時渡りの姫巫女

真麻一花

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ダイジェスト(1~31話)

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<注意>

このページは、1話から31話までの話のダイジェスト版になります。あらずじよりかは物語調で書いてあります。細かい設定は全て削り、ストーリー展開と、ヒロインの恋愛事情(?)のみに焦点を当てた物となっています。本編とは、ほんの少し構成を変えてありますが、語る順番が変わっているだけでストーリーは全く一緒です。


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「リィナ!!」

 雑踏の中、響いた声は、私の心を突き刺すように縛り付けた。
 その声を私は知っている。

 ヴォルフ様。

 振り返ったのは無意識だった。だからとっさにその声の主を捜してしまった。求めてしまった。
 私は彼の姿をこの目にとらえたかったのだ。

 助けて。
 ヴォフル様。助けて。

 昨日、私に向けて伸ばされた手が心の中によみがえった。まるで今私を突き刺したその声が、昨日差し出された手となって、私を包み込んでいるようにも思えた。
 視界の端にようやく彼の姿をとらえる。人波の中で一人高く飛び抜けたその背は、私の視界の端にあっても、素早く鮮明に見つけられた。
 視線が合ったのは一瞬。

 ヴォルフ様。ヴォルフ様、助けて。

 心はそう叫んだけれど、でも、それを言えるはずがなかった。
 これから私は姫巫女として神殿に上がる。この場に溢れかえったグレンタール中の人々が、この村から姫巫女が生まれたことを祝っている。そして神殿の者や兵士が私を警備している。
 助けてと叫んだところで、私をこの場から攫うことは無理だろう。
 それでも今、助けを求めれば、一言、ヴォルフ様と叫べば、彼はすぐさま飛んできてくれるのではないかと思えた。でも、彼にそんな事をさせてはいけないのだ。

 助けてと叫べば、背を向けて逃げてくれる人ならよかった。そしたら遠慮なく叫べたのに。でも、彼は護る人だった。本来はこのグレンタールを背負っていく人。人を護るために生きていく人。私を見捨てられずに、頼れと言ってくれた人。神殿さえも相手に、それに敵対する意味さえも知って、護ると言ってくれた人。
 この土地の未来さえも背負っているのに、私を護るために苦境に立つことを厭わなかった人を、どうして、そうと分かっていて引きずり落とせるというのか。

 一瞬合った視線を、見なかったふりして、私は前を向く。
 もう、十分だから。あの時くれた言葉と、あの時差し出してくれたその手を思い出せば、きっとがんばれるから。
 姫巫女にならねばならないのなら、私は姫巫女となろう。そうすれば彼を巻き込まずにすむ。彼が、唯の知り合ったばかりの小娘のために、道を踏み外さずにすむ。

 だから、私は、姫巫女になる。

 まっすぐ前を向いているのに、この背中に、彼の視線が突き刺さっているように感じるのは、思い上がりだろうか。「俺を呼べ」と、彼がそう訴えかけてくれているように感じてしまうのは、愚かな願望だろうか。
 もし、思い上がりでないのなら、もし、これが願望ではなく、真実、彼が私を想ってくれているのなら、尚のこと。
 そうだ。私は姫巫女になって、このグレンタールの力になろう。グレンタールを背負う彼を、神殿から守れる存在になろう。
 出来ないことを悔やんだりしない。できる事を考えよう。泣いたりしない、助けを求めたりなんかしない。笑ってみせる。誰にも気付かれないぐらい幸せそうに笑ってみせる。私はヴォルフ様に心配をかけさせたりしない。
 立派な姫巫女になって、ヴォルフ様を支える力になろう。




 私がヴォルフ様と出会ったのは、今年の祭りだった。
 私が住むグレンタールは、首都エドヴァルドと港町カルコシュカをつなぐ街道の途中にある山の奥の村だ。小さな山間の村だが、ここは三百年前に時渡りの姫巫女が、彼女を守る剣士と共に興した村で、首都エドヴァルドに次ぐ大きな時渡りの神殿があるという、神殿にとっても主要な土地であった。

