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番外編
「神殺しの京子」 子分のネギ(青年)と姉御(京子)の物語
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僕の名前ネギ、京子さんこと「姉御」からそう呼ばれている。
僕は山に入るのが怖い、少年の頃のある事件がきっかけだ。
幼少期に住んでいた山村で入ることを禁じられていた廃神社に幼馴染といっしょに入ってしまった。
恐らくそれが良くなかったのか神様だか妖怪だかよくわからないけど怒らせてしまった。
僕はその神社でこの世のものでは無いものに遭遇して気絶した。
一緒にいた幼馴染は神隠しにあったのか行方不明になり僕だけが助かった。
村の掟を破った、僕ら家族は村から追放された。
親戚のいる都会に越したがその生活環境に僕は馴染めなかった。
学校では定期的に殴られた、いじめられた。
そんな最悪な人生だった。
-17歳の夏のある日-
「お前何やってんだ?」
誰かが僕を木の枝でツンツンしてくる。
「あ。。ぁ。。ぁ。。」
「あぁ、そういつことか、動くかなくてい、ちょっと待ってろ」
殴られて腫れたマブタをゆっくり開けると女の人が僕をツンツンしていた。
女の人は川岸まで行き、戻ってきた。
冷たいハンカチを腫れたマブタに当てる。
「多分脳震盪だな。
定期的にやられてるのか?」
「えっ」
「こっちとこっちの傷は治りかけだ」
「。。。。ごめんなさい」
「何をあやまる、謝る必要がない時は謝るな」
彼女はタバコに火をつけ一服する。
これが京子さん、「姉御」との出会いだった。
「姉御」とはオカルトを返して楽しい毎日を過ごしていた。
しかしそれは永遠ではなかった。
山村を離れる時、村長に絶対にもう山には入るな、ここの山だけでなく、どこの山にも入ってはいかん、入ったら今度はお前が攫われるかもしれないぞと念を押された。
しかし僕はその約束を破ってしまった。
ふとした事ではいってしまった。
それから僕は異常な程の霊視能力が付きコントロールもできなくなった。
山に入った事で何かが変わってしまった。
生きている人と同じくらいの死霊が見えるようになり僕の目に映る世界は人間と死霊の混在した世界になった。
区別もできず、死霊は僕を頼り追ってくる。
そんな日々に疲れ果てていた。
そんな重大な出来事があったにも関わらず
京子さんには打ち明けられなかった。
何故なら京子さんの方が死霊より怖い可能性があるからだ。
前に姉御と訪れた、秋葉原の「パラドックス」という呪物ショプのジレンマさんを訪ねた。正気が抜け覇気のないジレンマさんに
相談した所、高野山の高僧を紹介してもらった。
僕はひとり高野山に籠り祈祷を繰り返すが僧侶たちも疲労困憊。祓っても祓っても湧き出てくる死霊達。
皆にも迷惑がかかる、これは僕の因縁だ、死んでもいい、あの山に戻り因縁を断ち切ろうと決心する。
高野山に別れを告げ、僕は生まれ育ったあの山に戻った。幼馴染が神隠しにあい。
山の主にあったあの山に。
事件現場の廃神社、ここで主にあった。
僕は主に出てくるよう叫んだ。
声が出なくなるくらいまで。
ズシン
ズシン
ズシン
神社の奥から地響きがなる。
木々を揺らし、地面の小石を浮かせるくらいの地響きだ。
主がきた。幼少期にみたあの主だ。
綺麗な着物を纏い、袖で口元を塞ぎ、色白の肌にキツネのような細い目。
あの時と同じように使いのモノを連ねている。
「ほっほっほっ、男かな、女かなどちらにしようかな」
「ほっほっほっ、男かな、女かなどちらにしようかな」
あの時と同じセリフだ。
「何がしたいんだ、今日は僕ひとりだ、ほしいなら僕を連れて行け!」
あの時は僕でなく幼馴染を連れていってしまった。
「あんたは一体何者なんだ!」
「ほっほっほっ、男かな、女かなどちらにしようかな」
「だから僕しかいないってば」
主は僕の後ろを指差した。
