい穴、空には青空と雲が何処までも広がっていて、つまり、何もない所に、僕はポツンと立っている訳。
何で立ってるかって?それは僕が今、一番聞きたいこと。
「え?何この穴、でかすぎ、てか、ここ何処、てか何でこんな所にいるんだよ」
つまり、何がなにやら、わからないからとりあえず空を見ていたと言うわけ。空は良いよね、流れる雲がゆっくりと形を変えて、くっついたり、離れたり早い風に流されて少しづつ変わっていく。
「おーーい!!おーーーい!!」
人の声がしたので、振り向くと、馬に乗った、騎士さんが、数名こちらに近づいてきた。
あ、よかった、人がいたわ。助けて貰おう。そう思って振り向いたののに、騎士達は、馬から降りると、ずさぁっと、その場に膝を着いた。まぁ、戸惑うよね。
「あの……は?」
「大賢者リーン·ケラー様とお見受けいたします、この度は我らダリアンの民を救っていただきありがとうございました」
「いや、あの」
「リーン様のお陰で、ダリアンは無事です!!」
「リーン様、お怪我はありませんか?御一人であのような化物と戦うなんて流石です」
「リーン様は我が國の英雄です」
「まじで、やっつけちゃうとか、流石リーン様です」
口々に、リーンという人を絶賛してるけど、何で僕は巻き込まれているんでしょ?ここは空気を読んで僕もそのリーン様とやらを絶賛した方が良いでしょうか?いや、誰か解らんし、てか、何したの?化物を一人でやっつけたって、どゆこと。
キョロキョロと、その偉大なるリーン様を探したが、ここには騎士と僕しか居ない。困ったな。心が綺麗じゃないと見えないタイプの人とか?
「リーン様、お疲れでしょう、王宮にお戻り下さい」
さ、どうぞと、手を引かれ、僕はやもえず、言った方が良いかな~と思って、とりあえず言った。
「あの、すみません、人違いでは?」
「はい?」
「僕はリーンでは無いのでは」
「………リーン様?」
「だから、僕は……誰ですか………え?あれ?僕は誰でしたっけ?んんんっ!?」
「「「「ぎゃぁ!!何てことだっ!!」」」」」
騎士達は、悲鳴を上げて、ぎゃぁぎゃぁと騒ぎだした。いやさ、悲鳴を上げたいのはこっちなのよ、だって僕、世に言う記憶喪失なんだよ、僕は誰なの。村人一般人Aでしょ?何でも良いから、英雄とかワケわからない人と勘違いしないで、むしろ僕を今すぐ助けてくれ。
「と、とにかく、王宮にお戻りに」
そうだ、そうだと、騎士達は混乱しながら、とりあえず問題を先送りにしやがった。
「でも、僕、ただの人かもしれないのに」
「いや、貴方はリーン·ケラー様で全く間違いはないです!!」
泣きながら騎士がそう叫んできたので、ええっと、ドン引き。てか、え?なんであんた達は泣いてるの?だから、泣きたいのはこっちなんよ。
「おそらくあの化物を倒す為に、巨大魔法を使われて…記憶が」
「何て事だ、人類の叡智がこんな」
しくしくと、泣きながら馬に乗る騎士達に連れられ、僕は仕方なく、おとなしく馬に乗った。というか、騎士の後ろにちょこんと乗せてもらって、王宮に向かう事にした。
だってこのままここで、リーンだ、リーンじゃないってやってても収集つかないし、なんかもう皆さん、泣きじゃくるし、ワケわかんないんだよ、早く解放してほしいんよ。
「はぁ、風呂入りたい」
「王宮に報告に行った後に、御自宅へ送りますね、それまで、どうか……我慢してくださ……あぁこれ以上あなた様に我慢を強いるなんて、ううっ」
俺を乗せてる騎士が、半泣きで、答えてくれたが、途中から嗚咽になったので、もう、風呂の話しはできなかった。
何で立ってるかって?それは僕が今、一番聞きたいこと。
「え?何この穴、でかすぎ、てか、ここ何処、てか何でこんな所にいるんだよ」
つまり、何がなにやら、わからないからとりあえず空を見ていたと言うわけ。空は良いよね、流れる雲がゆっくりと形を変えて、くっついたり、離れたり早い風に流されて少しづつ変わっていく。
「おーーい!!おーーーい!!」
人の声がしたので、振り向くと、馬に乗った、騎士さんが、数名こちらに近づいてきた。
あ、よかった、人がいたわ。助けて貰おう。そう思って振り向いたののに、騎士達は、馬から降りると、ずさぁっと、その場に膝を着いた。まぁ、戸惑うよね。
「あの……は?」
「大賢者リーン·ケラー様とお見受けいたします、この度は我らダリアンの民を救っていただきありがとうございました」
「いや、あの」
「リーン様のお陰で、ダリアンは無事です!!」
「リーン様、お怪我はありませんか?御一人であのような化物と戦うなんて流石です」
「リーン様は我が國の英雄です」
「まじで、やっつけちゃうとか、流石リーン様です」
口々に、リーンという人を絶賛してるけど、何で僕は巻き込まれているんでしょ?ここは空気を読んで僕もそのリーン様とやらを絶賛した方が良いでしょうか?いや、誰か解らんし、てか、何したの?化物を一人でやっつけたって、どゆこと。
キョロキョロと、その偉大なるリーン様を探したが、ここには騎士と僕しか居ない。困ったな。心が綺麗じゃないと見えないタイプの人とか?
「リーン様、お疲れでしょう、王宮にお戻り下さい」
さ、どうぞと、手を引かれ、僕はやもえず、言った方が良いかな~と思って、とりあえず言った。
「あの、すみません、人違いでは?」
「はい?」
「僕はリーンでは無いのでは」
「………リーン様?」
「だから、僕は……誰ですか………え?あれ?僕は誰でしたっけ?んんんっ!?」
「「「「ぎゃぁ!!何てことだっ!!」」」」」
騎士達は、悲鳴を上げて、ぎゃぁぎゃぁと騒ぎだした。いやさ、悲鳴を上げたいのはこっちなのよ、だって僕、世に言う記憶喪失なんだよ、僕は誰なの。村人一般人Aでしょ?何でも良いから、英雄とかワケわからない人と勘違いしないで、むしろ僕を今すぐ助けてくれ。
「と、とにかく、王宮にお戻りに」
そうだ、そうだと、騎士達は混乱しながら、とりあえず問題を先送りにしやがった。
「でも、僕、ただの人かもしれないのに」
「いや、貴方はリーン·ケラー様で全く間違いはないです!!」
泣きながら騎士がそう叫んできたので、ええっと、ドン引き。てか、え?なんであんた達は泣いてるの?だから、泣きたいのはこっちなんよ。
「おそらくあの化物を倒す為に、巨大魔法を使われて…記憶が」
「何て事だ、人類の叡智がこんな」
しくしくと、泣きながら馬に乗る騎士達に連れられ、僕は仕方なく、おとなしく馬に乗った。というか、騎士の後ろにちょこんと乗せてもらって、王宮に向かう事にした。
だってこのままここで、リーンだ、リーンじゃないってやってても収集つかないし、なんかもう皆さん、泣きじゃくるし、ワケわかんないんだよ、早く解放してほしいんよ。
「はぁ、風呂入りたい」
「王宮に報告に行った後に、御自宅へ送りますね、それまで、どうか……我慢してくださ……あぁこれ以上あなた様に我慢を強いるなんて、ううっ」
俺を乗せてる騎士が、半泣きで、答えてくれたが、途中から嗚咽になったので、もう、風呂の話しはできなかった。
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