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嵐のような種付け行為が終わると、ソイフィールは、またいずれと、言い残し去っていった。残された俺は、ベッドの上から起き上がれずにぐったりと寝そべっていた。ジンジンと疼く尻の穴はソイフィールがまだ入っているような感覚を残して、絞り尽くされた一物はくにゃりと元気なく、何よりも身体中が痛い。



(やってくれた、あの変態紳士め)



ぐぬぬぬと、昨晩の痴態を思いだし恥ずかしさで枕に顔を埋めていると、カインが心配そうにやってきた。



「テオドール様、御加減はいかがですか」

「……最悪です、痛い」

「すぐに痛みに効く薬湯をお持ちします」

「うん」



カインがパタパタと急いで出ていってから、少しだけ後悔をする。カインに当たっても仕方ないのに。でもさ、こんな風になるなんて思ってなかったんだ。話をした感じだと、すぐしなくていいってそういう感じで話が進んでたはずのに、紅茶を飲んでから身体が変になって、助けを求めたのにそばにカインがいなかった。カインがいたら、あんなことしなかったのに。



薬湯をもって、カインが戻ってきた。緑色の液体の入った湯呑みを渡され、口をつける。



「苦いっ、ううっ」

「少しでもお飲み下さい、痛みが和らぎます」

「あの人、しないっていってなかった?俺がしたくないならしないって言ってたのに、カイン聞いてたでしょ?」

「はい」

「なんで、側にいてくれなかったの?俺が変になったときカイン何処にいたの」

「……申し訳ございません」

「謝って欲しいんじゃないよ、俺、カインのこと信じてたのに、やだって言ったら助けてくれると思ってたのに、俺あんなの、嫌だったよ、あんな、あんな気持ちのついてこないセックスなんてしたくなかった、君たちはなんとも思わないかもしれないけど、俺は……怖かった」



バシャッとカインに湯呑みを投げつけた。緑色の液体がカインの服に飛び散り、カインを濡らした。カインはそれを広いそして頭を下げた。



「申し訳ございません、カインが悪うございました」

「なんでっ、なんで助けてくれなかったの」

「テオドール様にとって、ソイフィール様は無くてはならない御方です……しかしカインは思い違いをしておりました、二度とこのような事がないようこれからは決してお側を離れません」

「カイン、こっちにきて」

「はい」

「もっと、きて、抱き締めて」

「はい」

「俺、怖いよ、これからずっとこんなことをするの、怖い、こんなの普通じゃないんだよ、ねぇ、違うんだよ、俺にとっては普通じゃないんだよ」

「テオドール様……申し訳ございません」



カインにぎゅっと抱き締めてもらって、ようやく、気持ちが落ち着いてゆく。カインの髪をぎゅっと引っ張って無理やり口づけをした。カインは少しだけ驚いた様に目を見開いたが、受け入れて優しいキスを返してくれた。何故だが涙が溢れてきた。ペロペロとその涙を舐めてくれる優しいカインにしがみついて、しばらく、泣いた。



情けない、カインのせいじゃない、カインは仕事を全うしただけ。最初から言っていた、種付けをしなければならないと、それが魔王の仕事だと。言っていたのだから、カインを責めるのはおかしい。



おかしいのに、嫌だと言ったとき、助けに来なかったことが悲しかった。



「嫌って……いったらすぐきて、ねぇ、俺にはお前しかいないんだよ、お前が助けてくれなかったら、俺はここで暮らせないよ」

「テオドール様、お約束いたします」

「絶対きてほしい」

「必ず」

「うん、服、濡らしてごめんね、一緒にお風呂に行こう」

「はい」



カインに抱き上げられる。俺はカインの首に抱きついたまま、離れなかった。



湯船に浸かりながら、俺はぼんやりとしたいた。せっせと身体を洗うカインにされるがまま、ぼんやりと働くカインを見つめていた。カインの瞳って、淡い金色なんだなぁ。髪は赤で、耳が少しだけ尖ってる。西洋系の顔だし、悪魔ってイケメンばっかなのかな。



「あの、テオドール様、少しだけお聞きしても宜しいですか?」

「うん、なに?」

「身体の痛みはまだございますか?」

「え、あーー、うん、ちょっとだけ」



ずいぶん痛め付けられたように思ったけど、僅かにジンジンと奥が疼くくらいで、他には痛みはない。



「魔王様の御体は実はその、痛みをあまり感じなくて済む御体でして」

「は?だってさっき滅茶苦茶痛かったよ」

「その、痛いと思えば痛みも感じることができるのですが、意識の置き換えと言いましょうか、痛くないと思えば、魔王様は痛みを感じなくて済むのです」

「え、どゆこと?」

「魔王様はほぼ肉体へのダメージを受けないので、痛いとさえ思わなければ痛みを感じないはずなのです、現にどこもお怪我をされていないですよね」

「……え、それって、俺があの時いたがったから、痛いと感じてたってこと?」

「はい」

「なにそれ、無敵じゃん」

「魔王様へ危害を加えられないわけではないのですが、例えば天使による封印のように魔力を封じ込められてしまうとダメージが入りますので、封印系の呪術には気をつけていただかねば」

「あーーだから、カイン、封印解かなきゃって焦ってたのか」

「はい、酷なようですが、魔王様が召喚されたときより、予定が詰まっておりましたので急ぎました」

「なるほどね、で、まさか明日は?」

「明日からは執務室での公務と、午後に第二王家の若君をご紹介いたします、まだ満月ではありませんので紹介だけです」

「働かざる者食うべからずか」




はぁっと、ため息を吐くと、カインがお紅茶をお持ちしますと、優しく微笑んでくれた。

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