最強ゲーマーの異世界召喚

りた

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Quest3 世間知らずな少女?

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ディノは途中で助けたミラを教会まで案内する事になっていた。
教会かぁ…一応種族が吸血種ヴァンパイアだけど大丈夫かなぁ?
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
「あの、冒険者様」
冒険者…?そう言えば、この世界での俺の存在ってどうなってんだ?その事も調べないと行けないな。

「俺のことか?」
「はい、そうですよ」
「そ、そうか、どうかしたのか?」
「この先に露店がでてるみたいですよ、人がすごく集まっていますね」
「行きたいのか?」
「い、いいえ!?案内してもらっているのにそんな事までしてもらう訳には…」
遠慮してるみたいだな
俺、人と露店を回るだなんてなんて小さい頃以来だから、少し人混みが苦手だが、そんなしょんぼりした顔をしながら言われると行かざるを得ないじゃないか
「ただ教会に行くのもつまらないだろう、何より楽しみながら行った方が道もしっかり覚えるだろう、遠慮する必要はない」
「ふふっ、やっぱり優しいですね、それではお言葉に甘えて」
「それじゃ、行ってみるとするか」
「はい!」
日も登り始め、街では屋台などかあきないを初め出し、周りが少しずつ賑わい、人通りが増えてきた。「いらっしゃい!」「今なら安いよ!」「お嬢ちゃんお金はないのかい?」などの声が辺りから聞こえてくる…。ん!?
隣にいたはずのミラの姿がそこには無かった。さっき聞こえた不思議な会話の方へと面倒ながらむかってみた。

「お嬢ちゃん、お金が無いとこれは売れないな」
「そうなんですか?」
ミラが残念そうに手に取ってしまった物を戻そうとした時、「これいくらするんだ?」と店主にディノは言った。
「いらっしゃい!アンタが払ってくれるのかい?ひとつ銅貨10枚だよ」
見たところ、りっぷるっていう赤い果実に飴をコーティングした物らしい。現実世界リアルでのりんご飴ってところかな。
懐に手を突っ込んで、不思議に思われないようにスクロール画面から大量のお金が入った袋を取り出した。取り出したのはいいんだが、この世界でも同じように使えるのだろうか?
「それを1つくれ!どのくらいで足りる?」
ディノは手に取った袋を店主の前に置いた。
「お客さんいや、お客様この中全部白金貨と金貨じゃないですか!あんた、何処かの貴族様ですかい?」
「そうではないが…」
お金はゲームの時のままなのか。確かにこの世界に来る前はゲリライベントの黄金スライムを狩りまくったからな…後もう少しで上限金額に到達するところだったのに…あのピザの配達が来なければ……って俺のせいか
「足りるだけ取ってくれ」
「足りるもなにもどれをとっても返せるお金が…」
「釣りはいい」
「え!?いいのですか!?で、では、この金貨1枚をお預かりさせていただきます」

店主は感激しながら手を振って「旦那、ありがとうございます!またのご来店をお待ちしております!」と言って見送ってくれた。
「ありがとうございます!何度も」
後で聞いたんだがこれはりっぷるキャンディって言うらしい。ミラは美味しそうにりっぷるキャンディを頬張っている。
「別に良い。しかし、なんでお金を出さなかったんだ?」
「自由にお取りくださいって書いてましたから」
ん?なにか変だな
「少し聞いてもいいか?」
「はい、私に応えられる事であれば」
「店で物を買ったことは?」
「ありません。大体はシスターや神父様が買って来ていました」
「……今まででその教会の外に出た事は?」
「ありません。今日初めて外に出ました」
マジでか!だからあの時、賊になんの不信感も持たずに着いて行ったってわけか…店主は顔に似合わず優しかったから大事にはならなかったが…いや、でも危機感無さすぎないか?天然なのか?

「冒険者様!ここは私が見たことない物がたくさんありますね!」
ミラはこちらに子供のような無邪気な笑顔をむけてくる。また珍しい物を見つけたのか、そちらにすぐ走って行こうとした。大事になる前に止めないと、これ以上の面倒事は勘弁だ!
「おい!待て!」
何処かに行こうとするミラの腕を咄嗟とっさつかんだ。
「痛っ!」
「すまない…ん?」
服の隙間にあざになっている腕を見た。
どう見ても、さっきできた傷には見えない。
「その傷どうしたんだ?」
ミラは少しはぐらかすように笑顔で応えた。
「実は……いえ、なんでもないです。多分さっきの件で壁にでもぶつけたんだと思います。心配して下さってありがとうございます」
あまり聞きすぎるのも野暮だろう。それ以上は聞かないでおこう。
「ミラ、黙ってこれを飲め」
ディノはアイテムボックスから出したポーションを渡した。
本当だったら、ゲームプレイ中にパーティを組む事があれば、使おうと思っていたんだけど…ずっとソロプレイだったな……あはは…
「これは?」
「ポーションだ。これを飲めば痛みはひくはずだ!いいから飲め」
この世界に来て、本当に効くのか確証が持てなかったからさっき試したんだよな…。子供が転んで怪我をしていたから、その傷のところにポーションをかけると、傷は一瞬で消えた。聞くところによると飲んでも効くようだ。
ミラは渡されたポーションを一気に飲み干した。
痣がみるみるうちに消えていった。
「痛くないです!?すごいです!冒険者様ありがとうございます!」
「そういえば、俺からは聞いてこっちは名乗ってなかったな、俺の名はディノだ。特別に名前で呼ぶことを許す」

「はい!改めてお礼を言わせてください。ありがとうございます、ディノ様」
ミラは笑顔で礼を言った。

ディノは表情には出さなかったが、女神のような可愛いさに内心悶えていた。
気を取り直して、案内を再開した。
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