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廃村の鬼人編 シーズン1

30話 蛇神

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鬼塚は数十年ぶりに禁足地に辿り着いた。

橋を渡り中央の社にたどり着く。
あの時、この面に触れなければ。。。

後悔の思いが溢れ出す、鬼塚はゆっくりと壺の蓋を開けた。
この中には自分の左腕と鬼の面が入っている。そう思うと、迷いも微かによぎるが
凛子の為に覚悟を決めた。

すると光を失った左目の視力が突如戻った。

左目で見える世界は現実とは異なり
空気の流れ、草木からでる不思議な光がみえる。まるで全てのものからエネルギーが出ているように感じる。

ふと視線を下にずらすと失った左手がみえる。

しかしそれは蛇のような柄の肌。
指もあるし、自分の意思と同じ動きをする。
まさに腕そのものであった。

壺の中にゆっくりとその腕を入れてみる。
水に触れている、冷たいという感覚もある。
そして手探りで面を探すと、それはあった。

ゆっくりと引き上げ壺のなかから引き出した。左腕と面は光輝き、まるで共鳴してるかのようであった。


そっと骸の上に面を載せ、凛子の事を祈った。
これで全てが元通りになればと思い鬼塚は禁足地を後にした。

離れたあとも、蛇柄の腕は右には映らないが左目だけには見えた。

あの時とは全く違う感覚、よからぬ物に触れた感覚ではなかった。




「平田、貞治が見えるようにお前にも少なからず、わしの腕が見えないか?」

平田さんは目を凝らし、ないであるだろう左腕をみると

「うっすらじゃが、みえる。。。」
平田はそう返事をした。

「お前も貞治も鬼の影響を受けてるようじゃ、長い間、苦しかったじゃろう、解放してやるから動くなよ」

鬼塚はその手を平田さんの目元に持っていく。そして目に宿る鬼火をつまみ、握りつぶした。

「どういう事じゃ?」

「わけは後で話す、貞治の鬼火もとらんとな」

そういって鬼塚は眠る貞治からも鬼火を取り除いた。


「わしら鬼塚の血筋は、蛇神さまに守られておる、凛子もそのはずじゃ」

「凛子ちゃんの体に浮き上がった蛇も京子ちゃんがいったように蛇神なのか。。」
ジレンマが答える。

「よく聞け平田、あの事件じたいが茶番じゃった。あの時、わしは鬼の面に呪われてなんかいなかったのじゃ」

「どっ!どういう事じゃ?」
平田は鬼塚に問う。

「まず、貞治を連れ出してしまってすまん、凛子から連絡があり本来は凛子だけと思ったが、幼子も苦しんでるときいてなぁ」

「あの場から連れ去らなくても。」
平田さんは攫った理由に少し理解したのか
言葉に力はなかった。

「多くの人や、そこらじゅう邪気を帯びたものが仕掛けられたからじゃ、とにかくあの場でこの力を使うのは危険を生じるかもしれない。。。しかし連れ去った事に偽りはない、それは謝る」

心からの謝罪を受け平田さんも落ち着く。

「鬼塚。聞かせてくれ真相を」


これから鬼塚から話される真実とは。。。





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