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第5部 新世界

第103話 街散歩

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 そう言えば街を見てこようかしら?
 300年の月日は長く景色も変わったと思うから。

 街を歩くと窓はガラスがふんだんに使われていた。
 麻ではなく綿の服を着ている人が多い。
 身だしなみも綺麗で、汚れた服を着ている人は少ないわ。
 生活が豊かになったと言うことかしら。

 市場に行ってみようかな。
 たくさんの人で賑わっているわね。

「さあ、食べて行っておくれ。美味しいトロール肉のスープだよ」
 おばさんの声に振り向いた。
「では一杯下さい」
「あいよ!!」
 食べてみると味はまあ、まあだった。
 何からダシを取っているのかな?

 よく見ると鍋は薪ではなくコンロで温めている。
「どうしたんだい?ああ、これかい。安くなってきたから思い切って魔道コンロを買ったのさ」
「お幾らくらいだったのですか?」
「おや、興味があるのかい。五万円くらいだったかね」
 そんなに安くなったのね。

 トロールスープを食べ終わり私はその場を後にする。

 屋台通りを歩いて串焼きを食べている時だった。
 薄汚れた服を着た男の子達が三人、こちらを見て立ちすくんでいる。
「あの子供達はなんですか?」
 私は屋台のおじさんに聞いてみた。
「おれは孤児院の子達だよ。孤児院は寄付で運営しているから、食事は出るだろうけどお腹いっぱいには食べれないのだろうな」
 そうなんだ。
「だからああやって食べ物を焼いているのを、見ていられるのも困るのだが」
 私は話を聞くと子供達のところに向った。

「な、なんだよ!俺達は何もしてないぞ」
 子供達は5歳、8歳、10歳くらいで、一番年長の男の子が他の子を守るように私の前に出てきた。
 偉いわ!

「そうではないの、あなた達は孤児院の子?お腹が空いているのかな?」
「そ、そんなことはないぞ。お腹なんて…グルゥ~」
 あぁ、やっぱり空いているのね。

「お腹が空いているなら私が美味しいシチューを作ってあげるわ」
「えっ、お姉ちゃんが作ってくれるの?」
「そうよ。孤児院に行きましょう。みんなの分も作れるから」
「わ~い、やった~」
 5歳くらいの男の子が喜んでいる。

「俺は騙されないぞ。何が目的なんだ?」
 10歳くらいの男の子が聞いてくる。
「特にそんなのは無いわよ。それとも美味しいものをたべるのは嫌なのかな~」
「そ、そんなことはないさ」
「孤児院にいけば園長さんもいるのでしょう。私が怪しい人なのかわかるはずよ」
「わ、わかったよ。孤児院はこっちだよ」

 そう言えばまだ名前を聞いていなかったわ。

 男の子3人だから仮でトン吉、チン平、カン太でいいかしら?

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