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第2部 王都ファグネリア

第70話 雇い入れ

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 朝がやって来た。
 今日からアントンさん達が、働きにやってくる約束になっている。
 しかしこの世界は不便ね。
 時計が無いから時刻を知るのは、シャルエル教の大聖堂の鐘ののみだし。
 それも当てにならなくて、比較的時間は適当だ。

 朝は陽が昇ったら人々は起きだす。
 夕方になって暗くなり始める前に帰宅に着く。
 どうせ畑に出たら鐘のなんて聞こえないから、天候を見て生活をしている感じね。
 ただ私は未だに時間に縛られ時計をしている。
 正確な時間がわからないとなんだか不安で…。
 だってインスタントラーメンの3分なんて体感で分かると思う?

 シルバーに朝食の生肉をあげ、私はツナマヨネーズおにぎりを食べている。
 今日のお昼は五目ちらし寿司にしようかな?、そんなことを毎日考える。
 楽しみが無いと食べることくらいしか思いつかないわ。

「おはようございます!スズカさん」
 少し開けておいた雨戸を開け、アントンさん達四人がやってきた。
「おはようございます!みなさん」
「今日からよろしくお願いいたします!!」
 四人が挨拶をしてくる。
 そう言えば給料の話もまだしてなかったわね。

「こちらこそよろしくお願いします。そう言えば給料の話をしていなかったわね」
「えぇ、そうですね」
「では最初の三か月は見習い期間で一日三千円。四か月目から月給制で十五万円でどうかしら?」
「それは一人で、ですよね?」
「もちろんよ、アントンさん」
「一日三千円とは!!しかも四か月目からは十五万円だなんて。人族並の高給取りだ!」
 虎族のアモスさんが興奮している。
 この世界では賃金が低い。
 特に獣人は扱いが酷く安い給料で使われることが多い。
 それでも仕事があるだけでもマシだと我慢している場合が多い様だ。

「いつから給料は頂けるのでしょうか?」
 狼族のヨルゲンさんが聞いてくる。
「支払いは二十日締めの二十五日払いですから」
「どう言うことでしょうか?」
「え~と。二十日までに働いた分を、二十五日にお支払いすると言うことです」
「では、今月からもうお給料が頂けると言うことでしょうか?」
「もちろんです。その方があなた達も生活しやすいでしょう」
「ありがとうございます。助かります」
 四人は喜んでくれている。

 転職した時はお金が無い場合が多い。
 その上、翌月払いなんて言ったら生活が大変!!
 だから私の経験を生かして当月払いにしたのだけど、それで良かったみたい。

「今月は十九日勤務だから一人五万七千円ね。それから生活が大変なら、五日くらいなら日払いをしても良いわよ」
「えっ!!そこまでして頂けるのですか?」
 狐族のジョフレさんが驚いている。

「今日は二日だから給料日までは二十三日はあるわ。それまで生活が大変でしょう」
「そこまで俺達のことを考えてくださるとは…」
 アモスさんが涙ぐんでいる。
「ありがとうございます。スズカのねえさん」

 はい?
 スズカはねえちゃんからねえさんにランクUPした!!

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 いつも応援頂いてありがとうございます。
 物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。

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