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 結局、昴の家にそのままお世話になることにして、ご飯までちゃっかり貰って、更には昴のベットを占領して図々しくも感じたが、もはや、投げ槍になってる僕は、昴が優しいので、その好意の上に堂々と胡座をかくことにした。

「もういい、しばらく泊めて」
「家に帰らなくて良いの?」
「あぁ、予定有ったのに急に無くなったら、余計心配するだろ、親ってさ、子供が上手くやれてないって解った途端、神経質に自分を責めたりするんだよ、お前にはわからんかもしれんが、そういうもんなの、上手くやれてるふりを子供はいつだってしてるんだよ」

「つまり飛羽君はそういうのが鬱陶しいと」

「お前って鋭いなぁ」

管理されてるみたいで、鬱陶しいとずっと思ってた。もちろん育てて貰った恩はある、親が嫌いな訳でもない。心配されなかったらされなかったで、拗ねるだろうし、一番であって欲しいのに、息苦しいんだよな。つらいとか、悲しいとか見せられないのって、苦しい。

「僕は僕で、親のものじゃないんだよね、ま、確かに僕みたいな美少年を子供に持ってたら、心配もするのは解るけど」

僕がそう言うと、昴はくすっと笑った。

「そうだね、飛羽君は凄く可愛いらしいものね、帰ってこなかったら心配するよ」

「だろ?お前みたいなイケメンでも、僕が美少年って解るのに、世の中謎が多いわ」

はーーっと、ため息を吐くと、昴は、またその端整な顔をこてりと横に向けた。

「謎?」

「僕ね、ついさっき人を殺してきたんだ、って言ったらだうする?」

実際には僕の中から先輩を消して、人格否定してきた訳だけど、昴は、その穏やかな瞳で、じーっと僕を見つめて考えてる。こんな美少年の僕に殺されるなら良かったねって思う?フフンと得意気な顔をしてやったら、しかし、昴は面白い事を言った。

「殺す程の人だった?」
「え?」
「殺したら飛羽君の人生がだいぶ変わるけど、そうなっても良いと思えるような人だった?」

「いや……全然」
「なら、殺さなくて良かったね」

にっこりと笑った昴に、少しだけゾッとした。

「お前、案外、肝が据わってるな」
「よく言われる」

「は、流石、全国一位様だ、そうじゃなきゃ勝てないってか」
「関係ないよ、ずっと続けてりゃ誰だって勝てる時も負ける時もある、僕は人より躊躇わないから」

こんなに優しい昴が、人を負かす時、躊躇わないと言うのは本当だろうか、虫も殺さないような善人の顔をして。ずいぶん、釣り合わない事を言う。でもなんでも良い、僕にさえ優しければ、何でもいいや。














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