 グレンタールでは毎年、村の豊穣と発展を願った祭りが行われ、その時に村を興した姫巫女と剣士の物語の舞が奉納される。その舞は毎年グレンタールで選ばれた男女がそれぞれ選出されて舞うのだが、村の少女たちにとって、姫巫女役を舞うのは大きなあこがれだった。
 今年はグレンタールが出来て三百年が経つという、記念すべき祭りだった。その三百年祭で、私は舞の姫巫女役に選ばれた。そして剣士役が、グレンタールの次期領主となる、ヴォルフ様だったのだ。普段は首都エドヴァルドで騎士として活躍している彼は、村の少女達にとってあこがれの存在であった。けれど、グレンタールにいることの少ない彼に出会う機会などあるはずもなく、私がヴォルフ様と言葉を交わしたのは、この舞の練習の時が初めてだった。

 あこがれの彼とあこがれの姫巫女になって行われる舞の練習。五歳も年上の彼からすると、私はずいぶん幼く見えたのだろう。すぐにからかっては私があたふたするのを笑って楽しんでいた。けれど、そんな些細なやりとりが楽しくてたまらなかった。
 すぐに意地悪なことを言うけれど、いつも先を見て、私が困る前に助けてくれている、そんな人だったから。将来この村を背負う人は、こんなにすごいんだと思うほどよく周りを見ていた。

 だから、彼は誰も気付かなかった私の苦悩に気付いてしまったのだ。優しい人だから、彼は、誰も私を助ける術がないことを知って、助けようとしてくれた。



 運命というのはおかしな物だと思う。
 元々は、唯の姫巫女「役」だったのに。舞の姫巫女を演じるだけだったのに。なのに今、私は本物の姫巫女になろうとしている。
 そんな事、望んでなどいないというのに。

 私が本物の姫巫女へと祭り上げられようとしているのは、私に潜在的な巫女の力があると神殿から認められたためだった。
 元々は、祭りに向けた舞の練習の一貫として、姫巫女役を演じるために神殿での修行をしていただけだった。そこで私はエドヴァルドに唯一いる姫巫女様の力さえも超えるであろう力が認められてしまったのだ。
 あの時、神殿中が騒然とした。今は存在しない「時渡り」が出来る姫巫女が生まれるのではないかと。それほどまでに強い力だったらしかった。

 時渡りの神殿は、そこに仕える巫女達が未来を読み、過去を読み解くことで国を支えている。今エドヴァルドの神殿にいるという姫巫女は未来を読む先読みの姫巫女ただ一人。姫巫女とは、希有な力を持つ巫女にのみ与えられる地位で、コルネア国内に唯一人しかいない。けれど、その彼女さえ、時渡りは出来ない。
 時渡りとは、その名の通り、時を渡り、過去や未来をその目で見る巫女のことを言う。その力を持つ巫女は時渡りの姫巫女と呼ばれ、最も強い力を持つ姫巫女となる。けれど、グレンタールを開いた時渡りの姫巫女が存在して以来、三百年、生まれることはなく、以降先読みの姫巫女と過去見の姫巫女しか選出できておらず、時渡りの姫巫女は神殿から強く望まれた存在だった。

 そこで私は、時渡りの力があるのではないかと言われるほどの力があると認められてしまったのだ。私自身に、その自覚はない。力なんてあるとは思えないし、あったとしても使い方も分からないし、そんな力は感じ取れもしない。けれど、違うと、そんなはずがないと訴えても、神殿の誰も相手にしてくれなかった。
 神殿が、時渡りの姫巫女になれるかもしれない私の存在を、手放そうとはしなかったのだ。

 力が発揮されれば、その力に応じて輝くという守石が、まぶしいほどに輝いたのを多くの神官達が見てしまったから。そして、それを予測していた人がいた。彼は元々、私に素質があれば神殿に引き留めるつもりでいたのだ。
 エドヴァルド神殿からやってきた神官は私にとんでもない事実を突きつけた。

