呪物ショップの店主ジレンマ 新章『呪連鎖編』スタート！

呪界団地編 シーズン2

22話

新宿の路地裏の空き地、駆け付けた風間と羽鳥。

「琴美すぐに助けてあげたいところだが、あの箱を回収したい、手伝てくれるか？」

琴美はうなづき、そろりそろり、ゆっくりと箱に向かい歩いていく。

木箱の中を覗くと若者たちは折り重なり、意識はないようだが、微かに息遣いを感じた。

(グッグッ)

琴美は力一杯体重をかけて箱を押すが流石に4人の入った箱、動くはずがない。

またそろりそろりと風間達のいる入り口に向かっていく。

「みんなかわからないけど、息がある人がいる。」
琴美は小声で風間に伝えた。

「羽鳥さん！」

「わかりました、救護班を派遣します。」
風間が全てを語る前に悟り救護班を呼び出した。

風間はビルとビルの隙間にあるごみ捨て場から程よい長さのロープを見つけた。
金網の隙間からロープの先を琴美渡し、巻き付けるように指示をする。

その間も奇怪なものは敷地内を探るように徘徊していた。
琴美は再びそろりそろりと箱の元に向かいロープ巻き付け縛りあげる。

琴美は風間達にOKサインをだし、羽鳥と共に箱をおもいっきり引っ張る。

（ズリ　ズリ　ズリ　）

しかし、奇怪なものも箱のすれる音に気付き箱のもとに向かう。

金網に仕掛けられた、札と鈴の影響で風間達の姿や声は奴からは見えないが異変には気づいてしまったようだ。

琴美も敷地内でロープを握り加勢して引っ張る。

(ズリ　ズリ　ズリ)

箱の動きが止まる。
我が子の乳母車を引き戻すように風間達とは
逆方向に引っ張られる。

「くそ、羽鳥さん向かいの電柱にロープをしばってくれ」

(ギシ　ギシ　ギシ)

なんとか留めたが、これ以上引っ張るのは難しい状況だ。

「とりあえず琴美をここから出すか。。ただ扉を開ければ結界が一時的に解ける可能性があるから、どちらにしろ奴をどうにかするしかないな。」

風間はタバコを咥えながら敷地内を見渡す。

「うしっ、羽鳥さん俺が中に入ってヤツを食い止めるから。琴美が外にでたら2人でロープを引いて箱も敷地内からだしてくれ。」

「私たちだけで引けるでしょうか？」

「救護班がそろそろ来るはずだ、それにかけるしかない」

風間は扉の前に立ち、ダイヤル式のロックを右手で握った。