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メイド喫茶
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僕と姉御はパラドックスをでて秋葉原の街を散策していた。
「ネギココ入ってみるか?」
「えっ本当ですか?」
店の名前は「ロリポップ」メルヘンな佇まいの店舗だ。
僕は姉御について行き中に入る。
「いらっしゃいませ、くるくるぽん」
「くるくるぽん!」
まさかの姉御までくるくる返を。。。
「おもしれぇなぁ」
僕と姉御はテーブル席に案内された。
カラフルな内装に客もそこそこ入っている。
ただ、なんかケモノ臭さがあるがそこまで気にならない。
「お姉様とお兄様を担当させていただくメルモです。このたびロリポップにご来店ありがとうございます。」
姉御はメルモちゃんからメニューをもらい真剣な眼差しで選びだした。
「プリっ子山のわくわくパフェとぺろりん村のお菓子畑を頼む」
「僕も同じのでお願いします。」
流石メイド喫茶だ、変わった名前のメニューばかりだ。
それにしても、やっぱりケモノ臭さい場所だな。
「姉御、ここケモノ臭くないですか?」
「あのメイドの臭いだ」
僕はてっきり猫を飼っているのかと思いきやそうではなく、猫の霊が取り憑いつているらしい。
「危険ではないのですか?」
「憑いていて良いことはないだろうなぁ」
メルモちゃんが注文した料理を持ってきた。
「プリっ子山のわくわくパフェとペロリン村のお菓子畑です、元気注入して宜しいですか?」
「お願いしよう!」
メルモは不思議な呪文を唱え、元気を注入し始めた。
元気になるどころか、姉御の表情は厳しくなってきた。
「ちょっとまった。」
姉御は呪文を唱えるのをやめさせ料理を指差した。指したところには、動物の毛らしきものが。
「メルモちゃん、これ見えるか?」
僕にはかろうじて見えるが、メルモちゃんにも見えるのか?
「申し訳ございません、すぐに作り直してもらいます。」
「ちょっと待て、他の従業員を呼んでこい」
「ごめん、ポロンちゃんこっちこれる?」
「はい」
ポロンちゃんというメイドがきた。
「お前ここ見てみろ」
ポロンはマジマジ料理を見るが、動物の毛が見えていないようだ。
まずい、これからきっと姉御の説教が始まる。。。
「ポロンは仕事に戻っていい」
ポロンは担当のテーブルにもどっていった。
姉御はジーッとメルモを見つめる。
「ここはメイド喫茶になる前なんの店舗だ?」
「私も1年前にはいったのでよく分からなです。」
「ネギグーグルマップで少し」遡ってここの店舗を見てみろ」
僕はスマホで確認した、すると3年前。。。
店の看板が違う、「ねこっ茶」という
カフェだ。
「ねこっ茶っていう、カフェです」
ネットで調べてみると、猫カフェのようだ。
猫と戯れることのできるカフェだ。
このケモノ臭さはその名残なのか
しかし食事にかかっていた動物の毛は
なんなんだ?
「メルモ最近、キツネに関わるところに行ってないか?」
「キツネですか?」
メルモは思い出したかのように話し始めた。
メルモは大学生でサークルのメンバー5人で
肝試しにいきました。その時の廃神社が確か稲荷神社だったと思います。
「稲荷はまずいな」
久しぶりに姉御の表情が曇る。
「どうしてですか?」
姉御の話によるとまず動物霊というのが厄介で言葉が通じない為、荒々しい祓いが必要とのこと、そしてキツネ(稲荷)は取り憑くと命を狙う習性がありメルモやサークルの仲間が危険のようだ。
キツネが憑いているメルモに共鳴して
ここの猫の残留思念を引き寄せてしまっているのがこのケモノ臭の原因と姉御は見解した。
「どうしよう。。。」
「今日中にサークルのメンバーを集めてその神社にいくしかないな」
「メンバーに連絡してみます。」
気軽に気持ちで入った、メイド喫茶でこんな事に巻き込まれるなんて、姉御の使命なのか。。。
