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第2部 王都ファグネリア
第60話 後ろ盾
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「どうだね、私のところに来ないかね?」
ワイアット公爵が私の目を見つめながらに言ってくる。
これが『老いらくの恋』というやつなのね。
公爵は50歳位で渋い年齢だ。
そして私は17歳。
『墓場に近き老いらくの、恋は怖るる何ものもなし』と言うけれど。
「お~い、スズカさん、戻っておいで。私はそんなことは言っていないが」
ワイアット公爵が私の目の前で手をヒラヒラさせている。
「あっ!すみません。つい、自分の世界に…」
「では、考えてもらえないか?悪い話ではないと思うが」
「具体的にはどういうことでしょうか?」
「そうだな。君は剣は使えるかい?」
「いいえ、できません」
「それなら客人扱いでどうだろうか?」
「客人ですか?」
「あぁ、困った時にはいつでも相談に乗ろう。それなら毎日、我が屋敷を訪れる義務もなくなるからね」
「しかし、どうして私を…」
「まずは君が使役している魔物のレベルだ」
「レベルですか?」
「あぁ、そうだ。普通、あれほど高位の魔物は使役出来ないことが多い」
「そうなのですか」
「君を手に入れればあの魔物を使い、この王都を大混乱に招くこともできる」
「シルバーはそんなことはしません!!」
「まあ、まあ、それに君の持っているマジックバックだ。あれほどの容量がある物は聞いたことがない。この王都でさえ出回らないものだ。いったい、どこで手に入れたのかね?」
困ったわ、どうしよう。
ここで本当のことを言うのか、ごまかすのか。
でも私はこの世界では1人きり。
後ろ盾になりたいと言ってくれているならありがたいわ。
「ワイアット公爵を信じてお話いたします」
「大丈夫だ、私達を信用してくれ」
「実は、私は転移者なのです」
「な、なんと?!」
「こことは違う別の世界で生まれ生涯を終えました」
「それが本当なら君を欲しがる輩が、これから周りに増えるだろう。転移者や転生者は常人以上の力や、知識やスキルを持つと言われどこの国でも欲しがるからね」
「そう言うものですか」
「マジックバックも転移の恩賞と言う訳だね」
「えぇ、私の居た世界の物を一部、取り寄せることが出来ます」
「異世界の物を取り寄せることが出来るとは」
「でもいずれはこの世界で作れるものだけですけど」
「技術先取ができるということか。しかしどうやって転移したのかね?」
「実は女神ゼクシーに誘われて…」
「女神ゼクシー様に?!」
そう言うとワイアット公爵と、ダニロ侯爵は突然椅子を降り私に跪いた。
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いつも応援頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。
ワイアット公爵が私の目を見つめながらに言ってくる。
これが『老いらくの恋』というやつなのね。
公爵は50歳位で渋い年齢だ。
そして私は17歳。
『墓場に近き老いらくの、恋は怖るる何ものもなし』と言うけれど。
「お~い、スズカさん、戻っておいで。私はそんなことは言っていないが」
ワイアット公爵が私の目の前で手をヒラヒラさせている。
「あっ!すみません。つい、自分の世界に…」
「では、考えてもらえないか?悪い話ではないと思うが」
「具体的にはどういうことでしょうか?」
「そうだな。君は剣は使えるかい?」
「いいえ、できません」
「それなら客人扱いでどうだろうか?」
「客人ですか?」
「あぁ、困った時にはいつでも相談に乗ろう。それなら毎日、我が屋敷を訪れる義務もなくなるからね」
「しかし、どうして私を…」
「まずは君が使役している魔物のレベルだ」
「レベルですか?」
「あぁ、そうだ。普通、あれほど高位の魔物は使役出来ないことが多い」
「そうなのですか」
「君を手に入れればあの魔物を使い、この王都を大混乱に招くこともできる」
「シルバーはそんなことはしません!!」
「まあ、まあ、それに君の持っているマジックバックだ。あれほどの容量がある物は聞いたことがない。この王都でさえ出回らないものだ。いったい、どこで手に入れたのかね?」
困ったわ、どうしよう。
ここで本当のことを言うのか、ごまかすのか。
でも私はこの世界では1人きり。
後ろ盾になりたいと言ってくれているならありがたいわ。
「ワイアット公爵を信じてお話いたします」
「大丈夫だ、私達を信用してくれ」
「実は、私は転移者なのです」
「な、なんと?!」
「こことは違う別の世界で生まれ生涯を終えました」
「それが本当なら君を欲しがる輩が、これから周りに増えるだろう。転移者や転生者は常人以上の力や、知識やスキルを持つと言われどこの国でも欲しがるからね」
「そう言うものですか」
「マジックバックも転移の恩賞と言う訳だね」
「えぇ、私の居た世界の物を一部、取り寄せることが出来ます」
「異世界の物を取り寄せることが出来るとは」
「でもいずれはこの世界で作れるものだけですけど」
「技術先取ができるということか。しかしどうやって転移したのかね?」
「実は女神ゼクシーに誘われて…」
「女神ゼクシー様に?!」
そう言うとワイアット公爵と、ダニロ侯爵は突然椅子を降り私に跪いた。
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