プレゼント・タイム

床田とこ

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「……蓮太は私を気にしすぎる」
「だってさ、あいつ、アイをかわいそうとかさ。何も知らないくせに」
 
 そもそも、私と蓮太は根本的に真逆の人間なのだと思う。対照的で、違う世界を生きている。

 性別も性格も、血液型も身長も、席順も何もかも。そう言えば五十音順でも、苗字も名前も「あ」から始まる私と、五十音の殆ど最後に始まる和田蓮太は、あからさまに一番端と際にいる。
 ここまで真逆だと、心に持つ感情とか怒りポイントとか、互いから遠く乖離してくるのは必然なことなのかもしれない。
 
「そんなに怒らなくていい。真中くん、悪気は無かったって言ってた」
「は?」
「ん?」
「カエデと話したの?」
「ああ、うん」
「いつ」
「えっと、昨日の放課後」
「あいつ……」
 
 そっか。私と話しちゃダメなことになってたんだっけ。
 
「んーと、とにかくさ、ほんとに大丈夫だから。気にしないで」
 
 心なしか、歩く速度に焦りが出た。悠長に話してる場合ではないかもしれない。
 並木道の登校の生徒の数がまばらになって、これは遅刻のデッドライン上の時間のようだ。
 
「アイが大丈夫ならいいけど……でもな、ああいう時は、アイがちゃんと本当のこと言ったらいいと思う」

「……何の話?」
 
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