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6話 清人
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東京都内、とあるマンションの一室。
「もしもし、水島さん?てっきりあなたが来ていただけれると思ってました」
「安藤さんすみません、連絡忘れてました(笑)」
「見た限りかなりお若い方のようですが、ちゃんと祓ってくれるんでしょうね?」
「清人はああ見えても、力は私が認めるほどのものです、ご安心ください」
「最上階の高額物件を借り手がすぐ出てしまうとオーナーも困っているのでとにかくお願いします」
そういって不動産屋の安藤は電話を切った。
霊能者、水島が送ってきたのは、若く身長は160cmあるかないかの小柄な青年であった。
青年はミネラルウォーターの500mlのペットボトルを片手に高層マンションの窓際に立ち外の景色を眺めていた。
「あのー、そろそろお祓いしてもらえますか?」
安藤が青年にそういうと
「すみません、ちょっと集中してました💦」と言い青年は安藤の方へ振り返った。
しばらく部屋を眺めるとゆっくり部屋の角へと歩み角で立ち止まる。
そして次の角へ歩み立ち止まり、何か念仏のようなものを唱えながら時計回りに一周した。
部屋の中心で安藤はその様子を見ていた。
実は水島に依頼する前に格安霊媒師2人にお祓いを依頼したが、2人とも成果は見られず
お祓い後に借りてくれた方は霊現象に悩まされまた空き部屋に戻ってしまったのである。
水島は誰もが認める霊能者でありTVなどの出演もしているのでこれで終わりにしようと
依頼を決めたのであった。なのに現れたのは水島でなくこの青年、安藤は半信半疑不安であった。
「すみません、キッチンのほうに行ってもらえますか?」
今までだまっていた青年が安藤にキッチンのほうに行くよう声をかける。
「あっ はい 」
安藤は青年に従いキッチンに向かう。
広いリビングの中央に青年はたち天井のシャンデリアを見つめ、その真下にもっていたペットボトルを置いた。
すると青年も安藤のいるキッチンに向かい、両手でみずからの耳を抑える。
「安藤さんも僕と同じように目をつぶって耳をふさいでください、少し騒がしくなると思います」
安藤は青年に言われたように目をつぶり両手で耳をふさぐ。
(ぱりん”)
耳をふさいでいた安藤にも聞こえるくらい、何かの破裂音がする。
何者かが安藤の肩に触れる、安藤は恐る恐る目を開けると、肩に手を当てていたのは
青年だった。
「終わりました」
「えっ?」
先ほどの破裂音はシャンデリアの電球が割れた音だったようで
床には電球の破片が散乱していた。
「ごめんなさい、散らかしてしまって」
そういいながら、青年は破片を拾いビニール袋へと収めていく。
「細かいのは後で掃除機でお願いします」
青年はシャンデリアの真下にあったペットボトルを手に取り、安藤にみせる。
「中の水、少し濁ってるのわかります?」
言われてみれば未開封のわりに、すこし乳白色になっているように見えるが気のせいかもしれないという
程度だ。
青年はキャップを外しゴクゴクと喉の音を鳴らしながら一気に飲み干した。
「それでは僕はこれで失礼します」
そういって青年は玄関のほうに向かう。
「ちょっと、終わったってどういうこと?」
安藤はそういいながら玄関で靴を履こうとする青年をくい止めた。
電球が割れてペットボトルの水が少し濁ってそれを飲んで終わり?
