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第2部 王都ファグネリア
第61話 私は私
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ワイアット公爵と、ダニロ侯爵が突然、椅子を降り私に跪いた。
どうしたの?足が痺れたのかしらなんてね。
「なにを、していらっしゃるのですか?!座って下さい」
「そうは参りません。女神ゼクシー様から直々に転移を誘われたのなら、それはもう使徒様と同じですから」
12人?
「それではお話もできません。どうぞ、今まで通りにしてください」
「父上、せっかくおっしゃってくださるのです。そうされてはいかがでしょうか」
「しかしダニロよ。使徒様自体にお会いすることはまず無いことだ。それをこんな間近で接することができるとは…」
「ワイアット公爵、私は私で関係ありません。特別ではなくどこにもいる、わ~た~し~、少女…「コホン!スズカさん?」
あっ!いけない、いつもの癖が。
「ゲホン、ゲホン。ワイアット公爵、今まで通りに接して頂けなければ、今後のお付き合いは出来ません」
「わ、わかりました、スズカ殿」
「殿もやめてください」
「本当に頑固だな、スズカさんは」
「お互い様です」
「先ほどスズカさんの居た世界の物を一部、取り寄せることが出来ると聞いたが本当かね」
「えぇ、本当です」
「スズカさんがいた世界は、ここより文化が進んだ世界だったのかね?」
「そうです。ただ細かい作り方や理屈はわかりません。できたものをただ使うだけです」
「ではハッシュドビーフやプリンを作れても、一から材料を揃えるのは難しいと言うことか」
「そんなことはありません。私の世界ではシチューなどは『素』になるものを販売して、誰が作っても美味しくなるようにしているだけですから。材料や素材はわかるので後は工夫次第で同じものが作れると思います。ですが私にはできませんけど」
「ほう、それは楽しみだ。その分野に詳しいものが居れば同じとまではいかないまでも、似たようなものが出来るのだな」
「そうなりますかね」
「スズカさんが居れば便利な『物』にお目にかかれるのか」
「あまり期待しないでください。大したものではないと思いますから」
だってネットスーパーレベルだし。
「実はどの国も産業が低迷している。ここでなにか新しいものがあれば国も発展するのだが」
「買い被りです。そんな大袈裟な知識は私にはありませんよ」
「ではまず、雇用促進に協力して頂けないか?」
「どのようなことでしょうか?」
「ハッシュドビーフの作り方を教えてほしい」
「作り方でですか?」
「あぁ、そうだ。あのハッシュドビーフは今までにないものだ。晩餐会で出せば好評を得るだろう。そのレシピを私に売ってほしいのさ」
「レシピを売るのですか?」
「我が家で出せばそれが口コミで広がり、そのレシピを欲しがるものが多くいるだろう。商人ギルドに登録その人達に格安でレシピを開示する。そうすることで食堂が増え食文化が広がれば、ハッシュドビーフを出す多くなり雇用率も高まるだろう。もしかするとシェイラ国の名物になるかもしれん。どうかね?」
どうかね、と言われても。
それにスズカさんが表立ってそれをやれば、手間も増え人目を引くことになる。我が家経由でことを起こすのが良いと思うが…」
う~ん、何だか知らないけど話がどんどん進んでいく。
まだやるとは言っていないのに。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いつも応援頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。
どうしたの?足が痺れたのかしらなんてね。
「なにを、していらっしゃるのですか?!座って下さい」
「そうは参りません。女神ゼクシー様から直々に転移を誘われたのなら、それはもう使徒様と同じですから」
12人?
「それではお話もできません。どうぞ、今まで通りにしてください」
「父上、せっかくおっしゃってくださるのです。そうされてはいかがでしょうか」
「しかしダニロよ。使徒様自体にお会いすることはまず無いことだ。それをこんな間近で接することができるとは…」
「ワイアット公爵、私は私で関係ありません。特別ではなくどこにもいる、わ~た~し~、少女…「コホン!スズカさん?」
あっ!いけない、いつもの癖が。
「ゲホン、ゲホン。ワイアット公爵、今まで通りに接して頂けなければ、今後のお付き合いは出来ません」
「わ、わかりました、スズカ殿」
「殿もやめてください」
「本当に頑固だな、スズカさんは」
「お互い様です」
「先ほどスズカさんの居た世界の物を一部、取り寄せることが出来ると聞いたが本当かね」
「えぇ、本当です」
「スズカさんがいた世界は、ここより文化が進んだ世界だったのかね?」
「そうです。ただ細かい作り方や理屈はわかりません。できたものをただ使うだけです」
「ではハッシュドビーフやプリンを作れても、一から材料を揃えるのは難しいと言うことか」
「そんなことはありません。私の世界ではシチューなどは『素』になるものを販売して、誰が作っても美味しくなるようにしているだけですから。材料や素材はわかるので後は工夫次第で同じものが作れると思います。ですが私にはできませんけど」
「ほう、それは楽しみだ。その分野に詳しいものが居れば同じとまではいかないまでも、似たようなものが出来るのだな」
「そうなりますかね」
「スズカさんが居れば便利な『物』にお目にかかれるのか」
「あまり期待しないでください。大したものではないと思いますから」
だってネットスーパーレベルだし。
「実はどの国も産業が低迷している。ここでなにか新しいものがあれば国も発展するのだが」
「買い被りです。そんな大袈裟な知識は私にはありませんよ」
「ではまず、雇用促進に協力して頂けないか?」
「どのようなことでしょうか?」
「ハッシュドビーフの作り方を教えてほしい」
「作り方でですか?」
「あぁ、そうだ。あのハッシュドビーフは今までにないものだ。晩餐会で出せば好評を得るだろう。そのレシピを私に売ってほしいのさ」
「レシピを売るのですか?」
「我が家で出せばそれが口コミで広がり、そのレシピを欲しがるものが多くいるだろう。商人ギルドに登録その人達に格安でレシピを開示する。そうすることで食堂が増え食文化が広がれば、ハッシュドビーフを出す多くなり雇用率も高まるだろう。もしかするとシェイラ国の名物になるかもしれん。どうかね?」
どうかね、と言われても。
それにスズカさんが表立ってそれをやれば、手間も増え人目を引くことになる。我が家経由でことを起こすのが良いと思うが…」
う~ん、何だか知らないけど話がどんどん進んでいく。
まだやるとは言っていないのに。
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いつも応援頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。
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