 私は、エドヴァルド神殿にいる唯一人の姫巫女の娘であると。

 神殿の守人である父と母の前で、私にその事実を知らされた。そして、育ての父と母の命を盾に取り、姫巫女として神殿に上がるように脅迫をされた。
 本来、姫巫女になることは名誉なことだった。特に時渡りの姫巫女と縁深いグレンタールの少女なら、お城のお姫様に憧れるように、姫巫女に憧れる。美しく聡明で国を護る姫巫女様に。

 でも、私はそうではなかった。姫巫女には確かにあこがれを持っている。けれど、自分がなりたいかというと、全くの別物なのだ。神殿に上がると言うことは、俗世と縁を切ることでもある。しかも、神殿が求めるような力を、私自身が感じられないのだ。姫巫女になれる自信もないのに、そんな話をうけられるはずがなかった。怖かった。いやだった。
 何より、両親を盾に脅迫するような人に屈服するのが悔しかった。

 でも、私には逆らう術はなくて。それに両親は当たり前のように言うから「気にするな」と「あなたの好きに生きなさい」と。血のつながりさえない私の為に、命を張ってくれるような両親を見捨てられるはずがなかった。私は、姫巫女になることを承諾するより他なかった。
 そのことを両親はひどく悔やんでいた。ひっそりと「必ず助けるから」と約束をしてくれた。それが出来るかどうかなんて分からない。でも、そのことが嬉しかった。



 姫巫女として神殿に上がる日は三百年祭の翌日、そして姫巫女としてお披露目されるのは三百年祭での舞の奉納の後と決まった。
 神殿の修行から戻った私は、恐怖と絶望を押し隠して普段通りに振る舞った。
 日常に戻って、いつも通り仕事をこなし、舞の練習に打ち込んだ。

 逃げたい気持ちも、嫌だと叫びたい気持ちも、助けてと誰かに縋りたい気持ちも、全部隠して、泣くのは一人っきりの家でだけにして。神殿に拘留されている両親を思って、未来が怖くて、でも誰にも言えなくて、私は一人で泣いた。

 けれどそれは上手く隠していたつもりだった。でも、ヴォルフ様だけは、私の苦しみに気付いてくれた。うれしかった。気付かれてはいけないと、必死で何でもないフリをして隠したけれど、気付いてくれたことがうれしくてたまらなかった。
 でも、隠しきったつもりだった。だって言わずにいれば、みんなが祝福してくれるから。言えば、誰も何も変えられないのにみんなに心配をかけさせるだけになる。黙って笑っていれば私の為に誰かが心を痛めることはない。むしろ私のために喜んでくれるだろう。だから、誰にも言うつもりがなかった。どうしようもないことで、他の誰かが苦しむことはない。例えそれが、唯一人、私の苦しさに気付いてくれたヴォルフ様であろうと。気付いてくれただけで十分だと思ったから。
 だから三百年祭の舞の奉納の後、私は姫巫女としてお披露目をされる事を受け入れたのだ。

 でも、ヴォルフ様は、私の強がりを見抜いてくれていて、私の為にお父さんから真実を聞き出して、お披露目直前に助けに来てくれた。

「来い」
 そう言って手を伸ばしてくれた。
「姫巫女を護るのは、剣士の役目だろう?」
 舞の役柄をなぞって、ヴォルフ様は、私を護るための剣士だと、だから助けるのが当たり前だと、躊躇うことなく言ってくれた。

 それがどれだけ大変なことかを、私よりずっとずっと知っている人なのに。神殿に逆らうことがどんなに危険なことかを、きっとずっと分かっているのに。私が姫巫女の娘だということも、巫女の力が弱まってきて権威が傾きかけている神殿がどれだけ私を欲しているのかも知って、それでも護ると、助けると言ってくれたのだ。
 私に負担をかけないように、いつものように笑って、からかうように言ったのだ。俺の役目を奪うな、と。君は俺の姫巫女だろう、と。

