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23 濡れ衣ですわ!?
しおりを挟むボリスラーフ…兄様?
その場の全員がぽかんとボリスラーフを見つめ…ぐぬぅ。睫毛で影ができた瞳が憂いを帯びていて、今日も相変わらず色気駄々漏れイケメンですわ!!……って、そうではなくて!
「あなた、ルスラン様とどういう関係ですの?」
「はい。この……」
わたくしの疑問に対し、ボリスラーフが口を開き、答え………るよりも早く、
「おい!ボリスラーフ兄様になんて口きいてんだ!」
「ひっ!?」
ルスラン様の怒鳴り声が響いて吃驚しましたわ!!
んもうっ!今、ボリスラーフが喋ろうとしていたでしょう!?本当に人の話を聞かない方ね!
「はぁ……。確かに。我が真の名はボリスラーフ・ゼレグラント。だが今は…」
「やはり!やはりボリスラーフ兄様だったのですね!あぁ、まさかこんな所にいただなんて!何年振りでしょう!?どれだけ会いたかったことか…!」
………やっぱり話を聞かないのですわね。ほら。ボリスラーフが遠い目をしていますわ。彼のこんな顔、初めて見ましたわ!厨二病発言をして周りにこんな顔をさせているところはよく見ますけれど!
ボリスラーフの反応を見るに、恐らくルスラン様の話を聞かない性格は昔からですわね?苦労しましたのね…。
はっ!もしや厨二病な発言になってしまったのもルスラン様のこの性格と関係があるのかしら?
………でも。ルスラン様の顔は嬉しさで泣きそうに歪められていて…本当に心からボリスラーフを心配していたことが伺えますわ。
ルスラン様は第二王子。ボリスラーフがいなくなれば自分が一番王位に近づくというのに……。
話を聞かない癖のある性格ではございますが、その無償の兄弟愛には胸を打たれましたわ!
「おい!貴様ら!」
「ふぁいっ!?」
ルスラン様がもの凄い形相で睨んできましたわ!?
えぇ、それはもう、背後に炎が見えるほどに!!
美しい兄弟愛への感動も一瞬にして吹っ飛びましたわ!?
えぇ、それはもう、星の彼方に、ヒューンッと!
「分かったぞ!!ボリスラーフ兄様を誘拐し、捕らえていたのはアルエスク王国だったのだな!?」
「…………は?誘拐?誘拐………………?えぇっ!?」
「兄様を捕えてゼレグラントを貶めようとしたのだろう!?なんと愚かなことか!」
ちょいちょいちょい!?どうしてそうなりますの!?
見て!?見て見て見て!?
ボリスラーフは自分の足で、自分の意思であなたの前まで歩いて来ましたでしょう!?捕らえられもせず、普通に、ふっつーに!歩いて来ましたでしょう!?
いえ、確かに城からここまで来たのは箱の中ではありましたが?で、でもそれだって自分の意思ですわ!、、、自分の意思ですわよ、ね………?ヤーナに脅されてませんわよね!?ねっ!?
と………と、も、か、く!
アルエスクはボリスラーフを誘拐していなければ捕えてもいないですし、そもそも彼が王子だったなんて存じ上げませんでしたわ!
ゼレグラントの第一王子といえば、『幻の王子』として有名ですわ。
老若男女問わず人々を魅了してやまないその見た目や仕草から、言い寄る者が後を絶たなかったが、誰ひとり懇意にはしなかった難攻不落の王子。
でもそれ以前に、滅多に人前には現れず、現れたとしても人と口をきくことすらほとんど無かったという、ゼレグラントの幻の王子。
数年前に病気で床に伏せって表舞台には一切出なくなり、代わりに第二王子がその役を担っていると聞いていましたが…まさかこんな近くに幻の人がいただなんて。驚きですわ。
……………はっ!もしかして昔、ほとんど喋らなかったのは、厨二病がバレるからだったのかしら!?
幻の王子。アルエスク王家も誰も会ったことが無かったから…このような事態になってしまいましたのね。
でもなぜボリスラーフはアルエスクにいるのかしら?しかもシェフとして。
「数年前、忽然とボリスラーフ兄様は城から忽然と消えたのだ!お前たちの手によって!」
あ。思考の海に沈んでしまって、彼のことをすっかり忘れてましたわ。
「ボリスラーフ。なぜ消えたのか説明し………」
「それも不可解な手紙を無理矢理書かせて!」
………………え、本人の手紙がありましたの?
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