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 昴と僕はしばらく二人でお互いにしがみついていた。何を思ったのか、昴は、僕の首の火傷痕の上に貼ってあるガーゼをそっと、触った。僕は、ピリッと、傷みを感じて、身体をびくって震わせた。わーー触るでない!!

「うっ、あ、だめだめ触っちゃ、ちょっとでも、痛い」
「ごめん」

もしかして、火傷痕みようとしたのかな?まぁ、結構盛大に焼いたから、グチュグチュかもね、オぇ、気持ち悪い。

「火傷痕気になる?僕も自分じゃ見れないけど、きっと醜いだろな、はは、ついさ、カッとなってやっちゃった」

抱き締められながらだと、顔が見えないから、調子こいたこと平気でぺらぺらしゃべっちゃう。昴は、さっきよりは落ち着いた声してるけど、こんな話しきっと楽しくないだろうし、適当に終わらせて、なんか楽しい事したいと思うのに、昴はこの話題に妙に食い下がってきた。

「自分で焼いたの?」
「そ、自分でやった、でも全く後悔してないんだこれが、むしろあの場面で僕としてはよくやったって褒めたいくらい」

「痛かったでしょ」
「痛みより、怒りが勝ったっていうか、まじで本当に焼いてる時は何にも感じなかったんだわ、怖いよな、ツガイ痕消すとき、普通はレーザーとかで痕残さないように焼くんだけどさ、フライパン超手っ取り早くて、的確に焼けて、まじ万能器具だなと思ったよ」

一家に一台フライパンだよな、って、ふざけて言ってもなかなか昴の気持ちが上がってこない。一回落ちるとなかなか浮上出来ないタイプの子ね、昴。

「どうして……焼いたの」
「今日は本当に、何で何で坊やだな、どうしてかって?そりゃ、ツガイ契約を解除したかったからな、1秒でも早く、じゃなきゃ、耐えられなかった、僕のツガイだった人さ運命の相手を見つけたんだって、それでその人とツガイ契約を結んでたんだ、ふざけてるよね、僕に内緒でね、そんな事できる人じゃないと思ってたけど、思い違いだったみたい、で、ムカついて、ジュっとね」

僕の武勇伝聞いたら、気持ち上がらない?すげーーってならない?

「飛羽のフェロモン、僕には解らないんだ」

暗い声。昴……ごめん、たぶん今は誰にも解らないと思うわ。

「ツガイ解除したばっかだし、もしかしたらもうフェロモン出ないかもだしな」

「嗅いでみたかった」
「はは、ま、その内でたら、クンクンしてみ」

「しても解らない」
「ん?」
「僕には嗅覚がないから」

「え?嗅覚が?ない?は?え、匂い何にも解らないのか?」
「うん」

「まじかよ、じゃ、もしかして、味も?」
「うん」

それで御飯が美味しくないのかと合点が行った。でも一体なぜ。今度は僕が何で何で坊やだよ。だって、聞かないでいらないよ。

「何か、怪我とか病気とかで?」

ちっこい頃に蓄膿症になると、鼻がずっと悪くなるらしいけど、そういうこと?

「ちがう、遺伝子組換えだから」
「は?遺伝子組換えって、あの、納豆の大豆に遺伝子組換えではありませんとか書いてあるあの?」

医学の知識なんかない。身近な遺伝子組換えって、納豆の表記くらいしか知らないよ。しかも納豆ですら遺伝子組換えじゃないんだよ、組み換えた物が人にどう影響するかまだ解ってないから?それとも、誰も買わないから?だっけ。

「僕が胎児になる前に遺伝子組換えされた、嗅覚をわざと潰したんだ」

どういう、事だよ、え?赤ちゃんの嗅覚をわざとって、そんなこと許されるのか。

「え、いや、そんな、幾らなんでも、そんな事したら、人道的にダメじゃないのか…そんな、小説やアニメじゃあるまいし、ダメだろ、なぁ、嘘……じゃない、の、か」

嘘だと、冗談だと言うのを待ったけど、でも、たぶん、昴はそんな冗談言わない。得体の知れない暗闇が昴を覆っているようで、僕は、必至に昴にしがみついた。身体が震える。正直、びびってる。僕が聞いていい話しなの?昴はずっと1人で、、、ずっと1人ぼっちで、こんな重い事実に向かい合ってたの?おかしいよ、おかいだろ、何でなんだよ。そんなこと人がする事じゃ無いだろ、まして……親に?











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