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第2部 王都ファグネリア

第59話 2度目の青春

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「スズカさん、プリンとやらが冷めるまでの間、場所を移して話をしようか」
 ワイアット公爵にそう言われ屋敷の応接間に移動をした。
 部屋に集ったのは私とワイアット公爵、ダニロ侯爵、テレザお嬢様。
 ダニロ侯爵の奥さんのラヴィーナ夫人と、テレザお嬢様のお兄さんのハイラム卿だ。
 ハイラム卿はテレザお嬢様と同じ金色の髪で、歳は12歳くらいだろうか。

「私達もそのハッシュドビーフというシチューを食べたかったです。おじい様」
「あはは、ハイラム。後でダニエルに言って作ってもらいなさい」
「はあ~い、わかりました」
挨拶をすましテレザお嬢様、ラヴィーナ夫人、ハイラムは部屋を出て行った。
そして部屋に残ったのは私とワイアット公爵、ダニロ侯爵の3人だ。


「しかしスズカさんは凄いな。あのような高位の魔物を従えているとは」
「従えていると言うよりは懐かれたと言うのが正解です。ワイアット公爵」
「ほう、ではスズカさんは魔力値が相当高いことになるが」
「魔力値ですか?」
「そうだ。魔物は自分より弱い者には従わないからね」
 いや~、餌付けしたのかもしれないわ。

「そうなのですか」
「失礼だが冒険者ランクはなんだね?」
「冒険者登録をしたときはAと言われました」
「なんと?!Aランクとは…」
「驚くことですか?」
「勿論だよ。Aランク自体数が少なく、その上に魔物を従える調教師テイマーは少ないのだよ」
「え、そうなのですか」
「見た限り君の魔物は何度も進化を繰り返しているね」
 魔石をガリ、ガリ食べたり魔物を倒す度に変化していくのは確かだけど…。

「そうみたいです」
「きっとシルバーという魔物が暴れたら、ここにいる騎士団全員でかかっても無理だろう」
「シルバーはそんなこはしません!!」
「まあ、まあ。そのくらい脅威だと言うことさ」
 そうかもね。
 馬くらいの大きな狼が居たらそう思われても仕方がないか。

 それとシルバーは狼なので、猫パンチが見れないのが残念なところね。
 パンチ、パンチ、パンチ、
「パンチ、パンチ、…「「ん、んん。スズカさん、話を進めていいかね?」
「あっ?すみません」
 いけないわ。
 いつもの癖で一人の世界に入ってしまったわ。

「君は冒険者で身を立てているのかい?」
「朝晩は食堂をやって昼間はシルバーの散歩です」
「では、冒険者の仕事は受けていないのかね?」
「そうですね。最低限の依頼だけ受けている感じですね」
 まあ、散歩ついでに魔物を狩って肉は解体してもらい、後の素材は買取してもらっているけど。

「それは惜しい」
「え?どういうことでしょうか」
「Aランクの冒険者はどの貴族も抱え込みたいということさ」
「どうしてでしょうか?」
「それは万が一の時、それだけの戦力を持っていると言うことが、ステータスになるからだよ」
「そんなものでしょうか」
「いずれは君に目を付ける貴族も多くなるだろう。どうだね、私のところに来ないかね?」

 え?!いきなりですか?
 話を聞くとワイアット公爵の奥様は、すでに亡くなり今は独身だと言う。

 でも歳の差が…。

 スズカ17歳。
 2度目の青春真っ盛りだった…、なんてね。

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