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ポーンと、玄関のベルがなって「あいあいあいあい」と何度も返事をしながらカテリーナさんが玄関へ出ていった。カテリーナさん、返事も1回で良いんだよ。そして、そんな勢いでカートをガシャンガシャン押さないでぇ!!
「わーーカテリーナさん、僕が運びますっ!!せ、繊細な料理が崩れる、もったいない」
すっかりここのデリバリーのファンになってしまった僕としては、肉の上に乗った淡雪の様なソースが飛び散ってる図など見たくない。あのお肉のそばのお野菜も1本1本が緻密に計算され配置されている芸術なんだよ。目で楽しみ味で楽しみの高級料理なの。頼むから乱暴にあつかわないでぇ。
「オゥ、ペラペラペラペラペラペラ、トバネ、ヤサシーアルね」
「優しさ違う、カテリーナさんはちょっと何というか、ガサツですけど」
慎重にトレーを移す僕の横で、カテリーナさんは一仕事終えたかのように、瓶ビールの蓋をあけてる。いや、もう飲むの!?早くない?てか、カテリーナさんもここで当然の様に食べるつもりね。まぁ、僕もですけど。大丈夫、三人分の分量あるわ、昴、グッジョブ。
「すばるーーっ、おーい、ボケッとしてないでこっち来て、スバルちゃん!?」
なにやらボーッとしてる昴を呼び、椅子に座らせる。僕の言うことちゃんと聞いて素直に座る昴はなんか、可愛いな。昴、年下だしな、甘えてろ甘えてろ。頭をグリグリしたくなる衝動を堪え、僕はせっせとテーブルに食事をセッティングした。あぁ、またあの美味しいオレンジジュースまであるよ、まじで天国だなここ。イケメン、美女(ガサツ)に囲まれこんな極上の食事を堪能できるとか、その対価に僕の命のゲージが徐々に減っていたとしてもこのまま使いきりたい気持ちだよ。
綺麗にセッティングできて、一息ついた所でカテリーナさんが、もう肉にナイフを突き立て切りだした、あぁ、いただきますもせずに……ってか、欧米はいただきますって無いのかな、テレビでは、よく欧米の人が、天におります我らの神よってやってるのはあれは皆がやってる訳ではないのかな。まぁ、楽しそうに飲んで食ってしてるからいっか。心に信じる神やシキタリなんて人それぞれだしな。
昴はというと、食べ物をじっと見詰めて固まってる。もしかして、食べて味がやっぱり解らなかったらがっかりするから食べるの躊躇ってるのかな、こんなに美味しいのにこの旨さが解らないって、そんな悲しいことある?昴のことが、猛烈に可哀想になって僕は昴のそばにいって、肉を小さく切り分けて、フォークに刺した。
「はい、昴、あーん」
「え?」
「あーんだよ、あーん、知らないのか?お口開けてみ」
言われるままに、昴が口を開けたので、そこへポッと肉を差し込んだ。昴の歯とフォークが微かに擦れて、カチッと音が鳴った。
「どう?昴、味する?」
「うん……もぐもぐ、美味しい、これが肉の味」
「ど、どんな味がする?」
「何ともいえない色んな味が混じってて、1つじゃない」
「そうね、ソースの味とかニンニクとかバターとかオリーブオイルや、バジルも入ってそうだし、ソースはもうこれは僕の想像を絶する何かの出汁が入ってるはず、とにかく旨いんだよな?」
「うん、美味しい、美味しいよ」
「そうか、良かったな、良かったなすばるっ!!」
僕は自分の肉を食べるのも忘れて喜んだ。美味しいものを美味しいって食べれるの最高だよな!!楽しいことグラフがぐんっと上がったよな、僕たちはこれから、楽しい事いっぱいいっぱい集めて、生きていくんだからな、昴が嬉しそうで、僕もとっても嬉しい。幸せだと思った。
信じられる?ツガイにフラれて、たった2日でこんなに幸せな気持ちになれるって。人の人生なんて本当に解らないものだな。
つらいばっかりじゃない、暗いばっかりじゃない、明るい、楽しいことって平等に有るんだな。落ちても上がる、落ちたからこそより高く上がれるのか?とにかくさ、凄く嫌なことあった後の、良いことってさ、すごい気持ちいいな、からだの中に灯りが灯ったみたいにパァって暗い靄が晴れてく。
「ほら、昴、もっとくえ、なんなら僕の肉もあげるから食べろ、食べろ、美味しいな、良かったな、なっ、昴」
まるで祭や宴会みたいに、僕は気持ちが舞い上がって、今晩の夕食は楽しくて楽しくてしかたなかった。
「あ……」
デザートのチョコプリンを食べようとした時、急に昴がしょぼんとしだして、僕はプリンをごくんと飲み込んだ。
「どうした昴?」
「味しない」
「ええっ!!治ったんじゃなかったの!?カテリーナさん!?」
「アーーペラペラ、ペラペラペラペラペラペラペラペラトバネペラペラペラペラ」
「トバネペラペラ?ペラペラペラペラペラペラ」
「ヤーペラペラペラペラペラペラペラペラ、トバネペラペラペラペラペラペラ」
あのさ、会話に僕の名前ちょいちょい出てきてない?変な日本語で良いから、日本語で喋ってくれないかなぁ、僕だって心配になるんだけど。
「わーーカテリーナさん、僕が運びますっ!!せ、繊細な料理が崩れる、もったいない」
すっかりここのデリバリーのファンになってしまった僕としては、肉の上に乗った淡雪の様なソースが飛び散ってる図など見たくない。あのお肉のそばのお野菜も1本1本が緻密に計算され配置されている芸術なんだよ。目で楽しみ味で楽しみの高級料理なの。頼むから乱暴にあつかわないでぇ。
「オゥ、ペラペラペラペラペラペラ、トバネ、ヤサシーアルね」
「優しさ違う、カテリーナさんはちょっと何というか、ガサツですけど」
慎重にトレーを移す僕の横で、カテリーナさんは一仕事終えたかのように、瓶ビールの蓋をあけてる。いや、もう飲むの!?早くない?てか、カテリーナさんもここで当然の様に食べるつもりね。まぁ、僕もですけど。大丈夫、三人分の分量あるわ、昴、グッジョブ。
「すばるーーっ、おーい、ボケッとしてないでこっち来て、スバルちゃん!?」
なにやらボーッとしてる昴を呼び、椅子に座らせる。僕の言うことちゃんと聞いて素直に座る昴はなんか、可愛いな。昴、年下だしな、甘えてろ甘えてろ。頭をグリグリしたくなる衝動を堪え、僕はせっせとテーブルに食事をセッティングした。あぁ、またあの美味しいオレンジジュースまであるよ、まじで天国だなここ。イケメン、美女(ガサツ)に囲まれこんな極上の食事を堪能できるとか、その対価に僕の命のゲージが徐々に減っていたとしてもこのまま使いきりたい気持ちだよ。
綺麗にセッティングできて、一息ついた所でカテリーナさんが、もう肉にナイフを突き立て切りだした、あぁ、いただきますもせずに……ってか、欧米はいただきますって無いのかな、テレビでは、よく欧米の人が、天におります我らの神よってやってるのはあれは皆がやってる訳ではないのかな。まぁ、楽しそうに飲んで食ってしてるからいっか。心に信じる神やシキタリなんて人それぞれだしな。
昴はというと、食べ物をじっと見詰めて固まってる。もしかして、食べて味がやっぱり解らなかったらがっかりするから食べるの躊躇ってるのかな、こんなに美味しいのにこの旨さが解らないって、そんな悲しいことある?昴のことが、猛烈に可哀想になって僕は昴のそばにいって、肉を小さく切り分けて、フォークに刺した。
「はい、昴、あーん」
「え?」
「あーんだよ、あーん、知らないのか?お口開けてみ」
言われるままに、昴が口を開けたので、そこへポッと肉を差し込んだ。昴の歯とフォークが微かに擦れて、カチッと音が鳴った。
「どう?昴、味する?」
「うん……もぐもぐ、美味しい、これが肉の味」
「ど、どんな味がする?」
「何ともいえない色んな味が混じってて、1つじゃない」
「そうね、ソースの味とかニンニクとかバターとかオリーブオイルや、バジルも入ってそうだし、ソースはもうこれは僕の想像を絶する何かの出汁が入ってるはず、とにかく旨いんだよな?」
「うん、美味しい、美味しいよ」
「そうか、良かったな、良かったなすばるっ!!」
僕は自分の肉を食べるのも忘れて喜んだ。美味しいものを美味しいって食べれるの最高だよな!!楽しいことグラフがぐんっと上がったよな、僕たちはこれから、楽しい事いっぱいいっぱい集めて、生きていくんだからな、昴が嬉しそうで、僕もとっても嬉しい。幸せだと思った。
信じられる?ツガイにフラれて、たった2日でこんなに幸せな気持ちになれるって。人の人生なんて本当に解らないものだな。
つらいばっかりじゃない、暗いばっかりじゃない、明るい、楽しいことって平等に有るんだな。落ちても上がる、落ちたからこそより高く上がれるのか?とにかくさ、凄く嫌なことあった後の、良いことってさ、すごい気持ちいいな、からだの中に灯りが灯ったみたいにパァって暗い靄が晴れてく。
「ほら、昴、もっとくえ、なんなら僕の肉もあげるから食べろ、食べろ、美味しいな、良かったな、なっ、昴」
まるで祭や宴会みたいに、僕は気持ちが舞い上がって、今晩の夕食は楽しくて楽しくてしかたなかった。
「あ……」
デザートのチョコプリンを食べようとした時、急に昴がしょぼんとしだして、僕はプリンをごくんと飲み込んだ。
「どうした昴?」
「味しない」
「ええっ!!治ったんじゃなかったの!?カテリーナさん!?」
「アーーペラペラ、ペラペラペラペラペラペラペラペラトバネペラペラペラペラ」
「トバネペラペラ?ペラペラペラペラペラペラ」
「ヤーペラペラペラペラペラペラペラペラ、トバネペラペラペラペラペラペラ」
あのさ、会話に僕の名前ちょいちょい出てきてない?変な日本語で良いから、日本語で喋ってくれないかなぁ、僕だって心配になるんだけど。
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