プレゼント・タイム

床田とこ

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【Q】

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 ◇



 朝。

 目が覚めると私の両目は痛いほど腫れあがっていて、窓から射す朝陽が赤い瞼を容赦なく攻撃してきた。
 起き上がる決意が削がれそうになって、そこで慌てて今朝は父が家にいることを思い出す。顔を洗って制服に着替え、朝食を作り終わったタイミングで父がダイニングに入ってきた。

 「「おはよう」」

 同じタイミング、同じテンションで偶然呟く似た者同士の父子は、そんなことにいちいち反応したりしない。昨晩の味噌汁の残りに目玉焼きと味海苔を足した簡単な朝食に手を合わせ、ニュースを見ながら二人で食べた。

 いつもの平日、いつもの朝の父がいるバージョン。
 うん。今日もいつもと同じだ。
 昨日色々あったけれど、私達の生活は特に何も変わらない。

 加数0の足し算。
 ホースシュー・シュリンプ。
 Just as usual。



 ◇



「「いってきます」」

 学校に通学する私と墓参りに行く父が玄関を一緒に出た時、家の前の道路のちょうど隣家との間のあたりで、蓮太が私を待っていた。

「おはようございます。お久しぶりです」
「おはよう、蓮太くん」

 蓮太と父が挨拶するのを横に見て、私は並木道の方向に歩き始める。
 私の検証の対象になってしまった二人にそこはかとない罪悪感を感じて、私はよく顔を見れない。


「蓮太くん、アイをよろしく。ひとりにならないように」
「はい」


 父の無意味な小声は十分に私の耳に届いていて、私は赤面する。翻って墓参りに向かった父を背中で見送って、蓮太が私に追いつくのを待った。

「おはよう蓮太」
「うん。おはようアイ」
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