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 部屋に昴が固い表情のまま帰ってきた。あーーこれは、怒られたな、不貞腐れてる顔だろそれ。全然隠しきれてないわ、すまん、僕のせいでだよな。親にこってり搾られちゃったか。まじごめんな。僕は、頭をカシカシかきながら、何でもない風を装って昴に近づいた。

「あーーー、昴、僕そろそろ帰ろうか?」
「何で」
「いや、あの、怒られなかった?」
「何で」

何で何で坊やになっとる!!昴どうした、そんなに凹んで。こりゃ、重傷か。ま、そりゃこんな大切なご子息様のところに、野良猫のごとくオメガが転がり込んだら、親は心配しちゃうよな。解ってる、お前はよくしてくれた、僕は笑顔で出ていくさ。そしていつか、治療費と食費は払うから。家賃はまけて。ごめん、1億の部屋の家賃は永遠に払えない。

「僕みたいなのが泊まった……か、らさ、怒られたろ?」
「それはこっちが引き留めたんでしょ、なに、飛羽、僕のそばにいたいって言ったのにもう気持ちが変わったの?ひどいな」

「違うって、昴が僕のせいで親から何か言われたのかと思って、迷惑だったら、居られないじゃん、居たいけど、何かやなこと言われた?昴?」

昴はうつむいて、首を振った。

「大丈夫、ただ、君の事は筒抜けだった、だから、どんな影響がでるかデータが楽しみだって言われた」

「は?影響?データ?なんの」

昴の表情から、これはあまり問い詰めたらダメなヤツではと警告音が脳の中でなる。僕ね割とそういう勘が働く方なのよ。

窓辺にもたれるみたいに座って、項垂れてる昴が可愛そうで、僕は1歩近づく。すると、ぐいっと強引に腕をひっぱられて、昴が覆い被さってきた。僕の頭の裏に昴の顔があって、表情がみえない。

「ど、した?お前がいいなら、僕いるよ、居させてくれるの?」
「うん」

ぎゅーっとしがみつかれるみたいに抱き締められて、僕はそれが、昴がすごく何かに怯えてるみたいで、可愛そうで、慰めるように背中を何度もなぜた。

やがて、赤ちゃんにするみたいに、ぽんぽんって、軽く叩いてると。

「僕のナニーだね」

なんて、冗談言えるようになったから、ホッとする。そうだよ、お前のナニーだよ、今だけな。赤ちゃんみたいに、甘やかしてやるよ、可愛い可愛いいいこって。背中ぽんぽん気持ちいいよな。この力加減が強くちゃいかん。優しく、ゆっくりとぽんぽん。

「ん、よちよち、いいこいいこ、昴はいいこ」

お前は本当にいいこだよ、優しくて、いいこ。だから、悲しまないで。笑ってよ、僕のことバカにしていいからさ。










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