 けれど私はその手を取らなかった。彼に罪を背負わせるわけにはいかないから。彼の進むべき未来を閉ざせるはずがないから。唯一人私の苦しみに気付いてくれた人を、私なりに護りたかったから。もう十分なほどに、大切な物をもらったから。
 だから私は、その日、姫巫女となることをグレンタール中のみんなの前で宣言した。

 それが、昨日のこと。


 神殿に上がる道すがら、私を見送るグレンタールのみんなの中から、ヴォルフ様は私の名前を呼んでくれた。私の苦しみを知ってくれているから。私はその手を振り払ったのに、それでも彼は手を伸ばしてくれている。私の名前を呼んでくれた。
 私は神殿に向かい、まっすぐにその先に目を向け、それでも心は、「来い」と手を差し伸べてくれた彼の姿を描きだす。

 私は、姫巫女になる。そして、ヴォルフ様を支えられるようになる。それが、ヴォルフ様への恩返し。





 神殿に上がってから、すぐに修行が始まった。
 姫巫女になると言っても、実際の所、力は全く使えないのが実情なのだ。潜在能力は認められていても、全く使い物にならない姫巫女、それが私だった。

 最初は私を大切にしてくれていた神殿の巫女達も、神官達も、次第に力を出せない私に落胆するようになった。そして半年が過ぎた頃には、その落胆ぶりや、時には嘲笑さえも隠すことなくぶつけられるようになっていた。
 おかしな物だと思う。私は最初から言っていたのに。出来ないと。力なんて使えないと。使い方も分からないと。
 それでも私も頑張っていたのだ。だって、ヴォルフ様の力になれる姫巫女になりたかったから。力を使えるようになろうと、この力を疎みながらも、それでも真剣に修行には取り組んでいた。けれど滑稽なほどに、私はその力の使い方を会得することが出来なかった。
 何のために神殿に上がったのだろうと絶望した。頑張りたかったのに。頑張ったのに。何のために私は。
 けれど私は堪えた。ヴォルフ様を思い出したら堪えられた。あの時、手を差し伸べてくれたその姿を思い出した。そしたら、もう少し堪えられる気がした。彼を必死に想いだして、私は堪えた。


 けれど、そんなささやかな希望さえも打ち砕くような話が持ち上がった。

「私が、皇太子殿下の……?」

 皇太子殿下の妾妃として後宮に上がるようにという話に、私はささやかな希望さえも打ち砕かれるのを感じた。
 このまま、グレンタールにとどまることさえ出来ないということだった。
 ただ姫巫女というだけで、私は神殿の力を保つための駒として使われるのだ。力を出せない姫巫女など役に立たないと、いつ力が発揮できるかさえ分からない姫巫女など、王家に嫁がせて、神殿との関係を強化させ、そしてその力を受け継ぐ子供をもうけさせろと、そういうことなのだ。

 私は神殿にとって、物でしかないのだ。

 ぎりぎりのところで堪えていた私は、そこでぷつりと心が折れてしまった。
 神殿で頑張る意味さえ見失った。こんなところで、一生生きていけるのかと。神殿から、更に束縛される後宮に場所を移し、私は子供だけを望まれる、神殿の駒となってまで、何を生きる価値があるのかと。

 私は絶望したのだ。
 折れた心の片隅で、わずかに残る理性が叫んだ。ここにこのまま居たらいけない、と。
 このままここにいたら私はダメになる。それは確信だった。皇太子妃など、出来るはずがないのだ。姫巫女としてでさえ、まともにこなせない自分が、そのような地位を得てやっていけるはずがない。今まで以上の辛い風当たりにもなるだろう。
 望む物が何もないその場所を受け入れる理由などなかった。