大人をからかうのもいい加減にしろ、安藤はそう思った。
青年は振り返ると、シャツを少しめくり腹部を安藤に見せる。
青年の腹部は、直径10㎝くらい内出血をしているかのように青紫に変色していた。
よく見るとそのあざのようなものは少しうごめいていた。
「ひゃっ」大の大人が少女のような悲鳴をあげる。
「悪霊とまでは、熟してなかったので、今回はここで浄化させました、これで多分、この部屋は正常に戻っているはずです。」
青年は微笑みを浮かべながらそういって腹部を指さした。
幽霊をペットボトルに封印して飲み込んだ?青年の説明はそういうことになる。
そうこう考えているうちに
青年は元気よく部屋を後にし走り去っていった。
「もしもし、水島さん?てっきりあなたが来ていただけれると思ってました」
「安藤さんすみません、連絡忘れてました(笑)」
「見た限りかなりお若い方のようですが、ちゃんと祓ってくれるんでしょうね?」
「清人はああ見えても、力は私が認めるほどのものです、ご安心ください」
「最上階の高額物件を借り手がすぐ出てしまうとオーナーも困っているのでとにかくお願いします」
そういって不動産屋の安藤は電話を切った。
霊能者、水島が送ってきたのは、若く身長は160cmあるかないかの小柄な青年であった。
青年はミネラルウォーターの500mlのペットボトルを片手に高層マンションの窓際に立ち外の景色を眺めていた。
「あのー、そろそろお祓いしてもらえますか?」
安藤が青年にそういうと
「すみません、ちょっと集中してました💦」と言い青年は安藤の方へ振り返った。
しばらく部屋を眺めるとゆっくり部屋の角へと歩み角で立ち止まる。
そして次の角へ歩み立ち止まり、何か念仏のようなものを唱えながら時計回りに一周した。
部屋の中心で安藤はその様子を見ていた。
実は水島に依頼する前に格安霊媒師2人にお祓いを依頼したが、2人とも成果は見られず
お祓い後に借りてくれた方は霊現象に悩まされまた空き部屋に戻ってしまったのである。
水島は誰もが認める霊能者でありTVなどの出演もしているのでこれで終わりにしようと
依頼を決めたのであった。なのに現れたのは水島でなくこの青年、安藤は半信半疑不安であった。
「すみません、キッチンのほうに行ってもらえますか?」
今までだまっていた青年が安藤にキッチンのほうに行くよう声をかける。
「あっ はい 」
安藤は青年に従いキッチンに向かう。
広いリビングの中央に青年はたち天井のシャンデリアを見つめ、その真下にもっていたペットボトルを置いた。
すると青年も安藤のいるキッチンに向かい、両手でみずからの耳を抑える。
「安藤さんも僕と同じように目をつぶって耳をふさいでください、少し騒がしくなると思います」
安藤は青年に言われたように目をつぶり両手で耳をふさぐ。
(ぱりん”)
耳をふさいでいた安藤にも聞こえるくらい、何かの破裂音がする。
何者かが安藤の肩に触れる、安藤は恐る恐る目を開けると、肩に手を当てていたのは
青年だった。
「終わりました」
「えっ?」
先ほどの破裂音はシャンデリアの電球が割れた音だったようで
床には電球の破片が散乱していた。
「ごめんなさい、散らかしてしまって」
そういいながら、青年は破片を拾いビニール袋へと収めていく。
「細かいのは後で掃除機でお願いします」
青年はシャンデリアの真下にあったペットボトルを手に取り、安藤にみせる。
「中の水、少し濁ってるのわかります?」
言われてみれば未開封のわりに、すこし乳白色になっているように見えるが気のせいかもしれないという
程度だ。
青年はキャップを外しゴクゴクと喉の音を鳴らしながら一気に飲み干した。
「それでは僕はこれで失礼します」
そういって青年は玄関のほうに向かう。
「ちょっと、終わったってどういうこと?」
安藤はそういいながら玄関で靴を履こうとする青年をくい止めた。
電球が割れてペットボトルの水が少し濁ってそれを飲んで終わり?
大人をからかうのもいい加減にしろ、安藤はそう思った。
青年は振り返ると、シャツを少しめくり腹部を安藤に見せる。
青年の腹部は、直径10㎝くらい内出血をしているかのように青紫に変色していた。
よく見るとそのあざのようなものは少しうごめいていた。
「ひゃっ」大の大人が少女のような悲鳴をあげる。
「悪霊とまでは、熟してなかったので、今回はここで浄化させました、これで多分、この部屋は正常に戻っているはずです。」
青年は微笑みを浮かべながらそういって腹部を指さした。
幽霊をペットボトルに封印して飲み込んだ?青年の説明はそういうことになる。
そうこう考えているうちに
青年は元気よく部屋を後にし走り去っていった。
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