プレゼント・タイム

床田とこ

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「驚いたよ、ほんとに」
「そうかもね。驚かせたよね」
「いきなり満点なんて。誰も信じられないよ」
「だから満点じゃないって。一問間違えた。蓮太も3位おめでとう」
「うん。ありがと。おかげで今までで一番点数とれたよ」

 蓮太がブランコを漕いだ。
 軽く弧を描いた先で、ようやく蓮太の顔が街灯に照らされる。清々しい表情。悪意を寄せ付けないその晴々しい笑顔は、これから間違いなく曇る。

「それで? 何か話があるんだろ?」
「うん。そうなんだけど、さ」

 地面に足を擦らせて勢いを止めた。
 横並びでよかった。私は蓮太の顔を正面から受け止められない。
 私がこれから彼に突き立てる『検証』という名の刃は、確実に蓮太を傷付けるのだ。
 蓮太の表情が歪むのを、私は見届ける義務がある。

「何でも言えよ。俺とアイの仲でしょ。言いづらいことなら、秘密にもする。遠慮なんかするなよ」
「うん。あのさ、蓮太、前に言ってくれたよね?」
「ん?」
「私に言ってくれたよね。『本当のことを言えば皆が受け入れてくれる』って」
「ああ、言ったね」
「今でもそう思ってる?」
「もちろん。アイは言わな過ぎるから、皆んなどう接したらいいか分かんないだけなんだよ」
「本当のことを言うことって、そんなに綺麗なことばかりじゃないよ」
「だから、試したことあんのかって。俺はきっと、アイのこと皆んな分かろうとしてくれると思うね。たとえ綺麗じゃないことでもさ」
 
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