 逃げよう。

 とっさにそう思った。
 絶望に囚われた私は、その思いをきっかけに、目が醒めたように心が軽くなるのを感じた。絶望が、希望に取って代わる。

 そうだ、このままこの苦痛に流されてまで自分を追い詰める必要などない。
 あの日、ヴォルフ様が手を伸ばしてくれたのを思い出す。逃げて良いのだと、彼はあらゆる覚悟を持って示してくれていた。受け入れるばかりが道ではないと、その態度でもって教えてくれた。

 私の胸に、希望があふれる。

 逃げよう。

 そう思うと、心が凪いだ。絶望は心の奥底でなりを潜め、期待を胸に、自分のなすべき事が見えてきた。
 うまくいくかどうかなんて分からない。でも、何もしないよりはきっとまし。諦めて絶望に浸るより、あがいて道を探る方がずっと良い。
 私は、神殿を出る計画を立てた。
 どうやって抜け出すか、いつが良いのか。なかなか定まらなかった計画は、エドヴァルドからやってきた先読みの姫巫女の存在によって動き出した。
 抜け出すのは、先読みの姫巫女がグレンタールを立つ日。彼女がいる間厳しくなる警備が、緊張状態から通常の物に変わるそのときの人の気のゆるみをつこうと考えたのだ。
 産みの母親とのわずかな逢瀬を果たし、私は、彼女が神殿を出立したその夜、部屋を抜け出した。






 最初は順調に抜け出せるかのように思えた。
 けれど、部屋を抜け出し、外壁を抜けようとしたときだった。

 「誰かいるぞ!」

 男の人の声が響いた。

 見つかった……!

 私はそのまま外壁を越えると駆け出した。
 気をつけていたのに、ようやく出られる安心感か、周りの確認が甘くなっていたのだろう。けれど悔やんでも仕方がない。
 必死で走る私の耳に、神殿うしろから、追っ手のかかる声が届く。私は少しでも見つかりにくくなるよう、森の中へと足を踏み入れた。
 道なき道を必死で駆け抜けた。擦れる草木の音や時折肌をかすめるぴりとした痛みがおそってきたけれど、気にせずに走った。けれど兵士達は確実にその距離を詰めてくる。
 神殿側から聞こえるその声に、「姫巫女」や「逃げた」という言葉が途切れ途切れに聞こえ、もう私が逃げ出したことが把握されていることを知る。

「いたぞ!!」

 声がして思わず振り返ると、思った以上に近くに追っ手がいた。

 いや……!!

 胸が潰れるような恐怖で、半ば半狂乱になって走った。でも追ってくるその音は次第に大きくなり、兵士の息づかいまでもが聞こえるほど迫っていた。

「姫巫女様……!」

 捕まる……!!

 恐怖に心臓が止まるかのように思えた。胸の痛みに、このまま死んでしまうのではないかと。
 ヴォルフ様。
 脳裏に浮かんだのは、ずっと心の支えにしてきた、あこがれの剣士だった。
 あの時、あなたの手を取っていればよかった……!!
 涙があふれそうになる。
 こんなところで捕まりたくない、もう、あそこには戻りたくない……!!

「……やっ、いやぁ……!!」

 今にも私の手をつかもうとする兵士の姿に、耐えきれずに悲鳴がこぼれた。

 ヴォルフ様!

 無意識に彼を求めた。
 その瞬間、突然視界がゆがんだ。
 私を捕まえようと迫る兵士の姿がぶれている。

 なに?

 ゆっくりと、ゆっくりと時間が過ぎていくような、そんな不思議な感覚。
「姫巫女様」と呼ぶ兵士の声も、どこか遠い。
 ゆっくり、ゆっくりと時間が過ぎる。

 これは、なに?

 理解できないその感覚の直後、まるで意識が途切れるように、世界が突然変わった。








*******

この続きは、
「32 逃避2」
に、つながります。
が、逃避2の冒頭は、ちょっと意味が分かりにくいと思うので軽く飛ばして、リィナ視点になっている途中から読み始めると、つながりやすいと思います。

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