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 晴海先輩の部屋を出た後、何処をどう歩いたか、僕は、ふらふらと路地でうずくまった。

焼いた痕を冷やしてもいない、急に首筋が痛みだし、余りの痛さに1歩が出ない。

「あ……やばっ」

「大丈夫ですか?」

誰かが駆け寄ってきた。誰だよ、ほっとけよ、触るなと叫びたかったけど、僕は声を出すことが出来なかった。薄れ行く意識の中で、自分を支えてくれている人の香りが心地よくて、何故か安心して、目を閉じた。



うつら、うつらと、現実と夢の境目を漂って、急に、首の痛みを感じて、僕は、目を覚ました。

「くそ、いってぇ、ん?どこ、ここ」

「気がつきましたか?」

「え?あんた、誰?」

「僕は、宮ノ内昴(みやのうち すばる)です、あの、あなた、急に倒れられたので……うちに連れてきました、あ、お医者さんにもちゃんと来てもらって、それで、その怪我を処置してもらいました」

「怪我?あぁ、怪我か、そうか、迷惑かけたな」

「いえ、良いんです、あのご自宅に連絡しますか?今、もう夜の十時なんですけど、もし良かったらこのまま泊まっていただいても」

「は?そんなの、迷惑だろ、帰るよ、イッっ」

「動かないで、まだ処置したばかりで全治2週間の大怪我です、本当なら入院しても良かったんですよ」

心の底から心配そうな声で、助けてくれた人は、僕をまたベットへゆっくりと寝かせた。

「迷惑なんかじゃないので、泊まってください、ご家族に電話だけして」

「あぁ、もともと泊まる予定だったから、電話は、良いんだ……もう」

親切な人は、小首を傾げ、ちらりと、僕のバックをみた。家出とでも思われたかと、僕は、にがわらいをする。

「家出とかじゃないよ、予定が無くなっただけ」

「そうなんですか、なら、調度良かった、ゆっくりできますね」

にっこりと、笑って、親切な人は、僕の頭をなぜてくれた。何だこいつ、妙に馴れ馴れしい、でも、嫌じゃない。僕は、目の前の親切な人をじっくりと観察した。黒い前髪は少しだけウェーブがかかっていて、何処かの国の王子様みたいに額で綺麗に別れてる、顔は僕に負けず劣らずの整った顔立ち、優しそうな瞳、品の良い鼻、薄い唇。あ、イケメンだわ。

「あんた、名前……何だっけ?」

「スバルですよ、えっと、お兄さんの名前も聞いても良いですか?」

「あ、すまん、僕、……僕は、岸本飛羽(きしもと とばね)」

「とばね?綺麗な名前だね、いくつ?」

「えっと、高3、18」

「そっか、僕の1つ年上だね、僕は高2だから」

ニコッと笑う顔が何とも優しげで、視線が惹き付けられる。こんな綺麗な優しい人いるんだなと、僕は、泣きたい気持ちになった。










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