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薔薇ノ国編
17.薔薇ノ友情
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「桜姫様、また図書室に行かれるんですか?」
リーリオは半ば呆れたように尋ねる。
最近の私は、一日の殆どを図書室で過ごすのが日課になっていた。
本を読むのは好きだ。
私の退屈な心を潤してくれるから。
小さい頃はよく大和と二人で、本を読んで語り合っていたのを思い出す。
(大和…元気でいるかしら)
ふと懐かしさで、胸がいっぱいになる。
「勿論よ。本を読むことは知識を得ることでもあるのよ。リーリオは本は嫌い?」
「俺には本より体を動かすほうが向いてます」
「あら残念」
(リーリオとも大好きな本で、語り合いたかったのに)
「さぁ図書館に着きましたよ。俺は入口の前で待ってるので、何かありましたら大声で呼んでください」
「分かったわ」
リーリオと別れると、私は一人で図書館に入って行く。
薔薇ノ国の図書館は、上から下まで本がぎっしりと引き詰められていた。
世界中のありとあらゆる本が、ここに集結しているのだ。
***
「えっと…なになに…若き日のニグレット陛下は外交に力を入れ、秋桜ノ国と向日葵ノ国と同盟を結んだ。同盟により薔薇ノ国の勢力拡大恐れた百合ノ国は、対抗するかのように、椿ノ国と水仙ノ国と北国同盟を結び、益々戦火は苛烈を極めたっと…」
現在、私は薔薇ノ国の歴史書を読んで勉強していた。
政略結婚とはいえ、自分が嫁いだ国の事を何も知らないままなのは嫌だったのだ。
その時、ふと背後に視線を感じた。
「リーリオ?」
私が振り返ると、そこには驚いた顔のジュリア様が呆然と立っていた。
「ごっ…ごめんなさい…!!」
私の顔を見るや否や、ジュリア様は一目散にその場から逃げ出した。
「お待ちください!!」
私は咄嗟に立ち上がると、ジュリア様を追いかけて手を掴んだ。
「どうして逃げるのですか?」
私の問いにジュリア様は--
「恨んで…いないのですか?」
と声を震わせながら尋ねる。
「恨む?私が?どうしてかしら?」
ジュリア様の言葉の意味が分からず、私は困惑する。
「だっ、だってわたくしは……晩餐会の日に、メリナ様から酷いことをされてる桜姫様を見捨てて、自分だけ逃げたのですよ!!恨まれて当然でございます」
(なるほどね。ジュリア様はそのことで気を病んでいたのね)
「仕方ないですわ。もしあの時ジュリア様が止めていたら、今度はジュリア様が標的になっていたかも知れないもの。私はジュリア様が無事で本当によかったです」
誰だって皆、メリナ様の餌食になりたくないのは同じだ。
その気持ちが痛いほどわかるからこそ、ジュリア様を責める気持ちなんて微塵もなかった。
「桜姫様…」
「ジュリア様、お願いですから自分を責めないでください。どうか普通に接してくださりませんか?私はジュリア様とお友達になりたいのです」
「お、お友達に!?」
ジュリア様は驚きの声を上げる。
「はい。この身なりを美しいと仰ってくれたジュリア様と、私はぜひ仲良くなりたいのです」
人とは違う身なりというだけで好奇の目に晒されていた私にとって、あの日ジュリア様が言ってくれた「美しい」という言葉に、どれだけ心が救われだろうか--
ジュリア様のお陰で私は、自分に自信を持てるようになった。
どんなに好奇な目に晒されても、私は私なんだと胸を張って、これからも強く生きていこうと思えたのだ。
「わっ、わたくしなんかで宜しいのでしょうか…わたくしは、何の取り柄もなくつまらない人間でございます…一緒にいてもきっと退屈かと……」
ジュリア様は、俯き加減で遠慮がちに言う。
「そんなことないわ!私はジュリア様と友達になりたいの。駄目かしら」
「とんでもございません。わたくしも桜姫様とおっ、お友達になりたいです」
(ジュリア様…)
その言葉を待っていたとばかりに、私はジュリア様の両手を握り締めた。
「ジュリア様、ありがとう。そうだわ。もし良かったら今度、私の部屋にいらしてください。ジュリア様ともっとお話がしたいわ」
「勿論でございます…ぜひ伺わせていただきたいです…!」
断られるとばかり思っていた私は、ジュリア様の承諾を得られて、自然と嬉しさが顔に出た。
(ふふふ。その日が楽しみだわ)
***
そしてあっという間にその日は訪れた。
「ジュリア様、ようこそいらっしゃいました。どうぞ中にお入りください」
