プレゼント・タイム

床田とこ

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「それより蓮太? 結果が全てだって言ってたけど? 私が1位じゃなかったら、1位は真中くんだったってことなんだけど?」
「……えっ! あ、いやぁ、そう、だなあ……ははは」
「蓮太ー?」

 そんなやりとりを耳で捕捉した真中くんの意識が、異世界から戻ってくる。
 目に輝きが戻ったあたりで「そそそそそうだよ!」とソの音階で発声してきた。
 
「アイちゃん! 僕は和田蓮太に勝った! 僕と和田蓮太の点数勝負は、堂々の僕の勝利だったわけで! 分かるかい?」
「『条件は憶えてるよね?』って朝言ってきたのは、真中くんですよ?」
「え、いやあ、だから」
「条件は、真中くんが1位をとったら、じゃなかったかなあ?」

 蓮太が「そうだぞカエデ」と茶々を入れている。私が1位をとらなかったら負けの勝負だったのに、3位の蓮太はケラケラと笑っている。


「分かった分かった、分かったって。……でもさ、僕、今回はこれまでも含めて過去最高点の合計点数だったんだよね。結局1位はとれなかったんだけどさ……」
「そっか。いっぱい頑張ったんですね。真中くん偉いね」

 少しだけ気持ちを込めて労う。
 (そして蓮太を軽く睨む)
 あんなにもエネルギーを使うテスト勉強を、真中くんも蓮太も毎回やってテストに臨んでいる。私には絶対に出来ない。検証がかかっていなければ。

「うん、ありがと。だからさアイちゃん。友達からでいいから、これからも仲良く付き合っていってもらえないかな? 話し掛けない、とかそういうのナシでさ、本気の本気で」

 真中くんも、どこかスッキリした表情に戻っていた。
 この人はきっと、自分に正直に生きてきた人なんだ。明け透け無くどこか無邪気で、小憎たらしさと愛らしさが同居している人。

 思わず無思考で「うん」と返事をしそうなのを慌ててやめて、熟考の末に答えた。
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