メルモはサークルのメンバーと連絡が取れたみたいで他の4人もアキバに集合することになった。
「学、運転手付きで8人のり可能な車両をアキバによこせ」
「姉上また、何かトラブルですか?」
「まぁそんなところだ、とにかく早くしろ、それといつもの道具も積んでこさせろ」
姉御は弟の学さんに連絡して送迎用の車両を手配した。
サークルのメンバー4人が店に来店した。
「お前らだいぶ弱ってるな、応急処置でこれをもってろ」
姉御はメルモ含め5人に護符を手渡した。
今のところ守護霊が守ってくれているが
それも時間の問題で破壊される寸前のようだ。
ちょうど学さんが手配した送迎車が店の前に着き、7人は車に乗り込んだ。
都内から車で走ること1時間半、街灯や人工物も少なくなり、だんだん山道になって来た。
「ここで止めろ」姉御
ここから先は姉御と僕で行くから決して車から出るなと学生たちに念を押す。
姉御はトランクから、なんと日本刀を取り出した。鞘から刀を抜く。
僅かな月明かりでも煌びやかに輝くほど
研ぎ澄まされた刀だ。刀の状態を確認すると再度鞘に収めた。
車に四隅に護符をはり、カーテンを全て閉じさせた。
「1時間たっても戻らなければ、そのまま街まで帰れ」と運転手に告げ僕らは奥へ進んでいった。
薄暗い細い一本道を歩いていく。
10分くらい歩くと半壊した鳥居が見えてきた。
「ネギ目に見える物を信じるな、私の言葉とこの霊力だけを信じろ、万が一逸れた場合はこの私の霊力を辿れ」
周りは鬱蒼とした森、鳥居を潜らず、脇から神社に入っていく。
おそらく鳥居をくぐるというのは相手の領域に入る行為になる為、回避したのだろう。
まったく管理されていない廃神社、周囲からの視線、物音がものすごい。
僕の霊力でみえるのは、人型の黒い影が物陰から度々こちらを除き混んでいる。
オーブは雨のように周囲を舞い上がり、そして落ちてゆく。
「あれ?」姉御の背後に居たはずなのに周囲に気を取られていたら見失った。
ライトで周囲を照らすが姉御の姿が見えない。目の前に長い石段が見えてきた。この上に上がったのか?
「姉御!」返事はない。。
道はここしかないからこの上にいるはずだ。
僕は足元を確認しながら、手作りの石段を上がっていく。
上を見上げると、少し明るくなっており、笛の音?何か賑やかな演奏が聞こえてくる。
どんどん上に上がっていくと、階段の終わり部分が見えてきて、演奏もはっきり聞こえてきた。
「ピーヒャララ、ドンドン」笛と太鼓の音色。本殿前に到着すると、お祭りが行われていた。
人だかりの中央には舞台があり、キツネのお面をした人が踊り演奏しその周りにも数十人がお面を付け踊っている。
昔懐かしい盆踊りのような光景だ。
「あのすみません、金髪の背の高い女性みませんでした?」僕は手前で踊りを見ている人に声をかけた。
「わしゃぞんじないな、おたく見ない顔だがどこから来た?」
「東京です」
「東京?はてな、悪いことは言わん、おたくもあのお面をつけなさい、稲荷様に叱られるぞ」老人であろう、その人は飾ってあるお面を指差した。
ここの神社で祀っている稲荷様のお祭りなのか、それより姉御どこいったんだ。
僕は狐のお面をつけているお祭りの中
姉御を探し続けた。
(もし私を見失ったら霊気を辿れ)
姉御の言葉を思い出す。僕は目を閉じ集中する。こんな夜中の廃神社でお祭りなんて有り得ない。
姉御の霊気。。。
優しい姉御、頼りになる姉御
姉御はどんな時も助けてくれる。
「ズバッ」目を閉じていてもわかった。
一瞬の閃光、僕は目を開けた。
僕の目の前には、鞘から刀を抜いている姉御
「ネギ、よくやった」
「はい?姉御どこにいたんです。」
姉御はゆっくり刀を鞘に納めた。
「すまんお前を囮にした」
姉御は自分より霊力の弱い僕が狙われるのを見越してたらしい。
いわゆる狐に化かされていたようだ。。。
「本番はこれからだ、さっき奴の領域を切り開いた際にマーキングした。
これからは、こちらが狩る方だ。」
姉御は本堂の裏手へと進んでいく。
「ガサガサ」四方八方から物音が鳴り止まない。
「どうやって退治するんですか?」
「相手は神の部類だぞ、退治なんかできるか」
「。。。」
たしかに神様を退治なんてもっての外だ。
そしたらどうやって解決する気なんだ。
姉御が再度、鞘から刀を抜く、護符で刃先を清め始めた。
目を閉じ構え始めた。
「ネギ離れてろ」
僕は姉御から少し離れたところで姉御を見守る。
神経を研ぎ澄ましてみると森の中から細い糸のような物が一本、二本、全部で5本。
「シャキンっ」
姉御が絶妙のタイミングで一振りで5本の糸を断ち切った。
「ネギ走れ!」
「えっ⁉️ はい」
僕は全速力で姉御を追いかけた、立ち切った糸が姉御を追い抜きさらに伸びた。
それを姉御は刀で断ち切る。
息があがる、足元も見えないし、転んでは起き上がり、姉御の背をおった。
車のライトが見えてきた。
「ネギ先に車に乗れ!」
僕は車に流れ込むようにのった。
「ネギさん大丈夫ですか?」メルモ
「よくわからないけど、大丈夫かと思います。」
姉御は神社の方角を見ながら刀を構える。
周りは音も風もなく、静かな暗闇だ。
姉御は刀を鞘に納め、ゆっくりと車にのる。
「車をだしてくれ」
運転手はUターンして山道を下っていく。
「姉御何がどうなのか説明してください。」
泥だらけの傷だらけの僕を見ながら笑みを浮かべ語り出した。
あの稲荷は廃神社になったあともあそこをねぐらにしていた。静かにひっそりと、誰も手入れや参拝や供物がなくても、土地がすきだったんだろう。
そんなところに、お前らのような若者が
手ぶらで住処で大騒ぎしたもんだから、仕置のつもりであの糸を繋げたんだ。
あの場所にいながら悪さをしていたから、関係をこの刀で断ち切った。
このへんだったら再度糸を放たれても届かないと計算した。
「近づかないと切れなかったんですか?」
「離れれば離れるほど糸はたるみ、細くなり見えないし切れない」
そういうことだったのか。それにしても姉御はいつも、完璧な計画のもと行動してる。
「本当にありがとうございます」
「遊びでこういうところに来るのはやめろ、夜の山は人が立ち入る場所ではない。」
学生たちは、姉御への感謝と反省をして
各々の家路へと向かって行ったのであった。
愛読ありがとうございます。
お気に入りコメントも是非頂けたら励みになります。よろしくお願いします🌈
「ネギココ入ってみるか?」
「えっ本当ですか?」
店の名前は「ロリポップ」メルヘンな佇まいの店舗だ。
僕は姉御について行き中に入る。
「いらっしゃいませ、くるくるぽん」
「くるくるぽん!」
まさかの姉御までくるくる返を。。。
「おもしれぇなぁ」
僕と姉御はテーブル席に案内された。
カラフルな内装に客もそこそこ入っている。
ただ、なんかケモノ臭さがあるがそこまで気にならない。
「お姉様とお兄様を担当させていただくメルモです。このたびロリポップにご来店ありがとうございます。」
姉御はメルモちゃんからメニューをもらい真剣な眼差しで選びだした。
「プリっ子山のわくわくパフェとぺろりん村のお菓子畑を頼む」
「僕も同じのでお願いします。」
流石メイド喫茶だ、変わった名前のメニューばかりだ。
それにしても、やっぱりケモノ臭さい場所だな。
「姉御、ここケモノ臭くないですか?」
「あのメイドの臭いだ」
僕はてっきり猫を飼っているのかと思いきやそうではなく、猫の霊が取り憑いつているらしい。
「危険ではないのですか?」
「憑いていて良いことはないだろうなぁ」
メルモちゃんが注文した料理を持ってきた。
「プリっ子山のわくわくパフェとペロリン村のお菓子畑です、元気注入して宜しいですか?」
「お願いしよう!」
メルモは不思議な呪文を唱え、元気を注入し始めた。
元気になるどころか、姉御の表情は厳しくなってきた。
「ちょっとまった。」
姉御は呪文を唱えるのをやめさせ料理を指差した。指したところには、動物の毛らしきものが。
「メルモちゃん、これ見えるか?」
僕にはかろうじて見えるが、メルモちゃんにも見えるのか?