「失礼…します…」
ジュリア様は緊張した面持ちでキョロキョロと室内を見渡し、落ち着かない様子だ。
私はジュリア様を椅子に案内する。
「こちらにお座り下さい。今、侍女にお茶と菓子を用意させるわね」
「ありがとうございます…」
「ジュリア様は、本がお好きなのね」
マーニャが用意してくれた茶を飲みながら、私はジュリアに尋ねる。
「わっ、わたくしは…暗いし地味だし、こんな内気な性格だから小さい頃から友達とかもいなくて、ずっと部屋に閉じこもって本を読んでいたんです。本だけがわたくしの友達でした……」
(ジュリア様…)
私には支えてくれる大和がいたけれど、ジュリア様には誰もいなかった。
それがどんなに孤独だったのだろうか。
考えるだけで胸が痛んだ。
「では、これからは私と大好きな本を語り合いませんか?だって私達、もう友達でしょう」
「はい……!」
ジュリア様は、満面の笑みで笑う。
それは初めて見る、ジュリア様の笑顔だった。
(ジュリア様には、暗い顔より笑顔の方がよく似合っているわ)
「それに私はジュリア様が地味だとは、私は決して思いませんわ。ジュリア様は素材がいいのだから、もう少し明るいドレスを着て、髪の毛を変えて、お洒落をしたら今よりもっと可愛くなれると思うの」
(折角、顔立ちは整ってるのに何もしないなんて勿体ないわ。これじゃダイヤの原石よ)
「か、か、かっ…可愛い!?わたくしが!?滅相もございません……わたくしのような陰気臭い女には、華やかな衣装など似合いませんわ……」
ジュリア様は首を横に振りながら、大袈裟に否定する。
どうやらジュリア様の自信のなさは、相当、根深いみたいだ。
「そうだわ!ジュリア様は少しの間お待ちください」
私はジュリア様にそう告げると、衣類が収納してある戸棚に直行する。
「あの…桜姫様はいったい何を…」
戸棚を漁る私の後ろから、ジュリア様の伺う声がする。
声からして戸惑いが隠せないといった様子だ。
「何って今から、ジュリア様を変身させるのよ」
「ええぇ!!?」
ジュリア様の驚愕する声が室内に響き渡る。
今ジュリア様がどんな表情をしているのか、見なくても容易く想像がついた。
「私に任せてちょうだい」
「で、でも……」
「あったわ!これならジュリア様にぴったりよ」
私は一枚の衣を取り出すと、ジュリア様の前ではらりと広げて見せた。
「綺麗…」
ジュリア様は目をキラキラと輝かせてそれを見つめる。
私は早速、準備に取り掛かった。
まずは重苦しく見えるジュリア様の分厚い髪を一つに結い上げて、何もしていない状態の顔に化粧を施す。
そして華やかな薔薇が描かれた、淡黄色の着物をジュリア様に着させて、最後に薔薇の髪飾りをつければ完成だ。
「ジュリア様、素敵よ!とってもお似合いだわ!」
私は最大限の称賛を送る。
ジュリア様の変貌した姿に、驚きを隠せない。
(やっぱり私の目に、狂いはなかったわ)
目の前にいるジュリア様は、普段の飾り気のない地味な姿ではなく、優雅に咲き誇る薔薇のように美しかった。
「これが…わたくし…」
ジュリア様は、ただ呆然と鏡を見つめている。
「ジュリア様、とても綺麗です。どうか自分に自信をお持ちになってください。ジュリア様はこんなにもお綺麗なのですから」
あの日、ジュリア様の一言で私は救われた。
だからジュリア様にも、自分を卑下ることばかりではなく、自信を持って欲しかった。
「桜姫様、お洒落とはこんなにも楽しいものだったのですね。新しい自分になれたみたいで、不思議な感じでございます」
「そうよ。女として生まれたからには、お洒落を目一杯、楽しまなきゃ損ですわ。ジュリア様は着物に憧れているようなので着物にしましたが、ドレスの方が良かったでしょうか?」
「いいえ、本音を言うとわたくし、ずっと着物が着てみたいと思っておりました。夢が叶って今、とても嬉しいです」
ジュリア様は、ニコリと顔を綻ばせる。
そんなに嬉しそうな顔をされたら、私のほうまで嬉しくなる。
「喜んでいただけたのなら良かったです。そうだわ!今の見違えたお姿を、アシュラムにも見せてあげましょう!」
「アッ……アシュラム様に……!?」
私の提案にジュリア様は、顔を真っ赤に染めて狼狽する。
その姿はとてもいじらしくて、可愛らしかった。
「ふふふっ。ジュリア様は、アシュラムのことが本当に好きなのね」
私が茶化すように言うと、ジュリア様はコクリと頷いた。
「アシュラム様は、わたくしの太陽なのです」
「太陽…?」
私が不思議そうに問い掛けると、ジュリア様はアシュラムへの思いを馳せながら、ゆっくりとした口調で語り始めた。
リーリオは半ば呆れたように尋ねる。
最近の私は、一日の殆どを図書室で過ごすのが日課になっていた。
本を読むのは好きだ。
私の退屈な心を潤してくれるから。
小さい頃はよく大和と二人で、本を読んで語り合っていたのを思い出す。
(大和…元気でいるかしら)
ふと懐かしさで、胸がいっぱいになる。
「勿論よ。本を読むことは知識を得ることでもあるのよ。リーリオは本は嫌い?」
「俺には本より体を動かすほうが向いてます」
「あら残念」
(リーリオとも大好きな本で、語り合いたかったのに)
「さぁ図書館に着きましたよ。俺は入口の前で待ってるので、何かありましたら大声で呼んでください」
「分かったわ」
リーリオと別れると、私は一人で図書館に入って行く。
薔薇ノ国の図書館は、上から下まで本がぎっしりと引き詰められていた。
世界中のありとあらゆる本が、ここに集結しているのだ。
***
「えっと…なになに…若き日のニグレット陛下は外交に力を入れ、秋桜ノ国と向日葵ノ国と同盟を結んだ。同盟により薔薇ノ国の勢力拡大恐れた百合ノ国は、対抗するかのように、椿ノ国と水仙ノ国と北国同盟を結び、益々戦火は苛烈を極めたっと…」
現在、私は薔薇ノ国の歴史書を読んで勉強していた。
政略結婚とはいえ、自分が嫁いだ国の事を何も知らないままなのは嫌だったのだ。
その時、ふと背後に視線を感じた。
「リーリオ?」
私が振り返ると、そこには驚いた顔のジュリア様が呆然と立っていた。
「ごっ…ごめんなさい…!!」
私の顔を見るや否や、ジュリア様は一目散にその場から逃げ出した。
「お待ちください!!」
私は咄嗟に立ち上がると、ジュリア様を追いかけて手を掴んだ。
「どうして逃げるのですか?」
私の問いにジュリア様は--
「恨んで…いないのですか?」
と声を震わせながら尋ねる。
「恨む?私が?どうしてかしら?」
ジュリア様の言葉の意味が分からず、私は困惑する。
「だっ、だってわたくしは……晩餐会の日に、メリナ様から酷いことをされてる桜姫様を見捨てて、自分だけ逃げたのですよ!!恨まれて当然でございます」
(なるほどね。ジュリア様はそのことで気を病んでいたのね)
「仕方ないですわ。もしあの時ジュリア様が止めていたら、今度はジュリア様が標的になっていたかも知れないもの。私はジュリア様が無事で本当によかったです」
誰だって皆、メリナ様の餌食になりたくないのは同じだ。
その気持ちが痛いほどわかるからこそ、ジュリア様を責める気持ちなんて微塵もなかった。
「桜姫様…」
「ジュリア様、お願いですから自分を責めないでください。どうか普通に接してくださりませんか?私はジュリア様とお友達になりたいのです」
「お、お友達に!?」
ジュリア様は驚きの声を上げる。
「はい。この身なりを美しいと仰ってくれたジュリア様と、私はぜひ仲良くなりたいのです」
人とは違う身なりというだけで好奇の目に晒されていた私にとって、あの日ジュリア様が言ってくれた「美しい」という言葉に、どれだけ心が救われだろうか--
ジュリア様のお陰で私は、自分に自信を持てるようになった。
どんなに好奇な目に晒されても、私は私なんだと胸を張って、これからも強く生きていこうと思えたのだ。
「わっ、わたくしなんかで宜しいのでしょうか…わたくしは、何の取り柄もなくつまらない人間でございます…一緒にいてもきっと退屈かと……」
ジュリア様は、俯き加減で遠慮がちに言う。
「そんなことないわ!私はジュリア様と友達になりたいの。駄目かしら」
「とんでもございません。わたくしも桜姫様とおっ、お友達になりたいです」
(ジュリア様…)
その言葉を待っていたとばかりに、私はジュリア様の両手を握り締めた。
「ジュリア様、ありがとう。そうだわ。もし良かったら今度、私の部屋にいらしてください。ジュリア様ともっとお話がしたいわ」
「勿論でございます…ぜひ伺わせていただきたいです…!」
断られるとばかり思っていた私は、ジュリア様の承諾を得られて、自然と嬉しさが顔に出た。
(ふふふ。その日が楽しみだわ)
***
そしてあっという間にその日は訪れた。
「ジュリア様、ようこそいらっしゃいました。どうぞ中にお入りください」
「失礼…します…」
ジュリア様は緊張した面持ちでキョロキョロと室内を見渡し、落ち着かない様子だ。
私はジュリア様を椅子に案内する。
「こちらにお座り下さい。今、侍女にお茶と菓子を用意させるわね」
