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⒊埃臭い部屋から
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小鳥の囀りが心地よく僕はもう一度寝てしまいそうになるが重い体を起きあげる。
僕の身長ギリギリの小さなベットの周りには無機質な空間が広がっており、ベット以外に何もなかった。
もしかしたら、家具や何やらまで全部自分でお好きにおいてくださいってことか?あいにくインテリアには興味がないから、最低限必要なものがあれば良いか。
築もかなり経っているのか、床を踏めばドブのような低音がまるで楽器のようになる。裸足だったので床に埃が大量に積もっているのが分かる。
「汚いな」
僕が来ている衣服は無地の茶色いTシャツと同じく茶色の半ズボンだった。現実世界でこの姿で歩いて入れば孤児と思われるに違いない。
ベットには小さなカバンが置いてあり、おそらくその中にお金が用意されているのだろう。
僕は充満した埃臭い部屋を換気しようと楯築の悪い窓を開けると、突然玄関の扉がいきよいよく開いた。
「こんにちは!!あなたは転生者で間違い無いですね」
急に部屋に入って来た青色の髪の少女は、突然僕の前に近づき身体中を触りだした。僕はあまりにも突然の予想外の行動と身体中を伝う少女の手の感触に、ばっと身を退けた。
「な、何するんだ!」
身体中の体温が上がり、長距離でも走って来たのかというほどの激しい呼吸をする。しかし些かこの動揺は異性に対して芽生える性的感情ではなく、自分が想像していた異世界に実在する女の子の像と一致していた結果が招く喜びと期待の感情が入れ混じったものだった。
「…なに、照れてるのですか。念のためあなたが転生者かどうかを確かめただけですよ」
「…ああ。そうなのか、悪かった声荒らげて」
別に照れているわけではなかったが、触れる事はしなかった。
「一応私は、あなたのサポーターみたいな存在ですので。これからは一ヶ月間よろしくお願いしますって事なのであまり萎縮しないでくださいね」
と少女は笑顔で答える。
僕は興奮を抑えつつ彼女に返答するが、やはり先への期待度が沸点を超え一目散に外へとかけたい思いであった。
「基本的にあなた…桐谷さんはご自由に行動してもらって構いません。何かわからない事や現実世界に戻りたい時がありましたら声をかけてください」
僕は返答しながらも、いつでも現実世界に戻ることができるのかと意外に思う。とはいえ、戻るつもりはさらさらない。
「ではご自由に楽しんでください」
彼女は一礼し満面の笑みを僕に向ける。
まるで特訓された営業員のようだった。
「君は、どこにいるの?」
僕は単純な疑問をぶつける。
「それは秘密です」
とまた笑顔だ。
まあ別に今すぐにでも知りたいわけではなかったことだし良いか。
そんなことより僕は早く外に出て異世界を感じたい。
そしてそんな気持ちが先走り、僕はいつの間にか外に出ていた。
僕の身長ギリギリの小さなベットの周りには無機質な空間が広がっており、ベット以外に何もなかった。
もしかしたら、家具や何やらまで全部自分でお好きにおいてくださいってことか?あいにくインテリアには興味がないから、最低限必要なものがあれば良いか。
築もかなり経っているのか、床を踏めばドブのような低音がまるで楽器のようになる。裸足だったので床に埃が大量に積もっているのが分かる。
「汚いな」
僕が来ている衣服は無地の茶色いTシャツと同じく茶色の半ズボンだった。現実世界でこの姿で歩いて入れば孤児と思われるに違いない。
ベットには小さなカバンが置いてあり、おそらくその中にお金が用意されているのだろう。
僕は充満した埃臭い部屋を換気しようと楯築の悪い窓を開けると、突然玄関の扉がいきよいよく開いた。
「こんにちは!!あなたは転生者で間違い無いですね」
急に部屋に入って来た青色の髪の少女は、突然僕の前に近づき身体中を触りだした。僕はあまりにも突然の予想外の行動と身体中を伝う少女の手の感触に、ばっと身を退けた。
「な、何するんだ!」
身体中の体温が上がり、長距離でも走って来たのかというほどの激しい呼吸をする。しかし些かこの動揺は異性に対して芽生える性的感情ではなく、自分が想像していた異世界に実在する女の子の像と一致していた結果が招く喜びと期待の感情が入れ混じったものだった。
「…なに、照れてるのですか。念のためあなたが転生者かどうかを確かめただけですよ」
「…ああ。そうなのか、悪かった声荒らげて」
別に照れているわけではなかったが、触れる事はしなかった。
「一応私は、あなたのサポーターみたいな存在ですので。これからは一ヶ月間よろしくお願いしますって事なのであまり萎縮しないでくださいね」
と少女は笑顔で答える。
僕は興奮を抑えつつ彼女に返答するが、やはり先への期待度が沸点を超え一目散に外へとかけたい思いであった。
「基本的にあなた…桐谷さんはご自由に行動してもらって構いません。何かわからない事や現実世界に戻りたい時がありましたら声をかけてください」
僕は返答しながらも、いつでも現実世界に戻ることができるのかと意外に思う。とはいえ、戻るつもりはさらさらない。
「ではご自由に楽しんでください」
彼女は一礼し満面の笑みを僕に向ける。
まるで特訓された営業員のようだった。
「君は、どこにいるの?」
僕は単純な疑問をぶつける。
「それは秘密です」
とまた笑顔だ。
まあ別に今すぐにでも知りたいわけではなかったことだし良いか。
そんなことより僕は早く外に出て異世界を感じたい。
そしてそんな気持ちが先走り、僕はいつの間にか外に出ていた。
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