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第2部 王都ファグネリア

第66話 はい、居ます!✋

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「あぁ、それからスズカさん、今度は私から話があるんだ」
 今まで控えめにしていたダニロ侯爵が口を開く。
 まさか、私をめぐって二人で取り合いを…。
 どちらかを選べなんて言わないよね…。

「あなたから頂いたオロビタンZゼェ~~~トとか言う『栄養ドリンク』を飲んでから、とても体の調子がいいのだ。礼を言うよ」
 な、なんだ。
 そっちですか?!
「手足の痺れや、むくみも軽減して今では食欲も出て食事が美味しくてね」
 それはよかったです…。

「しかし凄いものだ。失礼だとは思ったが念のため、治療師ギルドに解析を依頼してみたのだ」
「解析ですか?!」
「あぁ、そうだ。余りにも調子がよくなり過ぎたものでね。だってそうだろう?今まで何年も患っていた病が、嘘のように良くなっていくのだから」
 まあ、そうなりますね…。

「結果は、どうだったのでしょうか?」
「それが凄いことが分かったのさ。今までポーションなどの治療薬は怪我は治せても、病気は治せなかった。しかしオロビタンZゼェ~~~トは逆なのだ」
「逆?」
「そうだ。病気は治せても怪我は治せない薬なのさ」
 いや~、『栄養ドリンク』なので疲労回復や健康維持が期待できるけど、怪我は無理でしょ。
 それに病気も…、はっ?!
 では疲労回復や健康維持が目的だから、病気の人やセサルの村人達のように栄養不足の人が飲むと元の健康体に戻ると言うの?
 そんな馬鹿な…。

「これは画期的なことなのだよ。わかるかな?!」
「わ、わかります」
「治療師ギルドには、他言無用と圧力をかけておいたから」
 こちらから持ち込んでおいてその効果が思った以上だったから、『黙っていろ』なんてある意味、勝手!!
「これを世に出すには慎重にならないといけない」
 へ?

「まさか、わしら以外にこのオロビタンZゼェ~~~トを、あげたりしていないだろうね?」
 ワイアット公爵がいきなり会話に入ってくる。

「あ、い、それは…」
「もうすでに飲んでいる人が居るというのか?!」
「はい、実は…」

 私はセサルの村のことを話した。
 先のアスケルの森への遠征で、男手を失った村があること。
 田畑を耕す男手も少なく、残るのは老人と女子供しかいないと。
 そして開墾もままならず、ろくな食べ物もないので村人の殆どが栄養不足になっていたことを話した。

「それは我々の落ち度だ。しばらく免税をすることを通達しているが、他にもそのような村は多く今後の支援はまだ整ってはいない。ではオロビタンZゼェ~~~トを飲むことで、村人は元気になり働けるようになったのだな?」
「はい、村人達は(10~15歳くらい)若返ったように元気になりまして…」
「ほう、それは良かった。そう言えば息子のダニロも少し若返ったようだが」
「そ、それはきっと元気になり、体力が付いてふくよかになったからでしょう」
「そうかもしれんな」

「今では老人や女性達も元気に働き、開墾をしながら魔物(トロール等)を狩りそれを食料にし、その素材を売り生計を…「「まっ、待て?!今何と言った?」
「ですから老人や女性達も元気に働き…」
「そこではない。その後だ」
「開墾をし魔物を狩り食料にし、素材を売り生計を…「そこだ!!そこがおかしいのだ。なぜ老人や女性達だけで開墾ができ、魔物を狩りることが出来るのだ。それに素材や肉が採れるほどの大型の魔物を狩れるわけがない!!その村には戦士が他に居ると言うのかい?」

 はい、居ます。
 でも老人と女性達です!なんて言えない…。

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 いつも応援頂いてありがとうございます。
 オロビタンZゼェ~~~トと言っても、水木のアニキはでてきませんから。

 物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。
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