「ありがとうございます…」
「ジュリア様は、本がお好きなのね」
マーニャが用意してくれた茶を飲みながら、私はジュリアに尋ねる。
「わっ、わたくしは…暗いし地味だし、こんな内気な性格だから小さい頃から友達とかもいなくて、ずっと部屋に閉じこもって本を読んでいたんです。本だけがわたくしの友達でした……」
(ジュリア様…)
私には支えてくれる大和がいたけれど、ジュリア様には誰もいなかった。
それがどんなに孤独だったのだろうか。
考えるだけで胸が痛んだ。
「では、これからは私と大好きな本を語り合いませんか?だって私達、もう友達でしょう」
「はい……!」
ジュリア様は、満面の笑みで笑う。
それは初めて見る、ジュリア様の笑顔だった。
(ジュリア様には、暗い顔より笑顔の方がよく似合っているわ)
「それに私はジュリア様が地味だとは、私は決して思いませんわ。ジュリア様は素材がいいのだから、もう少し明るいドレスを着て、髪の毛を変えて、お洒落をしたら今よりもっと可愛くなれると思うの」
(折角、顔立ちは整ってるのに何もしないなんて勿体ないわ。これじゃダイヤの原石よ)
「か、か、かっ…可愛い!?わたくしが!?滅相もございません……わたくしのような陰気臭い女には、華やかな衣装など似合いませんわ……」
ジュリア様は首を横に振りながら、大袈裟に否定する。
どうやらジュリア様の自信のなさは、相当、根深いみたいだ。
「そうだわ!ジュリア様は少しの間お待ちください」
私はジュリア様にそう告げると、衣類が収納してある戸棚に直行する。
「あの…桜姫様はいったい何を…」
戸棚を漁る私の後ろから、ジュリア様の伺う声がする。
声からして戸惑いが隠せないといった様子だ。
「何って今から、ジュリア様を変身させるのよ」
「ええぇ!!?」
ジュリア様の驚愕する声が室内に響き渡る。
今ジュリア様がどんな表情をしているのか、見なくても容易く想像がついた。
「私に任せてちょうだい」
「で、でも……」
「あったわ!これならジュリア様にぴったりよ」
私は一枚の衣を取り出すと、ジュリア様の前ではらりと広げて見せた。
「綺麗…」
ジュリア様は目をキラキラと輝かせてそれを見つめる。
私は早速、準備に取り掛かった。
まずは重苦しく見えるジュリア様の分厚い髪を一つに結い上げて、何もしていない状態の顔に化粧を施す。
そして華やかな薔薇が描かれた、淡黄色の着物をジュリア様に着させて、最後に薔薇の髪飾りをつければ完成だ。
「ジュリア様、素敵よ!とってもお似合いだわ!」
私は最大限の称賛を送る。
ジュリア様の変貌した姿に、驚きを隠せない。
(やっぱり私の目に、狂いはなかったわ)
目の前にいるジュリア様は、普段の飾り気のない地味な姿ではなく、優雅に咲き誇る薔薇のように美しかった。
「これが…わたくし…」
ジュリア様は、ただ呆然と鏡を見つめている。
「ジュリア様、とても綺麗です。どうか自分に自信をお持ちになってください。ジュリア様はこんなにもお綺麗なのですから」
あの日、ジュリア様の一言で私は救われた。
だからジュリア様にも、自分を卑下ることばかりではなく、自信を持って欲しかった。
「桜姫様、お洒落とはこんなにも楽しいものだったのですね。新しい自分になれたみたいで、不思議な感じでございます」
「そうよ。女として生まれたからには、お洒落を目一杯、楽しまなきゃ損ですわ。ジュリア様は着物に憧れているようなので着物にしましたが、ドレスの方が良かったでしょうか?」
「いいえ、本音を言うとわたくし、ずっと着物が着てみたいと思っておりました。夢が叶って今、とても嬉しいです」
ジュリア様は、ニコリと顔を綻ばせる。
そんなに嬉しそうな顔をされたら、私のほうまで嬉しくなる。
「喜んでいただけたのなら良かったです。そうだわ!今の見違えたお姿を、アシュラムにも見せてあげましょう!」
「アッ……アシュラム様に……!?」
私の提案にジュリア様は、顔を真っ赤に染めて狼狽する。
その姿はとてもいじらしくて、可愛らしかった。
「ふふふっ。ジュリア様は、アシュラムのことが本当に好きなのね」
私が茶化すように言うと、ジュリア様はコクリと頷いた。
「アシュラム様は、わたくしの太陽なのです」
「太陽…?」
私が不思議そうに問い掛けると、ジュリア様はアシュラムへの思いを馳せながら、ゆっくりとした口調で語り始めた。
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