94 / 97
【Q】
⑥
しおりを挟む
「今日は、朝練は無かったの?」
「ん、サボった」
「……どうしてこう、私を構う人達はサボりたくなっちゃうのか」
「え?」
「お父さんがね、自分が休みだからって、今日お母さんのお墓参りに一緒に行こうって」
「平日だもんな。今度、俺も一緒に行っていいか?」
「うん。私も、蓮太と一度一緒に行きたいって思ってた。お母さんに伝えたいこともある」
「え? 何かあった?」
「うん。昨日さ、お父さんとたくさん話したんだ。たぶん、初めてあんなにお話したと思う」
「そうなんだ。よかったな。何かいい話聞けたのか?」
「うん。とびっきりの、素敵なお話」
「へえ。聞きたい。どんな話?」
疑問が生じた。
父とお母さんのあんなに素敵なお話を、友達にどんな話と伝えればいいのか。
疑問が生じたら、すぐ検証。
友達は、素敵なものを端的に伝えても、私の表情で読み取ってくれるのか。
私は人差し指を立て、自分の顔を指して答えた。
「“愛”のはなし」
頭の上に?マークを付けて、蓮太は口を『~』みたいにして首を傾げている。
結論。演算速度は遅いが、きっと友達は読み取って理解してくれるだろう。
◇
「ん、サボった」
「……どうしてこう、私を構う人達はサボりたくなっちゃうのか」
「え?」
「お父さんがね、自分が休みだからって、今日お母さんのお墓参りに一緒に行こうって」
「平日だもんな。今度、俺も一緒に行っていいか?」
「うん。私も、蓮太と一度一緒に行きたいって思ってた。お母さんに伝えたいこともある」
「え? 何かあった?」
「うん。昨日さ、お父さんとたくさん話したんだ。たぶん、初めてあんなにお話したと思う」
「そうなんだ。よかったな。何かいい話聞けたのか?」
「うん。とびっきりの、素敵なお話」
「へえ。聞きたい。どんな話?」
疑問が生じた。
父とお母さんのあんなに素敵なお話を、友達にどんな話と伝えればいいのか。
疑問が生じたら、すぐ検証。
友達は、素敵なものを端的に伝えても、私の表情で読み取ってくれるのか。
私は人差し指を立て、自分の顔を指して答えた。
「“愛”のはなし」
頭の上に?マークを付けて、蓮太は口を『~』みたいにして首を傾げている。
結論。演算速度は遅いが、きっと友達は読み取って理解してくれるだろう。
◇
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。


【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる