処刑回避のため、頂点を目指しますわ!

まなま

文字の大きさ
上 下
13 / 48

10 尋問のお時間なのですわ!?

しおりを挟む
「ふぅん……つまりは我儘が過ぎたから、って僕に気を遣ってくれたってこと?」

「えぇと、まぁ、はい…」


最近お手紙の頻度が減ったのも、お茶会を無くしたのも、それらをオレグ様に強要したせいでわたくしの評判が現在相当悪くなっており、それによってオレグ様にご迷惑がかかってしまうのは申し訳ないという理由で距離を置かせていただいている……と、いうような説明をさせていたたきましたわ。

まさか「将来オレグ様は聖女様と恋仲になり、嫉妬に狂ったわたくしは処刑される予定だからですわ!」とは言えませんものね…。

………あら?思えばこれはチャンスなのでは?この流れならいけるのでは??今こそ提案を……!

わたくしは隣にいるオレグ様に体ごと向き合い、真っ直ぐに見つめます。

………………あらやだ、イケメン。じゃなかった。しっかりなさい!わたくし!


「オレグ様。わたくし、このように皆様からの評判が芳しくありませんし、見た目もこんなんですから…ガルロノフ公爵家に……いいえ、オレグ様に相応しくありませんわ。オレグ様のお名前に傷がつかないよう、責は全てわたくしが負いますので、この機会に婚約破棄をお考えになった方が………」

「婚約、破棄………………………?」

「ひょわっ!?」


なななななな!?

オレグ様からただならぬ冷気が!?オレグ様は氷ではなく、水魔法の使い手ではございませんでした!?
若干俯いていてお顔が見えませんが、こ、こ、怖い………!なんだか黒いオーラの幻覚が見えますわ!?
なぜオレグ様が魔王のようになっているのかは分かりませんが、とてつもなくマズい状態なのだけは分かりますわ。

王家の広い馬車とはいえ、安全を確保するための距離をとるには狭い密室。
無駄な足掻きとは分かっておりますが、出来るだけオレグ様から距離をとらせていただきますわ!


「ねぇ…僕から逃げるの?」

「ひぃぃぃぃいいい!!?ままままさかそんな!そんなわけございませんわおほほほほほほ!!」


笑顔で腕を掴まれましたわ!!?でも目が!!目が笑ってませんわ!?


こぉーーーーわぁーーーーいぃぃぃぃいぃいぃ!!!


何がオレグ様の逆鱗に触れましたの!?普段穏やかなオレグ様が怒るなんて…相当ですわ!?
やはりプライド!?プライドですの!?
こんなデブスに振られるなんて的な!?
ごめんなさいごめんなさいもうしませんからぁぁぁ!!どうぞオレグ様から振ってくださいませぇぇぇ!!!


「余裕のある大人のフリをしてもっと好きになってもらって追いかけてもらおうと思ってたけど…逃げるんじゃしょうがないよね?逃げたら追いかけなきゃいけないよね?だって僕のだし?逃さないし?誰にも渡さないし?」

「オオオオオレ、オレ、オレグ様!?」


吃り過ぎてオレオレ詐欺状態ですわ!?分かっておりますわ意味分かんないですわよねオホホホホ!!もう、パニックですわ!!!

そしてオレグ様が何やらブツブツとおっしゃっていますが小さ過ぎて聞こえませんわ!?
何…?何なんですの…?
わたくしこれからどうなってしまうんですの!?


「ふゎっ!?」


わたくしがビクビクとしながらオレグ様の次の動きを見守っていると、掴まれていた腕をグイッと引き寄せられ…必然的にオレグ様に抱きつくような形になってしまいましたわ!

ですがわたくし華奢な体ではございませんのでドォーン!とぶつかり稽古状態でしたがさすがオレグ様!受けとめてくださいましたわ!

いや、そんなことより!!どどど、どうしましょう!?お顔が!麗しいご尊顔が!近い近い近い近い!!


「婚約破棄はしないよ?」

「へ?」

「だから、婚約破棄は、し・な・い」


子供に言い聞かせるように、言葉を区切ってご説明くださいましたわありがとうございます!でもわたくしはワンモアプリーズしたわけではございませんわ!?なぜ婚約破棄しないのかが分からないのですわ!


「でもでも…オレグ様もお嫌でしょう?わたくしが婚約者なのは」

「どうして?」

「だ、だって………」


だって……

わたくし、デブでブスでしょう?

わたくし、面倒な女でしょう?

わたくしのこと、好きじゃないでしょう……?


狡くて弱虫なわたくしは答えを聞きたくなくて何も口にすることができず、ただ俯くしかなくて…ただ、いたずらに時間が過ぎて。
暫くして頭上で溜息が聞こえて、ビクリと体が強張ってしまいましたわ。


オレグ様に、呆れられてしまいましたわ………。


恐る恐る顔を上げると…そこには悲しそうなお顔が。
そんなお顔をさせたいわけではございませんのに…。


「ねぇ、レーナ。誰か他に気になる人でもできた?」

「っ!?まさか!そんなはずございませんわ!」

「じゃあ、僕のこと…嫌いになった?」

「いいえ、いいえ!そんなんではございませんのよ。ただ…」

「良かった!」


ぱあっと明るい笑顔になるオレグ様。…あれ?


「じゃあ婚約破棄はしないでいいね?」

「………ほぇっ!?」

「良かった~。もうあんな冗談はやめてね?」

「いえ、あの、冗談ではなく…」

「冗談は、や・め・て……………ね?」

「………………………………ハイ」

「うん、いい子」


蕩けるような笑顔でわたくしの頭を撫でるオレグ様。

………なぜこうなりましたの!?


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。

アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。 いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。 だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・ 「いつわたしが婚約破棄すると言った?」 私に飽きたんじゃなかったんですか!? …………………………… たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。 側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。 それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

処理中です...