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【Q】
③
しおりを挟む幾分硬い表情の蓮太と向かい合う。
昨日公園で別れてから、蓮太とは何の連絡もとっていない。
夜寝る前に窓から隣家の二階の様子を伺ってみたけれど、ずっと部屋の明かりもデスクライトも灯る気配は無かった。
「……あした……て言ってた」
「え?」
「昨日。蓮太『あした』って言って帰ったよ」
「……そうだね」
とりあえず行こう、と体を並木道の方に向けた。今日は話さなければいけないことがたくさんある。校門に着くまでの一本道に、私は頭の中で複雑なロードマップを広げた。
「……蓮太、あのさ
「ごめん!」
「?」
歩きながら、蓮太が目を瞑って首を垂れる。
私を遮る蓮太の声の方が少し大きくて、イニシアチブが移った会話の行く末が読めなくなった。
「せっかくアイが本当のことを話してくれたのに……酷いことを言ったと思う。心から、ごめん……」
「いい。狂っているのは間違いないもん」
「いや!その……」
「あ、えと、そういうことじゃない。本当にいいの。いじけてる訳でも怒ってる訳でもなく、自分が普通じゃないのはよく分かってるから……。少し自覚と心の準備が足らなくて、ちょっとショックは受けたけど」
「だから、あの、なんていうか。俺、びっくりしたっていうか」
それはそうだと思う。
ずっと一緒だった幼馴染みから、唐突にあんな狂気の告白を聞かされて、正気でいれる訳がない。
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