85 / 110
第3部 日常
第85話 未来予想図
しおりを挟む
イグナシオ領の城門が見えて来た。
『じゃあ、俺達は行くぜ。街に近付いて騒がれるのも嫌だしな』
「本当にありがとう、元気でねみんな」
『おう、パオラもな』
「さあ、みなさん。降りてください」
私が言うと兵士達は背中から降りた。
「ここまでありがとうな」
「助かったよ、元気でな」
「また会おう」
兵士はそれぞれ、お礼と別れの言葉をシルバーウルフ達に伝える。
『ワォ~~~ン!!』
そう言い残し四匹は森に消えて行った。
その後ろ姿をパオラはいつまでも見送り手を振り続けた…。
「おい、誰か担架を持ってこい」
「どうかされましたか、侯爵様」
お父様が門番と話している。
「来る途中でトロールに襲われたのだ」
「それは?!そのトロールはどうされましたか?討伐の手配を押しないと」
「大丈夫だ。それには及ばない」
「と、言いますと?」
「そのトロール四体はすでに倒した」
「おぉ、さすが侯爵様の兵士達です」
街の近くにトロール四体が現れ侯爵家の兵士に、倒されたと言う噂は瞬く間に街に広がった。
付き添っていた兵士十人は倒した功績で昇格した。
まさかシルバーウルフが倒したとは言えず、侯爵は兵士が倒したことにした。
表彰された兵士十人は、事情を知っているだけに苦笑いをするしかなかった。
そのシルバーウルフに乗せてもらい、街の近くまで来たなんて誰にも言うことは出来ない。
まして娘がシルバーウルフ達と仲良くなり、会話をしているように見えたなんて。
一時は気がふれたのかと思った娘だがあれ以来、様子におかしなところは無い。
気のせいだったのだろうか。
娘の話ではシルバーウルフ達は、大型の魔物を狩りながら移住していると言う。
その話が本当なら彼らが居れば、魔物は駆逐されていくことになる。
獲物が居なくなれば、他の地域に移り住む。
なんと都合のいい話だ。
彼らが居れば魔物を退治してくれるのだ。
その中にメスの魔物がおり、この冬に子供が生まれると言う。
子育てをするのならしばらくは、我が領にとどまってくれるだろう。
彼等は調教師に使役されており、しかも名前持ちだった。
上位種ならなおさら強いはずだ。
それが四匹もいるとは…。
彼らが居る間、我が領は彼等に守られているのと同じではないか。
しかし生まれた子供が人間に協力的とは限らない。
脅威にならないと良いが…。
だがどちらにしろ我々には、トロール四体を倒せる魔物に対抗できる手段は無い。
その時は娘に頼むか…。
『じゃあ、俺達は行くぜ。街に近付いて騒がれるのも嫌だしな』
「本当にありがとう、元気でねみんな」
『おう、パオラもな』
「さあ、みなさん。降りてください」
私が言うと兵士達は背中から降りた。
「ここまでありがとうな」
「助かったよ、元気でな」
「また会おう」
兵士はそれぞれ、お礼と別れの言葉をシルバーウルフ達に伝える。
『ワォ~~~ン!!』
そう言い残し四匹は森に消えて行った。
その後ろ姿をパオラはいつまでも見送り手を振り続けた…。
「おい、誰か担架を持ってこい」
「どうかされましたか、侯爵様」
お父様が門番と話している。
「来る途中でトロールに襲われたのだ」
「それは?!そのトロールはどうされましたか?討伐の手配を押しないと」
「大丈夫だ。それには及ばない」
「と、言いますと?」
「そのトロール四体はすでに倒した」
「おぉ、さすが侯爵様の兵士達です」
街の近くにトロール四体が現れ侯爵家の兵士に、倒されたと言う噂は瞬く間に街に広がった。
付き添っていた兵士十人は倒した功績で昇格した。
まさかシルバーウルフが倒したとは言えず、侯爵は兵士が倒したことにした。
表彰された兵士十人は、事情を知っているだけに苦笑いをするしかなかった。
そのシルバーウルフに乗せてもらい、街の近くまで来たなんて誰にも言うことは出来ない。
まして娘がシルバーウルフ達と仲良くなり、会話をしているように見えたなんて。
一時は気がふれたのかと思った娘だがあれ以来、様子におかしなところは無い。
気のせいだったのだろうか。
娘の話ではシルバーウルフ達は、大型の魔物を狩りながら移住していると言う。
その話が本当なら彼らが居れば、魔物は駆逐されていくことになる。
獲物が居なくなれば、他の地域に移り住む。
なんと都合のいい話だ。
彼らが居れば魔物を退治してくれるのだ。
その中にメスの魔物がおり、この冬に子供が生まれると言う。
子育てをするのならしばらくは、我が領にとどまってくれるだろう。
彼等は調教師に使役されており、しかも名前持ちだった。
上位種ならなおさら強いはずだ。
それが四匹もいるとは…。
彼らが居る間、我が領は彼等に守られているのと同じではないか。
しかし生まれた子供が人間に協力的とは限らない。
脅威にならないと良いが…。
だがどちらにしろ我々には、トロール四体を倒せる魔物に対抗できる手段は無い。
その時は娘に頼むか…。
25
お気に入りに追加
275
あなたにおすすめの小説
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
導きの暗黒魔導師
根上真気
ファンタジー
【地道に3サイト計70000PV達成!】ブラック企業勤めに疲れ果て退職し、起業したはいいものの失敗。公園で一人絶望する主人公、須夜埼行路(スヤザキユキミチ)。そんな彼の前に謎の女が現れ「承諾」を求める。うっかりその言葉を口走った須夜崎は、突如謎の光に包まれ異世界に転移されてしまう。そして異世界で暗黒魔導師となった須夜埼行路。一体なぜ異世界に飛ばされたのか?元の世界には戻れるのか?暗黒魔導師とは?勇者とは?魔王とは?さらに世界を取り巻く底知れぬ陰謀......果たして彼を待つ運命や如何に!?壮大な異世界ファンタジーが今ここに幕を開ける!
本作品は、別世界を舞台にした、魔法や勇者や魔物が出てくる、長編異世界ファンタジーです。
是非とも、気長にお付き合いくだされば幸いです。
そして、読んでくださった方が少しでも楽しんでいただけたなら、作者として幸甚の極みです。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
死にたくない、若返りたい、人生やり直したい、還暦親父の異世界チート無双冒険譚
克全
ファンタジー
田中実は60歳を前にして少し心を病んでいた。父親と祖母を60歳で亡くした田中実は、自分も60歳で死ぬのだと思ってしまった。死にたくない、死ぬのが怖い、永遠に生きたいと思った田中実は、異世界行く方法を真剣に探した。過去に神隠しが起ったと言われている場所を巡り続け、ついに異世界に行ける場所を探し当てた。異世界に行って不老不死になる方法があるかと聞いたら、あると言われたが、莫大なお金が必要だとも言われた。田中実は異世界と現世を行き来して金儲けをしようとした。ところが、金儲け以前に現世の神の力が異世界で使える事が分かり、異世界でとんでもない力を発揮するのだった。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる