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店を出たふたりは、戦勝を祝う為に賑わっているオアシスのメイン通りを歩いた。
そんなに広い町ではないが、砂漠では貴重な水を求めてやって来た旅人や、商人達がいつの間にか居着いて、それなりの町となった。オアシスを管理する総督、商業ギルドなんかもきちんとある。昔は闇市のような不穏な所もあったが、今ではクライス王国と砂漠都市を結ぶ重要な拠点として、発展してきた。
二人は無言で歩いていたが、リュカの歩幅が大きいので、リズとしては早足でその背中を追っていた。
しかし、突然リュカが足を止めたので、リズはその背中に顔をぶつけた。
「あぅっ」
「大丈夫……すか」
「は、はぃ、すみません、勢いがついてて」
リズが背中にそのまましがみついているせいで、リュカはカチンと固まってしまった。
服越しに、リズの体温が背中に伝わってきて、その温かな柔らかい身体を腕の中に閉じ込めたい衝動が沸き上がってきて、まずいと、リュカは、さっとリズから離れた。
「あ」
距離を取られたリズは、リュカがなぜ離れてしまったのか解らず、さびしそうな顔をした。
「すみません、リュカさん、嫌でしたか」
「いえ」
それ以上会話が続かず、無言でまた歩く。
「リュカさん……って、僕とあんまりしゃべってくれないですよね」
急にリズが涙目でリュカを見つめたので、リュカはぎょっとした。
「へ!?」
「だって、さっき、モーガン隊長や、ホフマンさんとは楽しそうに話してたのに、僕とは……僕、つまんないですか?面白い会話できないから、リュカさん、僕のこと、つまんないって思わないですか、いつか飽きて」
言ってる間に、涙がどんどんせりあがってきて、リズはうつ向いた。
「んな、わけない、リズとは、一緒に居るだけで楽しいから会話を忘れてただけっすよ」
「ほんとですか?いつか、僕のことつまんないやつだって、思ったりしないですか」
「しない、リズは変だし」
「変!?ウウッ」
「や、ちが、間違えた、変っうか、普通じゃないっうか、全然他のやつと違って、特別で、凄く大事で、そばに居れるだけで幸せで、だから、あーー上手く言えないっすけど、めちゃ大事なんだ、あんたに飽きるなんて日来るわけない、ずっと……こんな風にそばに居るの無理だと思ってたし」
無理だとずっと思っていた。リズが勉強を必死で頑張れば頑張るほど結婚したくないからあんなに必死なのだと、そばに行くこともできずに、ただ、リズの邪魔になりそうなヤツを取り除いて、遠くから見ていた。
「俺、同じ大学にいたんだ、一年間だけだけど」
「エッ!!そうなんですか、じゃぁ、僕たちすれ違ったりとかしてたんですか」
「うん」
「ぼ、僕、変な顔とかしてなかったですか、友達もいなかったし、恥ずかしいな、髪とかもボサボサだったし、寝不足だったし」
カカカカっと顔を赤らめてしまう、リズの頭を、リュカは優しくなぜた。
「ずっと、頑張ってるなって、偉いなって思っていた、でも、辛そうな時もあったから、そういう時はそばにいけたら良いのにと思ってた」
優しくなぜられて、リズは、昔の学生だった頃の自分を思い出した。難しい勉強、膨大な暗記、やってもやっても知識が逃げていくような苦しみ、辿り着けない完璧さ、単位を落とす夢……あの頃は自分の不出来さに打ちのめされて、暗く、回りをみず、貝のように綴じ込もって生きてた。
「あんな僕をみて、嫌いにならないなんて、リュカさんこそ、変です、僕に好かれる要素なんか1つもない、みっともないばっかりで、あぁぁ、もうあの頃の僕を見られてたなんて恥ずかしすぎる」
「な、んなことない、お前は実は凄くモテモテだったし、声かけたそうなやつもいっぱい居たけど、俺が……ちょっとだけ排除したというか」
「エ?」
「だって、俺だって話したいのに、許嫁だし、立場的には俺が、リズの……一番で、いた、かった、し」
最後の方は消え去りそうな声になってしまって、とても世間でいうところの大将軍なんて威厳はなかった。
18歳の年下の男の子が我が儘を言ってるような、そんな感じに思えて、リズは、リュカが可愛い人なのだと、気づいて、目を輝かせた。
「リュカさん、可愛い」
「はっ!?なっ、なに言って」
「可愛いです、僕、なんか今すごく、リュカさんを甘やかしたい、可愛い」
「ぐっ」
真っ赤になってしまった、リュカをリズは、なお可愛いと思った。
そんなに広い町ではないが、砂漠では貴重な水を求めてやって来た旅人や、商人達がいつの間にか居着いて、それなりの町となった。オアシスを管理する総督、商業ギルドなんかもきちんとある。昔は闇市のような不穏な所もあったが、今ではクライス王国と砂漠都市を結ぶ重要な拠点として、発展してきた。
二人は無言で歩いていたが、リュカの歩幅が大きいので、リズとしては早足でその背中を追っていた。
しかし、突然リュカが足を止めたので、リズはその背中に顔をぶつけた。
「あぅっ」
「大丈夫……すか」
「は、はぃ、すみません、勢いがついてて」
リズが背中にそのまましがみついているせいで、リュカはカチンと固まってしまった。
服越しに、リズの体温が背中に伝わってきて、その温かな柔らかい身体を腕の中に閉じ込めたい衝動が沸き上がってきて、まずいと、リュカは、さっとリズから離れた。
「あ」
距離を取られたリズは、リュカがなぜ離れてしまったのか解らず、さびしそうな顔をした。
「すみません、リュカさん、嫌でしたか」
「いえ」
それ以上会話が続かず、無言でまた歩く。
「リュカさん……って、僕とあんまりしゃべってくれないですよね」
急にリズが涙目でリュカを見つめたので、リュカはぎょっとした。
「へ!?」
「だって、さっき、モーガン隊長や、ホフマンさんとは楽しそうに話してたのに、僕とは……僕、つまんないですか?面白い会話できないから、リュカさん、僕のこと、つまんないって思わないですか、いつか飽きて」
言ってる間に、涙がどんどんせりあがってきて、リズはうつ向いた。
「んな、わけない、リズとは、一緒に居るだけで楽しいから会話を忘れてただけっすよ」
「ほんとですか?いつか、僕のことつまんないやつだって、思ったりしないですか」
「しない、リズは変だし」
「変!?ウウッ」
「や、ちが、間違えた、変っうか、普通じゃないっうか、全然他のやつと違って、特別で、凄く大事で、そばに居れるだけで幸せで、だから、あーー上手く言えないっすけど、めちゃ大事なんだ、あんたに飽きるなんて日来るわけない、ずっと……こんな風にそばに居るの無理だと思ってたし」
無理だとずっと思っていた。リズが勉強を必死で頑張れば頑張るほど結婚したくないからあんなに必死なのだと、そばに行くこともできずに、ただ、リズの邪魔になりそうなヤツを取り除いて、遠くから見ていた。
「俺、同じ大学にいたんだ、一年間だけだけど」
「エッ!!そうなんですか、じゃぁ、僕たちすれ違ったりとかしてたんですか」
「うん」
「ぼ、僕、変な顔とかしてなかったですか、友達もいなかったし、恥ずかしいな、髪とかもボサボサだったし、寝不足だったし」
カカカカっと顔を赤らめてしまう、リズの頭を、リュカは優しくなぜた。
「ずっと、頑張ってるなって、偉いなって思っていた、でも、辛そうな時もあったから、そういう時はそばにいけたら良いのにと思ってた」
優しくなぜられて、リズは、昔の学生だった頃の自分を思い出した。難しい勉強、膨大な暗記、やってもやっても知識が逃げていくような苦しみ、辿り着けない完璧さ、単位を落とす夢……あの頃は自分の不出来さに打ちのめされて、暗く、回りをみず、貝のように綴じ込もって生きてた。
「あんな僕をみて、嫌いにならないなんて、リュカさんこそ、変です、僕に好かれる要素なんか1つもない、みっともないばっかりで、あぁぁ、もうあの頃の僕を見られてたなんて恥ずかしすぎる」
「な、んなことない、お前は実は凄くモテモテだったし、声かけたそうなやつもいっぱい居たけど、俺が……ちょっとだけ排除したというか」
「エ?」
「だって、俺だって話したいのに、許嫁だし、立場的には俺が、リズの……一番で、いた、かった、し」
最後の方は消え去りそうな声になってしまって、とても世間でいうところの大将軍なんて威厳はなかった。
18歳の年下の男の子が我が儘を言ってるような、そんな感じに思えて、リズは、リュカが可愛い人なのだと、気づいて、目を輝かせた。
「リュカさん、可愛い」
「はっ!?なっ、なに言って」
「可愛いです、僕、なんか今すごく、リュカさんを甘やかしたい、可愛い」
「ぐっ」
真っ赤になってしまった、リュカをリズは、なお可愛いと思った。
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