2 / 30
2
しおりを挟む
晴海先輩の部屋を出た後、何処をどう歩いたか、僕は、ふらふらと路地でうずくまった。
焼いた痕を冷やしてもいない、急に首筋が痛みだし、余りの痛さに1歩が出ない。
「あ……やばっ」
「大丈夫ですか?」
誰かが駆け寄ってきた。誰だよ、ほっとけよ、触るなと叫びたかったけど、僕は声を出すことが出来なかった。薄れ行く意識の中で、自分を支えてくれている人の香りが心地よくて、何故か安心して、目を閉じた。
うつら、うつらと、現実と夢の境目を漂って、急に、首の痛みを感じて、僕は、目を覚ました。
「くそ、いってぇ、ん?どこ、ここ」
「気がつきましたか?」
「え?あんた、誰?」
「僕は、宮ノ内昴(みやのうち すばる)です、あの、あなた、急に倒れられたので……うちに連れてきました、あ、お医者さんにもちゃんと来てもらって、それで、その怪我を処置してもらいました」
「怪我?あぁ、怪我か、そうか、迷惑かけたな」
「いえ、良いんです、あのご自宅に連絡しますか?今、もう夜の十時なんですけど、もし良かったらこのまま泊まっていただいても」
「は?そんなの、迷惑だろ、帰るよ、イッっ」
「動かないで、まだ処置したばかりで全治2週間の大怪我です、本当なら入院しても良かったんですよ」
心の底から心配そうな声で、助けてくれた人は、僕をまたベットへゆっくりと寝かせた。
「迷惑なんかじゃないので、泊まってください、ご家族に電話だけして」
「あぁ、もともと泊まる予定だったから、電話は、良いんだ……もう」
親切な人は、小首を傾げ、ちらりと、僕のバックをみた。家出とでも思われたかと、僕は、にがわらいをする。
「家出とかじゃないよ、予定が無くなっただけ」
「そうなんですか、なら、調度良かった、ゆっくりできますね」
にっこりと、笑って、親切な人は、僕の頭をなぜてくれた。何だこいつ、妙に馴れ馴れしい、でも、嫌じゃない。僕は、目の前の親切な人をじっくりと観察した。黒い前髪は少しだけウェーブがかかっていて、何処かの国の王子様みたいに額で綺麗に別れてる、顔は僕に負けず劣らずの整った顔立ち、優しそうな瞳、品の良い鼻、薄い唇。あ、イケメンだわ。
「あんた、名前……何だっけ?」
「スバルですよ、えっと、お兄さんの名前も聞いても良いですか?」
「あ、すまん、僕、……僕は、岸本飛羽(きしもと とばね)」
「とばね?綺麗な名前だね、いくつ?」
「えっと、高3、18」
「そっか、僕の1つ年上だね、僕は高2だから」
ニコッと笑う顔が何とも優しげで、視線が惹き付けられる。こんな綺麗な優しい人いるんだなと、僕は、泣きたい気持ちになった。
焼いた痕を冷やしてもいない、急に首筋が痛みだし、余りの痛さに1歩が出ない。
「あ……やばっ」
「大丈夫ですか?」
誰かが駆け寄ってきた。誰だよ、ほっとけよ、触るなと叫びたかったけど、僕は声を出すことが出来なかった。薄れ行く意識の中で、自分を支えてくれている人の香りが心地よくて、何故か安心して、目を閉じた。
うつら、うつらと、現実と夢の境目を漂って、急に、首の痛みを感じて、僕は、目を覚ました。
「くそ、いってぇ、ん?どこ、ここ」
「気がつきましたか?」
「え?あんた、誰?」
「僕は、宮ノ内昴(みやのうち すばる)です、あの、あなた、急に倒れられたので……うちに連れてきました、あ、お医者さんにもちゃんと来てもらって、それで、その怪我を処置してもらいました」
「怪我?あぁ、怪我か、そうか、迷惑かけたな」
「いえ、良いんです、あのご自宅に連絡しますか?今、もう夜の十時なんですけど、もし良かったらこのまま泊まっていただいても」
「は?そんなの、迷惑だろ、帰るよ、イッっ」
「動かないで、まだ処置したばかりで全治2週間の大怪我です、本当なら入院しても良かったんですよ」
心の底から心配そうな声で、助けてくれた人は、僕をまたベットへゆっくりと寝かせた。
「迷惑なんかじゃないので、泊まってください、ご家族に電話だけして」
「あぁ、もともと泊まる予定だったから、電話は、良いんだ……もう」
親切な人は、小首を傾げ、ちらりと、僕のバックをみた。家出とでも思われたかと、僕は、にがわらいをする。
「家出とかじゃないよ、予定が無くなっただけ」
「そうなんですか、なら、調度良かった、ゆっくりできますね」
にっこりと、笑って、親切な人は、僕の頭をなぜてくれた。何だこいつ、妙に馴れ馴れしい、でも、嫌じゃない。僕は、目の前の親切な人をじっくりと観察した。黒い前髪は少しだけウェーブがかかっていて、何処かの国の王子様みたいに額で綺麗に別れてる、顔は僕に負けず劣らずの整った顔立ち、優しそうな瞳、品の良い鼻、薄い唇。あ、イケメンだわ。
「あんた、名前……何だっけ?」
「スバルですよ、えっと、お兄さんの名前も聞いても良いですか?」
「あ、すまん、僕、……僕は、岸本飛羽(きしもと とばね)」
「とばね?綺麗な名前だね、いくつ?」
「えっと、高3、18」
「そっか、僕の1つ年上だね、僕は高2だから」
ニコッと笑う顔が何とも優しげで、視線が惹き付けられる。こんな綺麗な優しい人いるんだなと、僕は、泣きたい気持ちになった。
870
お気に入りに追加
1,320
あなたにおすすめの小説
婚約者は愛を見つけたらしいので、不要になった僕は君にあげる
カシナシ
BL
「アシリス、すまない。婚約を解消してくれ」
そう告げられて、僕は固まった。5歳から13年もの間、婚約者であるキール殿下に尽くしてきた努力は一体何だったのか?
殿下の隣には、可愛らしいオメガの男爵令息がいて……。
サクッとエロ&軽めざまぁ。
全10話+番外編(別視点)数話
本編約二万文字、完結しました。
※HOTランキング最高位6位、頂きました。たくさんの閲覧、ありがとうございます!
※本作の数年後のココルとキールを描いた、
『訳ありオメガは罪の証を愛している』
も公開始めました。読む際は注意書きを良く読んで下さると幸いです!
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる