呪物ショップの店主ジレンマ 新章『呪連鎖編』スタート！

廃村の鬼人編 シーズン1

35話 鬼神の真実

数十年前の事件当日

禁足地を訪れたあと、体調をくずしている鬼塚の家に平田と千尋は見舞いにいった。

鬼塚の身体の異変に驚き、千尋は神官である父親に助けを求め、自宅へ向かった。

きっとあの禁足地で鬼の面に触れたのが原因だろうと、家路に向かいながらそう考えていた。

玄関の前で涙を拭き、深呼吸をした。
禁足地に行ったこと、そして鬼塚に異変がある事を伝えるという事は自分にも非があり
叱られて当然だと思った。

(ガラガラ)

扉を開けると、客人と居間で父親は談笑をしていた。

「お父さん、ちょっと話が」
目を腫らした娘の異変に気付き台所へ千尋を連れて行く。

「鬼塚くんが大変なの、禁足地に行ってから様子が変なの」
千尋は素直に全てを話した。

「わかった、鬼塚くんはどこにいる？」
想像していものと違い父親はしからなかった。そして自宅で母親と平田と一緒にいると伝えた。

「他は誰もいないんだな？」

「うん」

「千尋、今から大切な話をする、話が終わってから鬼塚くんの家にいくよ」

千尋が聞かされたのは衝撃な内容であった。

江戸時代初期にこの村や周りの村に大飢饉が起き疫病も襲いかかった。

周囲の村の神官が集まり、災いがさるよう祈祷を何日も行った。

しかし状況が変わらず、千尋の祖先である神官があの禁足地に足を踏み入れた。

神に願いをしても、何もしてくれず、何でも良いから縋りたいという気持ちで踏み入れてしまったのである。

当時あの場所は、妖や悪霊の巣窟だということで入る事を禁じられていたが実際は

鬼神の住処であった。
そして千尋の祖先は鬼神とある契約をした。

世の中の災いを払う代わりに人々の中に鬼を
忍ばせろと、その根源となるために千尋の祖先は自ら鬼神を受け入れて、今は父親の中に巣食うっていると言うのだ。

鬼神の根源を断つと再び災いが村々を襲うと言い伝えられてきた。

鬼塚家の祖先は蛇神の力を使い人々の中にある、鬼を取り除いてきたが、根源を突き止める事ができず、イタチごっこだったという。

そして数代前の鬼塚家の時に、蛇神の存在を継承できなくするために、継承する前に殺害した。

殺害後、残された面を手に取ると焼けるような激痛が走った。
鬼神を纏った千尋の祖先には
手に取ることが出来ず、村人に運ばせ、最終的には村人も口封じの為、殺害したようだ。

村と家系の黒歴史を知り、千尋はショックだった。

「千尋、ワシらの家系は鬼神を取り除かれたら、生きてはいけない、親戚も家族も皆、死ぬだろう。。何も知らない鬼塚くんに罪は無いが、あの面の力を取り入れたら、ワシらは殺され、それだけでなく村には災いが襲ってくるだろ」


「鬼塚くんを見殺しにするの？」

「鬼塚くんは蛇神の力を受け入れる器がまだなく苦しんでいるだけじゃ、あの面と鬼塚くんを引き離さなければならない。。」

鬼塚の身に起こった発熱や発疹、剥がれた皮膚は鬼の面と遭遇した時に共鳴し、蛇神を受け入れる過程の脱皮の始まりであった。


そして結果的には神主の逸話でこじつけられ腕を切り落とし、面を井戸に封印したのであった。


何も知らずに腕を失った鬼塚と再開した千尋は父親が何をしたかを知ったのだ。

一族の為、千尋は父親から鬼神を継承した、しかし今まで男子が継承をしていたが千尋が初めての女性であった。

そして平田との息子に継承を試みるが失敗し息子を失った。

最後残された継承者は何を隠そう、貞治である。

年老いて鬼神をコントロール出来なくなった千尋、鬼神は自ら忌々しい面を手に入れる事と幼子の貞治を新しい住処にするつもりであった。