処刑回避のため、頂点を目指しますわ!

まなま

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14 こんなビックリ箱いりませんわ!

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「レーナ?王国騎士団に女性騎士はいないんだよ」
「?そうですわね。存じておりますわ」
「さっきレーナは特別扱いはしなくていいって言ってたよね?」
「えぇ!その通りですわ!わたくしお世話になっている身ですもの。騎士団の下っ端のように扱っていただきたいのですわ!」
「じゃあ仕方がない。今夜は寝よう?」

…………………………………?

キラキラしい笑顔から発せられた謎発言。
え、どういう意味ですの?
わたくしが首を傾げると、オレグ様もニコニコのまま同じ方向に首を傾向げて…あら、可愛い。
…………ではなくて。

「ごめんなさい、オレグ様。おっしゃっている意味が…ひっ!?」
「レーナ?呼び方」
「………オーリャ。おっしゃっている意味が分かりませんわ」

一瞬恐ろしいオーラを発していた婚約者様ですが、愛称で呼ぶとそのオーラは霧散し、さっきまでが嘘のように満足そうな笑顔に…。
変わり身が早すぎますわ!?

「だってそうだろう?みんな数人でテントを使ってるんだ。君だけ王族だからとひとりでテントを使うのは特別扱いじゃないか?」
「た、確かに……!」

自分がどのようにテントを使うかなど全く考えておりませんでしたわ!
でももしもオレグ様のおっしゃる通り、わたくしだけひとりでテントを使う方向なのならば…確かに回避しなければなりませんわね!
ドンと来い、雑魚寝!ですわ!!

「でも君は女の子だし、お姫様だ。複数の男性と一緒に寝させる訳にはいかないだろう?なら、婚約者の僕が一緒に寝るのが一番いいと思うんだ」
「そう…なのかしら?うーん、確かにそうなのかもしれませんわね………?では、オーリャ。どうぞよろしくお願い…」

ドッガーーーーーンッッッ!!!

「ちょぉぉっと待ったぁぁあーーーーーー!!!」
「「ギヤーーーーーーーーー!!!!」」

馬車の荷台にあった木箱の蓋が突然飛び上がり、中から……人ーーーっっ!?!?

「……って、ヤーナ!!?」
「ガルロノフ様、何をおっしゃってるんですか!?婚前の姫様に婚約者であろうがなかろうが、殿方と一緒に寝させることなんて言語道断!!これはではなく、男女のです!!」

なんと木箱からビックリ箱が如く登場したのは、わたくしの侍女、ヤーナでしたわ!

「な…なぜここに!?というか、なぜ木箱に!!?」
「姫様のいるところに私あり。当然です!!ふっふっふ。ガルロノフ様の好きにはさせません!」
「チッ」

な、なんと!?あの品行方正なオレグ様が舌打ち!?

「でもヤーナ?なぜこんな木箱の中に…。居心地も良くなかったのではなくて?それにあなたには討伐期間中、暇を与えたはずですわよ?」
「えぇ、分かっております。だからバレたら帰されると思って隠れていました」
「なぜそこまでして…」
「だって姫様が心配で心配で…!おちおち休暇を楽しむこともできなさそうだったので付いてきました!」

……専属侍女が過保護過ぎますわ。
ヤーナは木箱から出て地面に降りると、スタスタとオレグ様の目の前に立って…って、目がどこか挑戦的に見えるのは気のせいかしら?

「ガルロノフ様?そういうことですので、姫様は私と同じテントで寝ます。ガルロノフ様はそこらへんの騎士と雑魚寝してください。………夜中、襲われないようにお気を付けくださいね」
「………なっ!?」
「襲われ……!?」

襲われる!?それって…寝ているところを襲撃されるということ!!?

「ヤーナ!?なんてことを言うの?この騎士団にそんな人はいないわ!」
「え、いるんじゃないですか?オレグ様お綺麗ですし」
「おい!」
「夜中に襲うだなんて…。皆様こそこそとそんなことするくらいなら堂々とそうしたい理由を本人にビシッと言ってくださる方々ばかりよ!」
「堂々と襲いたいと言う…てことですか?」
「ぐふっ!」
「そうよ!襲いたいぐらい(お前が気に食わないの)だと正直に伝えて、そして語り合って分かり合うのよ!」
「襲いたいぐらい(お前に欲情しているの)だと面と向かって言って、分かり合って襲われる…」
「ぐはっ!?」
「いえ、だから分かり合うから襲われないはずですわ」
「なるほど。話し合うと、結果、ガルロノフ様は襲われるのではなく襲う方…つまりは攻めになるはずだ…と?」
「攻め………?ヤーナ、あなたとの会話が噛み合っていない気がしてきましたわ。意味が分かりませんわ」
「…………………」

そしてオレグ様は何に打ちのめされておられますの?
わたくしこの世界では生粋の箱入り娘ですので世間知らずは否めませんわ。
今の会話について、後でヤーナに詳しく聞くことにしましょう。

………ガゴッ!

「ひっ!?今度はなんですの!?」

ヤーナが入っていた木箱の隣にある、これまた大きな木箱が急に揺れ、驚きましたわ!

「…………おい。この箱には何が…いや、入ってるんだ?」
「あら、忘れてました」

ヤーナが木箱を開けると…開ける………と……………?
誰も何も出てきませんわ?

「……誰も入っていませんの?」
「いえ、入ってますよ。ほら、ちょっと…大丈夫?」
「………………問題、、、ない」

いえ、問題ありありな返答ですわ!だいぶ具合悪そうですけれど大丈夫ですの!?

「大地の怒り(大きな揺れ)に翻弄されただけだ…」

……つまりは酔ったのね?
と、いうかこの厨二病っぷりは…もしかして!?

「ボリスラーフ!?」
「…………姫君」

やっと木箱から顔を出したボリスラーフはとても顔色が悪く、見るからに具合が悪そうですわ…。
いつもはキラキラとした瞳に長い睫毛が影を作ってどこか艶かしさを醸し出しているのに、今は哀愁が漂い、憂いを帯びた瞳がどこか艶かしく…あら、どちらにせよ色気ダダ漏れには違いありませんでしたわ。
この歩くフェロモンめ!ですわ!

「大丈夫ですの?」
「だいじょぶ、です……………」

具合が悪すぎて厨二病も鳴りを潜めていますわ!?
ボリスラーフはなんとかかんとか箱から這い出してきましたが…なんだかフラフラしてますわね。心配ですわ。

「姫君。悪魔の巣窟との境まで遠路遥々お疲れ様で、ございました……」

厨二病っぽいけど言ってる内容は事実。
もう、厨二病も言えないくらい弱ってるのですわね…?

「ガルロノフ様も、、、ガル……ガル…………ロロロロロロロ」
「ギャーーーーーーーーーー!!!!」

ボ…ボリスラーフ!!!
オレグ様にキラキラを吐き出すだなんて………なんてこと!?

「オレ…オーリャ!うちの料理長が大変申し訳ございませんわ!!」
「い……いや…………問題ない、よ…………」
「問題大ありですわ!!すぐにお召しかえを!」
「かしこまりました」

ヤーナ、お願いしますわ!

「ボリスラーフ。あなたはこちらで休んでくださいませ」
「すみません……………」

んもう!こんなビックリ箱はいりませんわ!!

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