「ほっほっほ、おなごもおるよ」
「ネギ、面白い事してなぁ(笑)」
「あっ姉御‼️」
僕の後ろには姉御がいた、幻ではなく
本当の姉御だ。
「どうしてここに?」
「僧侶から聞いたんだ、ボケ‼️」
やはり同じくらい姉御は怖い。
「ネギ、こいつは神だ、この山の神だな、この波動、感覚は神の部類だ。」
「神様⁉️」
「こいつがお前を長い間苦しめていた元凶か。。。神をヤルのは掟破りになるが仕方ないタイジするか」
「えっ」
京子は腰につけた鞘から刀を抜いた。
「こいつは、藤波家(京子の家系)の祀る神が宿った刀だ、神は神を殺せないからな」
「姉御どういうこと?」
京子は人差し指と中指で刀のハバキから先端までゆっくりとなぞる。
するとなんとも言えない白い閃光が刀から抜けていった。
その瞬間、京子の体を模るようにメラメラと炎のようなものが包み込む。
その色は赤のような、紫のような不思議な色であった。
「あぁ、体が軽くなった。」
京子は刀を斜めに振り下ろしこう言った。
「お前ら容赦しないからな」
そう言い放つと刀で主に襲いかかる。
主も京子の殺気に気付き、背後から黒い帯状のようなものをだすが手遅れ。
グサっ
京子の刀は主の胸部を貫いた。
主は無言で使い諸共、灰のように消し飛んでいった。
「あーぁネギを助けたおかげで生身になっちまった。」
「えっ姉御どういうことですか?」
由緒ある神道の家系の京子は神の加護がついていた。しかし、京子の場合、他のものと異なり、神の力で本来の力を抑えられていたようだ。
万が一解放した場合、あらゆるものを破壊してしまう恐れがあるからだ。
今回、山の神を切り捨てるために、藤波家の神の加護を破棄したようだ。
「えっ、あの指でなぞっただけですよね?」
「あのね、やり方とかそういう問題じゃなくて神を殺す行為で見捨てられるだ」
「じゃあの指でなぞったのはカッコつけただけですか?」
「もういい、帰るぞ」
「あっはい」
その後、僕には霊感がいっさいなくなり、姉御は海外へ留学にいき姉御との日々に終止符が打たれた。
これが「神殺しの京子」の始まりだ。
僕は山に入るのが怖い、少年の頃のある事件がきっかけだ。
幼少期に住んでいた山村で入ることを禁じられていた廃神社に幼馴染といっしょに入ってしまった。
恐らくそれが良くなかったのか神様だか妖怪だかよくわからないけど怒らせてしまった。
僕はその神社でこの世のものでは無いものに遭遇して気絶した。
一緒にいた幼馴染は神隠しにあったのか行方不明になり僕だけが助かった。
村の掟を破った、僕ら家族は村から追放された。
親戚のいる都会に越したがその生活環境に僕は馴染めなかった。
学校では定期的に殴られた、いじめられた。
そんな最悪な人生だった。
-17歳の夏のある日-
「お前何やってんだ?」
誰かが僕を木の枝でツンツンしてくる。
「あ。。ぁ。。ぁ。。」
「あぁ、そういつことか、動くかなくてい、ちょっと待ってろ」
殴られて腫れたマブタをゆっくり開けると女の人が僕をツンツンしていた。
女の人は川岸まで行き、戻ってきた。
冷たいハンカチを腫れたマブタに当てる。
「多分脳震盪だな。
定期的にやられてるのか?」
「えっ」
「こっちとこっちの傷は治りかけだ」
「。。。。ごめんなさい」
「何をあやまる、謝る必要がない時は謝るな」
彼女はタバコに火をつけ一服する。
これが京子さん、「姉御」との出会いだった。
「姉御」とはオカルトを返して楽しい毎日を過ごしていた。
しかしそれは永遠ではなかった。
山村を離れる時、村長に絶対にもう山には入るな、ここの山だけでなく、どこの山にも入ってはいかん、入ったら今度はお前が攫われるかもしれないぞと念を押された。
しかし僕はその約束を破ってしまった。
ふとした事ではいってしまった。
それから僕は異常な程の霊視能力が付きコントロールもできなくなった。
山に入った事で何かが変わってしまった。
