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第2部 王都ファグネリア

第79話 新しい家族

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 数日前から販売のやり方を変えてみた。
 それはカリカリフードを持ち帰り販売できるようにしたことね。
 ペースト状のソースは一本が三回分で出しているので、カリカリを三食分買えばペースト状も販売できることを告知した。
 すると思っていた以上に反響があり、まとめ買いする人が多くなったわ。

 お客さんは店に来る手間が無くなり、お店はお客の対応人数が少なくて済む。
 これで店の周りに列ができて他の家に迷惑をかけなくていいわ。
 まさに一石二鳥ね!



 そんなある日のこと。
 王都から離れ遠征をしていると、どこからか鳴き声が聞こえた。
「シルバー、行くわよ!!」
『へい、あねさん!!』
 私はシルバーに跨り、森の中を進む。
 鳴き声に近付いてみると、1m以上はある魔物が横たわっていた。
 そして子供だろうか。
 両手で抱えられそうな大きさの、真っ白な魔物が泣きついていた。

「シルバー、この子は?」
『ホワイトキャットですね』
「魔物なの?」
『いいえ、魔獣です』
「魔獣?魔物と魔獣の違いって…」
『そうですね。タイガーウッズと東野幸治くらいの違いですかね』
 な、なにを言っているのシルバー?

 シルバーがポンコツなので、仕方なく『ヘルプ』機能を使い調べることにした。
【魔物と魔獣の違いについて】・・検索開始・・… … 完了!
 魔獣は人知を超えた能力を持った獣。
 魔物とは魔性をもつもの。
 で?違いは?
 ゲッフン、ゲッフン、
『ヘルプ』機能の検索はそこで終わった。
 こいつもポンコツだわ。


「これは、どう言うことかしら?」
『きっと魔物に襲われ他の子供達はやられてしまい、母親も重傷を負いこの子だけが生き残ったと言うことでしょう』
 可哀そうに…。


『ミユー、ミユー、』
「ほら、お前のお母さんはもう亡くなっているのよ。泣かないで」
 そう言うと私はホワイトキャットの子供を抱き上げた。
 モフモフの毛が可愛い、全長30cmもない真っ白な小さな子猫だ。

「いつまでも泣いていないで、埋葬してあげないとね。シルバーお願い」
 シルバーは前足で地面を掘り出した。
 魔物を埋めることが出来るくらい穴を掘り埋葬する。
 手頃な石を立て墓石にした。

「さあ、おかあさんにお別れをして。あなたはこれからどうしたいの?」
 私が問いかけるとホワイトキャットの子供は首を傾げた。
「一人で生きていけそう?もしよかったら私達と一緒に来ない?」

『ミャ~オ、ミャ~オ、』
 まだ小さいから言葉がはっきりわからないわ。
「そう、私達と一緒に来るのね。大丈夫よ、シルバーお兄ちゃんと、スズカお姉ちゃんが居るからね」
『ミユー、ミユーン、』
「あぁ、そうだ。あなたにも名前を付けないとね。なにがいいかしら?」
『ミャ~ン』
「そうだわ。タンポポように白い毛並みだから『ポポン』はどうかしら?」
『ウギャ~~~~!!』
「そう、そんなに嬉しいの。これからよろしくねポポン」
 名づけをされたポポンの体は白く輝き、一回り体が大きくなった気がした。

「さあ、行きましょうか」
『ミャ~ン、ミユーン、ウギャ~~~~!!』
 さっきからポポンはどうしたのかしら?
 人が住む街に行くのが初めてだから興奮しているのかな?
 こうして家族が一匹増えたスズカだった。

 ポポンがもう少し大人だったら、こう聞こえていただろう。
ミャ~ンそんなミユーン変な名前はウギャ~~~~嫌だ~!!』


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