プレゼント・タイム

床田とこ

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 普段より27分も遅く家を出る。
 徒歩で遅刻せず学校に着くには、多分ジャストタイム。
 テスト期間で朝練の無い蓮太に昨日は家の前で会ってしまったから、今日はいつもよりだいぶ遅らせたのだが、甘かった。
 
「よお」
「……遅刻するよ?」
「ぎりぎり大丈夫だろ」
 
 きっとかなり待っていただろうけど、蓮太は嫌そうな顔ひとつせず片手をあげる。
 
「……待ってる意味無い」
「そんなこと無えって。テスト勉強の話できるだろ。それに」
「それに?」
 
 蓮太の前を私が通るタイミングに合わせて、彼も学校へ向きを変える。並んで歩くと、あらためて蓮太の長身に気付かされた。

 蓮太のことは幼稚園から知っているけれど、私の印象は「隣りのちっちゃい蓮太」だった。

 年度の初めの日に生まれた私と、年度の終わりに生まれた蓮太。同い年だけど約一年も生まれた日には差があって、身体の大きさも約一年分ずっと私の方が大きかった。
 両極端な私達なのに、蓮太はいつ私より大きくなったのだろう。
 
「その……アイ、大丈夫かなって」
「何が?」
「いや、昨日の昼休み、カエデの奴がさ。あいつデリカシー無いっていうか」
「ああ。別に気にしてない」
「……そっか」
「うん。そう」
 
 少し横を見上げながら答える。
 蓮太は私に上体ごと向けて見下ろす。
 安堵の滲む溜め息が、並木道への入り口で朝に溶けた。
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