生きている人と同じくらいの死霊が見えるようになり僕の目に映る世界は人間と死霊の混在した世界になった。
区別もできず、死霊は僕を頼り追ってくる。
そんな日々に疲れ果てていた。
そんな重大な出来事があったにも関わらず
京子さんには打ち明けられなかった。
何故なら京子さんの方が死霊より怖い可能性があるからだ。
前に姉御と訪れた、秋葉原の「パラドックス」という呪物ショプのジレンマさんを訪ねた。正気が抜け覇気のないジレンマさんに
相談した所、高野山の高僧を紹介してもらった。
僕はひとり高野山に籠り祈祷を繰り返すが僧侶たちも疲労困憊。祓っても祓っても湧き出てくる死霊達。
皆にも迷惑がかかる、これは僕の因縁だ、死んでもいい、あの山に戻り因縁を断ち切ろうと決心する。
高野山に別れを告げ、僕は生まれ育ったあの山に戻った。幼馴染が神隠しにあい。
山の主にあったあの山に。
事件現場の廃神社、ここで主にあった。
僕は主に出てくるよう叫んだ。
声が出なくなるくらいまで。
ズシン
ズシン
ズシン
神社の奥から地響きがなる。
木々を揺らし、地面の小石を浮かせるくらいの地響きだ。
主がきた。幼少期にみたあの主だ。
綺麗な着物を纏い、袖で口元を塞ぎ、色白の肌にキツネのような細い目。
あの時と同じように使いのモノを連ねている。
「ほっほっほっ、男かな、女かなどちらにしようかな」
「ほっほっほっ、男かな、女かなどちらにしようかな」
あの時と同じセリフだ。
「何がしたいんだ、今日は僕ひとりだ、ほしいなら僕を連れて行け!」
あの時は僕でなく幼馴染を連れていってしまった。
「あんたは一体何者なんだ!」
「ほっほっほっ、男かな、女かなどちらにしようかな」
「だから僕しかいないってば」
主は僕の後ろを指差した。
「ほっほっほ、おなごもおるよ」
「ネギ、面白い事してなぁ(笑)」
「あっ姉御‼️」
僕の後ろには姉御がいた、幻ではなく
本当の姉御だ。
「どうしてここに?」
「僧侶から聞いたんだ、ボケ‼️」
やはり同じくらい姉御は怖い。
「ネギ、こいつは神だ、この山の神だな、この波動、感覚は神の部類だ。」
「神様⁉️」
「こいつがお前を長い間苦しめていた元凶か。。。神をヤルのは掟破りになるが仕方ないタイジするか」
「えっ」
京子は腰につけた鞘から刀を抜いた。
「こいつは、藤波家(京子の家系)の祀る神が宿った刀だ、神は神を殺せないからな」
「姉御どういうこと?」
京子は人差し指と中指で刀のハバキから先端までゆっくりとなぞる。
するとなんとも言えない白い閃光が刀から抜けていった。
その瞬間、京子の体を模るようにメラメラと炎のようなものが包み込む。
その色は赤のような、紫のような不思議な色であった。
「あぁ、体が軽くなった。」
京子は刀を斜めに振り下ろしこう言った。
「お前ら容赦しないからな」
そう言い放つと刀で主に襲いかかる。
主も京子の殺気に気付き、背後から黒い帯状のようなものをだすが手遅れ。
グサっ
京子の刀は主の胸部を貫いた。
主は無言で使い諸共、灰のように消し飛んでいった。
「あーぁネギを助けたおかげで生身になっちまった。」
「えっ姉御どういうことですか?」
由緒ある神道の家系の京子は神の加護がついていた。しかし、京子の場合、他のものと異なり、神の力で本来の力を抑えられていたようだ。
万が一解放した場合、あらゆるものを破壊してしまう恐れがあるからだ。
今回、山の神を切り捨てるために、藤波家の神の加護を破棄したようだ。
「えっ、あの指でなぞっただけですよね?」
「あのね、やり方とかそういう問題じゃなくて神を殺す行為で見捨てられるだ」
「じゃあの指でなぞったのはカッコつけただけですか?」
「もういい、帰るぞ」
「あっはい」
その後、僕には霊感がいっさいなくなり、姉御は海外へ留学にいき姉御との日々に終止符が打たれた。
これが「神殺しの京子」の始まりだ。
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