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【3+3】
⑧
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昼休み。
チャイムと同時に廊下に出て、学食販売へ向かう。
隅と際でヒソヒソと誰かが話をしている。総じて視線は私に向いていて、その多くは口を覆って笑ったり慄いたりしている。
正真正銘の「悪目立ち」が起こったのは明らかだ。検証結果に足しておかなければならない。
学食販売の壮絶なパン取り競争は熾烈を極めていた。
定刻で授業が終わるところが多いのか、月曜はきまってその光景が見られた。
私が輪の最後に参加する前に『伝説のあんぱん』は売り切れていて、仕方なくコロッケパンを手に取ろうとした時、学食の浅沼さんに声を掛けられた。
「相葉さん見たよ! 頑張ったね! はいこれご褒美!」
陳列棚の下から『伝説のあんぱん』を3つ出し、袋に入れて手渡してくる。サムズアップした浅沼さんから「私からの奢り!」と言いながらぐいっと胸元に預けられて、私は深くお辞儀をして教室に戻った。
パック牛乳をまた買い忘れたが、これ以上まわりから尖った視線を浴び続ける勇気は無かった。
検証結果に付け足す波及効果がデカ過ぎる。
◇
教室に戻ると、今日一日緩衝帯になっていた私の席に隣接する場所に、蓮太と真中くんが居た。
いつかのように、前の席に後ろ向きに跨る真中くんと、今日は私の左の席に腰かけている蓮太。「あ、ども」。私は小さく会釈をして、席についた。
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