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 二人の会話の中に自分の名前が出てるの、気になりすぎる。そわそわしてる僕を、昴はじっと見詰めて、手に持っていたスプーンをテーブルに静かに置いた。

「カテリーナが言うには、飛羽の涙の効力が切れたみたい」
「は?なんて?」

「つまり飛羽の涙で一時的に舌が麻痺して味を感じてたみたい」

「なんか僕、毒虫みたいな扱いになってない?え?僕の涙で昴は味が復活するの?なんだそのファンタジーは」

もじっと、昴がなにやら、もじもじして、言いずらそうに、視線を彷徨わせた。

「ど、どうした?」

「飛羽の涙もう1回なめたい」

「は?いやいやいや、そんな急に涙でないよ、無理だ、演技派俳優じゃないんだから」

昴はちょっとがっかりして、いや、がっかりするなよ、無理だろ、急には。カテリーナさんにまたペラペラ喋ってる。
んでまた、意味ありげに僕を見つめるんだよ、だからどうしたって。

「今度はなんだ」
「キスでも良いって」
「ンンンッ、ゲホッゲホッ」

「他の方法もあるけど……」
「いや、今は他の方法聞かなくて良いわ、予想が出来てしまう僕が恐い、まぁ、何にせよ、僕の体液的なのを接種すると味が解るという謎設定なわけだな?」

「謎って程じゃないよ、ツガイの体液は甘く感じるしアルファにとっては麻薬みたいな効果があるんだから」

「えーーっと、敢えて言うが、僕たちはまだツガイじゃないよな?」

「たぶん、架空ツガイかも」

「架空ツガイ!?あ、あれか、架空妊娠みたいな、実際は妊娠してないけど腹が膨らんで来ちゃう的な」

「そういう事だと推測する、そばにずっといた飛羽にどうやら、僕の身体が過剰反応したみたいだ、、他のオメガの人と居てもこんなこと1度も無かったから、心因的な要因が大きいと思う」

「ちょっと昴君、他のオメガの人とってくだり、後で詳しく聞くからな、今はスルーするけど」

若干イラっとしたのは許して欲しい。だって、面白く無いでしょ、他のオメガと一緒に居るってどういう状況だよ。スルーできてないな、ムカムカが止まらなくなってきちゃってるよ。
昴は僕のムカムカを察したのか、真顔でブンブンと頭を振った。

「実験データを取る時に部屋に居るだけだよ、確かに向こうは発情してたかもだけど、僕はフェロモンの影響受けないし」

「ええっ、発情したオメガと部屋に!?襲われまくりじゃねーか」

「いや、流石にこっち来たら、シーツで縛る」

「流石、全国一位だけど、おまえ、それも実験データのためなの?えげつない事されてるなぁ、オメガ恐怖症によくならなかったな」

「一時期なったけど、それももう通り越したから、ただ気の毒に思うだけだよ、仕事とはいえ」

あぁ、まぁ、昴はそういうヤツだよな、発情してるからって誰彼構わずいただきますとはならんか。しかも恋もしたことない、好きにもなったことないのに、いきなり発情オメガと閉じ込められるとか、怖かっただろうに。シーツでくるまれた発情オメガさんには悪いが、シーツがあって良かった。ただ、気になるから一応聞いてみるか。

「仕事……ちなみに、時給は?」

「それ聞いてどうする気?相手が飛羽だったら、僕はラット起こしてるよ、優しくできないよ、止めてよ」

まじであの温厚な昴が、ちょっと怒った口調になってプイッと横を向いてしまった。

「え、おま、ちょっと僕いま、きゅんとしたわ」
「むっ」

昴の顔が多少赤らんでると思うのは、気のせいなのか?あの昴が?いつもシレッと、僕のあれやこれやをペロペロしてもスンて顔してる昴が?ちょっとイケメンの恥ずかし顔かなりのキュンキュンポイントだぞ。あーーからかいたい。しかし、今は大切な話をしてるから我慢しとくか。んとにもう、昴のこと、無性に構い倒したくなる時有るんだよなぁ、なんなのこの感情。はーーむずむずする。

「で、だ、キスしたらまた味が解るかも?と」
「うん」

「そうか、解った……明日にしよう」
「えっ!?今はしないの?」

「今はしません、人前ではしません、僕は逃げないから実験はいつでも出来るけど、人前ではしません」
「カテリーナは、人っていうか……気にしなくても」

ぶつくさ文句を言う昴、ちょっとレアだな。なんだよ、余程僕とキスしたいのか?そんな拗ねた顔されたら絆されちゃうわい。

「よる……しよ」
「うん」

パァァって、聞こえそうなくらい昴の顔が明るくなって、うっ、ま、眩しい。顔良い。たぶん、味がしないであろう、プリンを上機嫌でたべだして、可愛いヤツ。あぁ、僕、もう本当に昴のことかなり好き過ぎて、なんでも可愛く見えちゃうよぉ。















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