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【Q】
⑦
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「あ、そういえばさ、聞いていいか?」
「何?」
「アイ、一問だけ間違ったって言ってたよね? 殆ど満点だったのに」
「ああ、うん」
興味津々といった感じで、蓮太が私の前に回り込む。後ろ歩きの蓮太に合わせて、校門へ進む速度がますます遅くなった。
二人の通学の意図的なオーバータイムを、蓮太も目論んでいるのが分かった。
にやにやと楽しそうな蓮太の表情が、私を少し饒舌にさせる。
「どの教科で間違ったんだよ。もったいないっていうか」
「ああ、英語。単語問題。配点2点のやつ」
「単語? なんでそんなの取れなかったんだよ。出題範囲を攫って勉強したから、問題は全部分かったんだろ?」
「うん。あれね。教科書に載ってない問題だったんだよ」
「え? そんな問題あったか? 三村がそんな出題ミスするかなあ」
「あー、私も昨日その答え思い出したんだけどね。三村先生は悪くなくて、ちゃんと授業でその言葉について触れてたんだよ。教科書には載ってなかったけど」
「んー? そんな問題、あったかなあ?」
「あったの。ちゃんと授業聞いてれば簡単に答えられちゃう、先生からの贈り物みたいな問題が。私、それ聞いたのが六限目の授業でさ、たぶんボーっとしてたんだよね。その日は久しぶりにお昼に『伝説のあんぱん』を食べられて、お腹いっぱいだったんだよね、たしか」
「おーい! アイちゃーん! 和田くん」
蓮太とふたりで「あ」と漏らした。
既に校門の中に入っていた真中くんが、敷地内から私達を手招きしている。
三村先生に睨みを効かされてどうやらもう校外に出られないようで、まだ十数メートルは校門に着かない私達を待ちわびている。
「……カエデのこと、忘れてたな」
「うん。完全に忘れてた」
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