プレゼント・タイム

床田とこ

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【37-29】

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「あいつが最初に分かってた。こうなるって。
 アイは生まれた時から興味を持ったことを深く知ろうとする。好奇心が宇宙のように無限で、やりたい欲求も知りたい疑問も突き詰めて分からせてあげたい。それが母親の責任だって、そう言ってた」

「……」





 ◇ ◇ ◇





『アイは天才よ。あたなに似てくれたんですね。新しい何かを知った時のあの子の表情、知ってますか? とってもキラキラしてるんです。子供らしく、世界一可愛い笑顔を見せてくれるんですよ?』

『そうなのか? 俺は見たことが無いかもしれない』
 
『アイは私が大好きですからね。そういうところもあなたによく似てくれたから、あなたはアイのライバルなのかもしれませんね』

『それは寂しいな。でも、俺のライバルか。うかうかしてられないな』

『うふふ。でもね……あの子の好奇心、欲求や疑問は、世界一純粋でもあるの。その鋭さも危うさも、そのまんま外に出てしまう』

『ああそうだな。そんな気はしていた。お義父さん達といるところを見て、何となく気付いたよ』

『そうなの。でも、私はそれを咎めようとは思わないわ。それをいけない事だと教えてアイの輝きが失われてしまうなら、私は絶対に後悔すると思う』

『何だって?』

『アイは天才よ。そしてあなたと私の愛、そのものです。あの子が輝いて生きていくことが、私の、私たちの責任です』

『ああ』

『だから、今後あの子が生きていく中で欲求を充たそうとして、とても危ない事や今までの常識に無いことを確かめようとするかもしれない。もしかすると、命の危険に及ぶこともあるかもしれないわ』

『うん』

『もちろんあの子にはそんな意図はなくても、あの子にはそれを検証するのを止められないの。
 それに私は、どこまでも付き合っていこうと思ってる。ひょっとすると、私の愛があの子の検証の対象になることもあるかもしれない。その時は私は全力でアイを守るし、自分の命を落としたとしても、私はそれを厭いません』
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