「申し訳ございません、すぐに作り直してもらいます。」
「ちょっと待て、他の従業員を呼んでこい」
「ごめん、ポロンちゃんこっちこれる?」
「はい」
ポロンちゃんというメイドがきた。
「お前ここ見てみろ」
ポロンはマジマジ料理を見るが、動物の毛が見えていないようだ。
まずい、これからきっと姉御の説教が始まる。。。
「ポロンは仕事に戻っていい」
ポロンは担当のテーブルにもどっていった。
姉御はジーッとメルモを見つめる。
「ここはメイド喫茶になる前なんの店舗だ?」
「私も1年前にはいったのでよく分からなです。」
「ネギグーグルマップで少し」遡ってここの店舗を見てみろ」
僕はスマホで確認した、すると3年前。。。
店の看板が違う、「ねこっ茶」という
カフェだ。
「ねこっ茶っていう、カフェです」
ネットで調べてみると、猫カフェのようだ。
猫と戯れることのできるカフェだ。
このケモノ臭さはその名残なのか
しかし食事にかかっていた動物の毛は
なんなんだ?
「メルモ最近、キツネに関わるところに行ってないか?」
「キツネですか?」
メルモは思い出したかのように話し始めた。
メルモは大学生でサークルのメンバー5人で
肝試しにいきました。その時の廃神社が確か稲荷神社だったと思います。
「稲荷はまずいな」
久しぶりに姉御の表情が曇る。
「どうしてですか?」
姉御の話によるとまず動物霊というのが厄介で言葉が通じない為、荒々しい祓いが必要とのこと、そしてキツネ(稲荷)は取り憑くと命を狙う習性がありメルモやサークルの仲間が危険のようだ。
キツネが憑いているメルモに共鳴して
ここの猫の残留思念を引き寄せてしまっているのがこのケモノ臭の原因と姉御は見解した。
「どうしよう。。。」
「今日中にサークルのメンバーを集めてその神社にいくしかないな」
「メンバーに連絡してみます。」
気軽に気持ちで入った、メイド喫茶でこんな事に巻き込まれるなんて、姉御の使命なのか。。。
メルモはサークルのメンバーと連絡が取れたみたいで他の4人もアキバに集合することになった。
「学、運転手付きで8人のり可能な車両をアキバによこせ」
「姉上また、何かトラブルですか?」
「まぁそんなところだ、とにかく早くしろ、それといつもの道具も積んでこさせろ」
姉御は弟の学さんに連絡して送迎用の車両を手配した。
サークルのメンバー4人が店に来店した。
「お前らだいぶ弱ってるな、応急処置でこれをもってろ」
姉御はメルモ含め5人に護符を手渡した。
今のところ守護霊が守ってくれているが
それも時間の問題で破壊される寸前のようだ。
ちょうど学さんが手配した送迎車が店の前に着き、7人は車に乗り込んだ。
都内から車で走ること1時間半、街灯や人工物も少なくなり、だんだん山道になって来た。
「ここで止めろ」姉御
ここから先は姉御と僕で行くから決して車から出るなと学生たちに念を押す。
姉御はトランクから、なんと日本刀を取り出した。鞘から刀を抜く。
僅かな月明かりでも煌びやかに輝くほど
研ぎ澄まされた刀だ。刀の状態を確認すると再度鞘に収めた。
車に四隅に護符をはり、カーテンを全て閉じさせた。
「1時間たっても戻らなければ、そのまま街まで帰れ」と運転手に告げ僕らは奥へ進んでいった。
薄暗い細い一本道を歩いていく。
10分くらい歩くと半壊した鳥居が見えてきた。
「ネギ目に見える物を信じるな、私の言葉とこの霊力だけを信じろ、万が一逸れた場合はこの私の霊力を辿れ」
周りは鬱蒼とした森、鳥居を潜らず、脇から神社に入っていく。
おそらく鳥居をくぐるというのは相手の領域に入る行為になる為、回避したのだろう。
まったく管理されていない廃神社、周囲からの視線、物音がものすごい。
僕の霊力でみえるのは、人型の黒い影が物陰から度々こちらを除き混んでいる。
オーブは雨のように周囲を舞い上がり、そして落ちてゆく。
「あれ?」姉御の背後に居たはずなのに周囲に気を取られていたら見失った。
ライトで周囲を照らすが姉御の姿が見えない。目の前に長い石段が見えてきた。この上に上がったのか?
「姉御!」返事はない。。
道はここしかないからこの上にいるはずだ。
僕は足元を確認しながら、手作りの石段を上がっていく。
上を見上げると、少し明るくなっており、笛の音?何か賑やかな演奏が聞こえてくる。
どんどん上に上がっていくと、階段の終わり部分が見えてきて、演奏もはっきり聞こえてきた。
「ピーヒャララ、ドンドン」笛と太鼓の音色。本殿前に到着すると、お祭りが行われていた。
人だかりの中央には舞台があり、キツネのお面をした人が踊り演奏しその周りにも数十人がお面を付け踊っている。
昔懐かしい盆踊りのような光景だ。
「あのすみません、金髪の背の高い女性みませんでした?」僕は手前で踊りを見ている人に声をかけた。
「わしゃぞんじないな、おたく見ない顔だがどこから来た?」
「東京です」
「東京?はてな、悪いことは言わん、おたくもあのお面をつけなさい、稲荷様に叱られるぞ」老人であろう、その人は飾ってあるお面を指差した。
ここの神社で祀っている稲荷様のお祭りなのか、それより姉御どこいったんだ。
僕は狐のお面をつけているお祭りの中
姉御を探し続けた。
(もし私を見失ったら霊気を辿れ)
姉御の言葉を思い出す。僕は目を閉じ集中する。こんな夜中の廃神社でお祭りなんて有り得ない。
姉御の霊気。。。
優しい姉御、頼りになる姉御
姉御はどんな時も助けてくれる。
「ズバッ」目を閉じていてもわかった。
一瞬の閃光、僕は目を開けた。
僕の目の前には、鞘から刀を抜いている姉御
「ネギ、よくやった」
「はい?姉御どこにいたんです。」
姉御はゆっくり刀を鞘に納めた。
「すまんお前を囮にした」
姉御は自分より霊力の弱い僕が狙われるのを見越してたらしい。
いわゆる狐に化かされていたようだ。。。
「本番はこれからだ、さっき奴の領域を切り開いた際にマーキングした。
これからは、こちらが狩る方だ。」
姉御は本堂の裏手へと進んでいく。
「ガサガサ」四方八方から物音が鳴り止まない。
「どうやって退治するんですか?」
「相手は神の部類だぞ、退治なんかできるか」
「。。。」
たしかに神様を退治なんてもっての外だ。
そしたらどうやって解決する気なんだ。
姉御が再度、鞘から刀を抜く、護符で刃先を清め始めた。
目を閉じ構え始めた。
「ネギ離れてろ」
僕は姉御から少し離れたところで姉御を見守る。
神経を研ぎ澄ましてみると森の中から細い糸のような物が一本、二本、全部で5本。
「シャキンっ」
姉御が絶妙のタイミングで一振りで5本の糸を断ち切った。
「ネギ走れ!」
「えっ⁉️ はい」
僕は全速力で姉御を追いかけた、立ち切った糸が姉御を追い抜きさらに伸びた。
それを姉御は刀で断ち切る。
息があがる、足元も見えないし、転んでは起き上がり、姉御の背をおった。
車のライトが見えてきた。
「ネギ先に車に乗れ!」
僕は車に流れ込むようにのった。
「ネギさん大丈夫ですか?」メルモ
「よくわからないけど、大丈夫かと思います。」
姉御は神社の方角を見ながら刀を構える。
周りは音も風もなく、静かな暗闇だ。
姉御は刀を鞘に納め、ゆっくりと車にのる。
「車をだしてくれ」
運転手はUターンして山道を下っていく。
「姉御何がどうなのか説明してください。」
泥だらけの傷だらけの僕を見ながら笑みを浮かべ語り出した。
あの稲荷は廃神社になったあともあそこをねぐらにしていた。静かにひっそりと、誰も手入れや参拝や供物がなくても、土地がすきだったんだろう。
そんなところに、お前らのような若者が
手ぶらで住処で大騒ぎしたもんだから、仕置のつもりであの糸を繋げたんだ。
あの場所にいながら悪さをしていたから、関係をこの刀で断ち切った。
このへんだったら再度糸を放たれても届かないと計算した。
「近づかないと切れなかったんですか?」
「離れれば離れるほど糸はたるみ、細くなり見えないし切れない」
そういうことだったのか。それにしても姉御はいつも、完璧な計画のもと行動してる。
「本当にありがとうございます」
「遊びでこういうところに来るのはやめろ、夜の山は人が立ち入る場所ではない。」
学生たちは、姉御への感謝と反省をして
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